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2007/12/14

『教師の腕の見せ所』

* *☆☆***☆☆***☆☆**☆☆***☆☆**2007年12月14日発行【No.013】**☆☆***☆☆**

    〓授業は俺の命や〓  僕はこんな授業をしてきた

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    【 タイトル 】

    『教師の腕の見せ所』

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 先日親戚から、伊賀牛の特選すきやき肉をもらったんです。

 家族狂喜乱舞、舞い上がりながらいただきました。
 そらもう、とろけるようなおいしさでした。
 昨今のグルメリポーターになったような気分でした。

 最高級の牛肉ですから、あんまりこてこて手をかけんほうがよろしい。
 関西風に砂糖をパラパラ、醤油をシュッとかけて、まだ赤みが残っているうちに
 卵につけてぱくっ。 刹那、溶けてなくなりました。

 やっぱり料理も素材ですね。
 そんな経験やったら、いつまでも味わいたいところですが
 うちには未成年ですので「牛飲」はしませんが「馬食」の高校2年生の
 息子がいます。あっという間に、お肉だけが無くなってしまいました。

 けれどもまだお腹は、八分目どころか五分目にも到達していません。
 仕方がないので、以前買ってあった冷凍細切れ牛肉を取り出してきて
 同じように砂糖をパラパラ、醤油をシュッ。 
 ただ今度は用心のために、しっかり火が通るまで煮ました。

 そして卵をつけて食べてみた。 口の中はさっきの高級肉と同じ
 溶けるような感触を期待しているのですが、この冷凍肉ガンとして形を
 崩しません。 仕方がないので奥歯で何度も噛んで噛んで噛んで、
 しまいには味のなくなるほど噛んで、やっと飲み込みました。
 まさにゴムを噛んでいる様な、そんな感触です。

 と、その瞬間「かたい」「まずい」「全然違う」と家族一同ブーイングの嵐。
 罵詈雑言をその冷凍牛肉に、浴びせてしまいました。

 とその時です。 その残った冷凍牛肉が私に
 「私もおんなじ牛肉やで。」と、しょんぼりした声で語りかけてきたんです。

 生徒もおんなじやと思います。 いい素材の子、つまり能力の高い子は
 そんなに手をかけなくても、一を聞けば十を知るで
 どんどん自分で伸びていきます。

 でもそんな子はほんの一握りで、ほとんどの子がすんなりとは行かない
 部分を持っている子達です。 そんな子供達こそ、手をかけてやらなくては
 いけません。 つまり、教師の腕の見せ所ですね。

 そんなほっといたら、何もできない生徒に関わって、何とかできるように
 してやることこそ、教師の醍醐味ではないでしょうか。

 私は密かにそこに、自分の手柄とやりがいを感じてきました。

 私は、できない生徒を目の前にした時、まず腕組をして
 「この子をどないしたろか」と、じっくりその生徒を見つめます。

 まず第一はその生徒を「分析」することです。
 その分析もある一部分、例えば学習の部分だけを見るんではなくて
 その生徒の性格、友達関係、家族構成、生い立ちなど
 いろんな情報を集めて、分析します。

 そして第二に、仮説を立てます。
 「この生徒が数学苦手なのは○○が原因だろう」と
 自分自身で仮説を立ててみるんです。
 例えば、理論的に考えるのが苦手な子なんかは
 言葉が単語だけで単発だったりします。
 また、計算ミスやケアレスミスの多い子は
 目の前の整頓が苦手で、親に甘やかされている子が
 多かったような気がします。

 それから自信のない子ですね。 すぐに周りの人に聞こうとする。
 こういう子は一見、素直で謙虚そうなんだけれども
 本当は依頼心が強くて、すぐに頼ろうとします。
 誰かが助けてくれるだろうと、甘えてるんですね。
 長男長女に多かった気がします。

 仮説を立てたら、それに対する「対策」を立てて実践をします。
 実践をしたら今度は必ずその効果を「検証」します。
 検証をして効果が出てるなぁと思えたら、そのまま続けますし
 目立った効果が出ない場合は、再度分析から仮説、実践と
 別の道を考えます。

 この実践にはそれこそ星の数ほどやり方があると思います。
 毎回、言葉遣いを直す子もいますし、わざと突き放して教えない子もいます。
 また何か、黒板をけすとか、毎回次回の授業の予定を職員室まで
 聞きに来させるとか、何か課題を与えてやり続けさせる子もいます。

 いつぞやは、まず自分の部屋の机の上を片付けることから始めさせた
 生徒もいました。 そして一日5分ずつ勉強時間を増やすように
 指示を与えて、毎日報告に来させた生徒もいました。
 この戦法はすごくうまくいって、確か彼は国公立大学へ行ったと記憶しています。

 ここで肝心なのは、「分析」→「仮説」→「対策」→「実践」→「検証」を
 何度もフィードバックさせて繰り返すということです。

 よく結果よりも過程が大事と言いますけれど
 僕はそれは言い訳にしか聞こえません。

 我々は、いみじくも教育のプロなんですから、いくらかの報酬を
 受けている訳ですから、結果を出さなければなりません。 
 結果が出ないということは過程が、間違っているんだと思います。

 ただし、結果を出すためには「正しい手段」を選ばなくてはいけないのは
 言うまでもありません。 手段を選ばずに、結果を出すことは
 我々が絶対自ら戒めなければならないタブーだと思います。

 なぜなら教育は、正しく子供たちを成長させることが最終目的ですから
 正しい過程を歩まなければ、正しい結果を得られないのは
 言うまでもありません。

 私が新任の時の教育長は、最初の新任研修で
 「下手を上手にするのが、先生の役目です。」
 とおっしゃったのが、今でも心に残っています。

 できない子を目の前にしたとき、それは「教師」になれるチャンスなのでは
 ないでしょうか。

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 授業は俺の命や〜僕はこんな授業をしてきた〜
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