【主婦の学習塾】国と戦うということ
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メルマガ版 ■ 主婦の学習塾 ■ 017号
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こんにちは。「主婦の学習塾」塾長の荻原です。
本メルマガは、毎日家事や育児などで多忙を極める「主婦のみなさん」を想定して、
発信させていただきます。
目的は、人生を成功に導くための知識や見識その他さまざまなノウハウを提供し、夫
や子供ではなく主婦のみなさん自身の人生に劇的な変化をもたらすことです。
みなさんの夢の実現をお手伝いさせていただければ幸いです。
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■ 本日の学習テーマ 国と戦うということ
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現在、薬害肝炎訴訟をめぐる問題が大々的にマスコミで取り上げられていることは、
多くのみなさんがご存じのことと思います。
数日前に、政府が被害者の全員一括救済のための法案づくりに着手するというニュー
スが流れましたが、ある原告の方も述べられているように、まだまだ解決のための第一
歩を踏み出したに過ぎないという見方もあります。
さて、薬害肝炎訴訟のあらましは以下のとおりです。
出産や手術の際に止血剤として血液製剤が頻繁に使用されていたことがありました。
概ね1964年から1994年あたりまでに出産や手術のときに、知らない間に、血液製剤を
投与され、その結果C型肝炎となった被害者が国や製薬会社を相手に裁判を起こしてい
るものです。
多くの人はあまり裁判というものを経験することがないですし、できれば、訴える側
(原告といいます)、訴えられる側(被告といいます)どちらにもなりたくないと思い
ます。
わたしは、個人として裁判に関わったことはないのですが、長く企業の法務部におり
ましたので、会社の担当者として何度か裁判というものを経験したことがあります。
その経験もあって、この裁判についても、少し専門的な見地から関心があり、その動
向を見守っているところです。
さて、きょうのテーマは「国と戦うということ」ですので、少しテーマに沿ってお話
を続けてみようと思います。
裁判には、大きく分けて、刑事裁判と民事裁判があります。
前者は、われわれ国民が犯した犯罪に対して国が処罰をするもので、その構図は「国
民対国」ですが、国(行政機関としての検察庁)が「刑法」という法律に則って、刑罰
権という権力を一方的に行使するものです。悪さをした国民(被告人)は否応なく国
(司法機関としての裁判所)によって罰せられます。
一方、後者の民事裁判の構図は「国民対国民」です。かりに一方が企業や団体だとし
ても、国民として取り扱われることになります。民事裁判は国民同士(原告と被告)の
争いごとを中立の国(司法機関としての裁判所)が間に入って、どちらの言い分が正し
いのかを法律というものさし(この場合の法律は「民法」という法律です)に則って判
断(判決)するものです。
たとえば、今回の薬害肝炎訴訟では、被害者(原告)が、国とは別に、製薬会社(被
告)を訴え、被った損害を賠償せよ、と主張していますが、これは、民法という法律の
第709条に、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者
は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」(これを不法行為責任といいま
す)と書いてあることが根拠となっています。
刑事民事を問わず、すべての裁判において、自らの主張を通すためには、何らかの法
律上の根拠が必要で、法律上の根拠に基づかない主張は裁判所によって退けられること
になります。
民法とは、国民同士の何らかのトラブル・争いごとや権利関係を明確にさせる役割を
持った法律であり、多くの民事裁判において判断のものさしとなる法律なのです(さら
に詳しくは、「民法」でネット検索してみてください)。
以上、まとめますと、被害者は製薬会社の民法で定める不法行為責任を追及し、製薬
会社はこの責任を免れようとしているわけですが、国民同士の争いごとに対して、国
(裁判所)が間に入って、民法に照らしてどちらの言い分が正しいかを判断しているの
です。
さて、薬害肝炎訴訟では、被害者は国も訴えています。つまり、国が国を裁く、とい
う構図になっています。
正確にご説明しますと、この場合の訴えられた国は厚生労働省(旧厚生省)であり、
裁く国はもちろん裁判所になります。これは、行政としての国を司法としての国が裁
く、という構図なのですが、そもそも自分で自分を裁くなんて事ができるのか、という
問題が出てきます。
まず、この問題点を頭においていただきたいと思います。
次に、適用される法律の話です。
先ほども述べましたように、本来「民法」とは、国民同士の民事裁判に適用される法
律であって、国を訴訟の当事者とすることは想定していません。つまり、国を訴える場
合は、基本的に民法は使えないのです。
ではどうするか、これが頭に入れておいていただきたい、問題点のふたつめです。
まず、最初の問題点です。
これについてはまず、「三権分立」という言葉を思い出してください。
三権分立とは、立法(国会)、行政(内閣)、司法(裁判所)、という国家権力が、
すべて分離独立し、相互に干渉されずに、その機能を果たさなければならないというも
のです。
したがって、同じ「国」とはいいながらも、行政と司法では、違う「国」ということ
になって、「国が国を裁く」ということができるのです。
今回の薬害肝炎訴訟について、大阪高裁の和解勧告が出るまで、福田首相の動きがに
ぶかったのも、この三権分立の考え方に少なからず影響を受けていたと思われます。
確かに被害者の全員救済という政治判断は、被害者の救済という観点からは、あって
しかるべきだと思われますが、三権分立の考え方からすると、裁判所の判断の前に、内
閣がとやかく言うこと自体が問題ということになってしまう可能性があるのです。
二つ目の問題点に対する答えとして用意されているのが「国家賠償法」という法律で
す。
憲法第17条では、「何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の
定めるところにより国又は公共団体にその賠償を求めることができる」と定められてい
ます。
つまり、国や地方公共団体に対しても訴訟ができることが憲法上の権利として認めら
れているのです。
そして、ここでいう「法律」こそが、まさに「国家賠償法」なのです。
今回の訴訟は、厚生労働省がその製造販売を承認した薬が、製薬会社によって病院に
販売され、投与されたことがことのはじまりです。
肝炎をもたらした血液製剤を製造販売したのは、製薬会社ですので、製薬会社の民法
上の不法行為責任を追及するのだという理屈については、まず問題はありません。
しかし、国までもが責任を問われているのは、薬の製造販売が国(厚生労働省)の許
認可が前提となっているからです。
つまり、本来あってはならない血液製剤の製造販売を、当時の厚生省の役人(つまり
公務員)が「承認」したことが、国家賠償法上の不法行為に該当するということになり
ます。
国家賠償法という法律はまさに国と戦うための法律です。
ぜひ、主婦のみなさんも知っておきたい法律です。
それ以前に、理不尽な国の行為によって損害を被った国民が国と戦うことができるの
は憲法上の権利なのです。
ひとりでも多くの肝炎患者の方が、新たに成立する法律によって救済されることを望
みたいと思います。
みなさんに幸せな生活が戻ってくることを祈念したいと思います。
それではまた!
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■ 編集後記
いよいよ、2007年も残すところあとわずかです。わたしも28日が仕事納めです。
でも、まだやり残したことがたくさんあり、どうもすっきりしない年末になってい
ます。
ひとつでもふたつでも、今年中にやれることをやりきってしまいたいと思います。
みなさんもラストスパート、頑張ってください!
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■ 発行人 主婦の学習塾 塾長 荻原 俊彦
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