reionnsennmonogatari Jun Kaibara
ホームルームの後は、英語会話の講義がある。皆、オープンリールのテープを買ってい
たが、それを持って英会話の実習室に行った。それぞれ1台ずつテープレコーダーがあ
る。それにオープンリールのテープをつけて待機する。ジョン先生が英会話の担当だ。
ジョン先生のした発音を真似て各々テープに吹き込む。20分ほどジョン先生の声を吹
き込んだ後、繰り返し聞いて練習する。
“中1でこんなに生の英語の勉強ができて、いいとこに入ったな。”
と、洋一は喜んで実習に励んだ。授業が終わって元の教室に戻るとき藤家と磐田が寄っ
てきて話しかける。
“How are you, Youichi.? “
“Fine thank you , and you.”
“Oh! I’m fine thank you.”
それからみんなが間違った発音を注意されたのを、
"アールじゃないよエアール。シタハウエノカベニツケナイデネ。“
ジョン先生のまねである。そうやって笑いながら元の教室に戻り、3時限目を迎えた。
5時間の授業が全部終わりサッカーをしに着替えてグランドに集まった。サイドパスを
していたら、山隅が、
"集合。“
と声をかけた。
"番号。“
と言われたので、左回りに番号を言っていくと29番まで行った。
"よし。全員そろっているみたいだな。“
"昨年中体連優勝した湖南中学から、練習試合の申し込みがあった。今週の土曜日だ。
1軍戦の後2軍戦もあり、全員出すのでそのつもりで。そしてその次の土曜日は休みに
するので、できるだけ自宅に帰るように。サッカー部に入ってると、中体連前とか、中
体連が始まった時にはなかなか家に帰れんようになるからな。“
そう言われて洋一は、
"来週帰ろう。サッカー部に入ったことも報告したいし。“
と思った。山隅は、
"去年は2位だったから、今年は優勝しようと思う。そのためには一人一人がレベルを
上げていかねばならない。今全日本の東京オリンピックに出る選手をクラマーさんがコ
ーチをしているが、その人の好きな言葉に(物事を見るのは目ではなく、物事を聞くの
は耳ではない。それは精神である。)と言うのがあるそうだが、皆、この言葉を肝に銘
じて精神のサッカーをしよう。じゃあ練習開始。“
そういえば山隅さんの机の前には、
"精神のサッカーを目指せ。“
と言う標語が貼ってあった。
くたくたに疲れて風呂に入り夕食を取って点呼の後自習時間となった。
藤家をちょっと見ると問題集を一生懸命やっていた。勉強時間は私語は厳禁なので、
後でその問題集のことを聞こうと思ったが、休み時間が来た時ころっと忘れてしまって
いた。翌日、洋一はそのことを聞かなかったのを大いに後悔することになる。
翌朝、
"今日は練習はしないだろう。“
と洋一は思っていたが、藤家はちゃんと5時に起こしにきた。山隅ももう勉強を始めて
いる。グランドに行くと藤田も来ていた。
"山隅さんいいことを言うなあ。サッカーは精神でしないといけないんだな。“
と言って早速練習に入った。藤田はもう100回近くリフティングができている。藤家
も30回以上はできるようになったが、洋一は20回がやっとである。さすがの洋一も、
"精神のサッカー、精神のサッカー“
と心の中で思いながら練習に励んだ。サイドパスもだいぶ速く正確になってきている。
朝の点呼が終わり、朝食をとり、学校に行きクラスに入った。朝の御祈りが終わって、数学、英語、国語とテストがあった。
"難しい。“
洋一は思った。数学も全部は解けなかった。英語も習っていないとこからも出て、知ら
ない単語が数多くあった。国語も難しい問題が多かった。
藤家に、
"難しかったな。“
と言うと、
"小島にもらった問題集から結構出とったぞ。“
と言われて愕然とした。
"その問題集は皆もっとっと?“
"今年のは5月にならんと、はいらんて言いよったけど、去年のやつはサッカー部は皆
先輩のをもらって勉強しよったぞ。磐田がお前は1番だけん、何かそぎゃんかことば言
うとおこらるっごたるけん問題集のことは黙っとこうて言いよったけん俺はだまっとっ
たつばってんが、俺は小島からもろうてほとんど問題集しか勉強しとらんとたい。でも
それから大分でとったごたるばい。“
“あーあ失敗した。”
試験の後洋一は昨日、その問題集のことを聞かなかったのを後悔した。
翌日もう試験の解答を返され、木曜には成績順に張り出してあった。洋一はクラスで7
番全体で20番だった。藤家はクラスで3番で、磐田は15番だった。磐田は、
"俺が一番勉強しとったみたいなのに3人のうちで一番悪い。“
とがっかりっしていた。1番はA組の宮下、2番はC組の本並だった。どっちも級長だっ
た。つまり、級長では洋一だけが、成績が下がったことになる。
----------------------------------------------------------------------
澪温泉物語
発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/
配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000263881.html
----------------------------------------------------------------------