インド to インドシナ旅行記“India CUTTERS” 050
======================================================================
India CUTTERS by site_roof 15/2/2008
**********************************************************************
[Message from Site on the Roof] ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
http://www.geocities.jp/siteontheroof/
いよいよ50号になりました。
始めた当初は、せいぜい2か月余りの旅日記だし、毎週発行していればきっ
と1年もしないうちに終わるだろうという心づもりでいたのですが、週刊のペ
ースがなかなか守れないのに加えて、ところどころ「閑話休題」などと銘うっ
た寄り道もしたりして、思った以上に長く引っぱってしまっている気がします。
改めていわないとなりませんが、たった2か月の旅の行程に、読者の皆さま
には長いことおつきあいいただいてしまっています。ありがとうございます。
ようやく本当に、もう少しで終わりです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
"インド to インドシナ旅行記" 050
<サイゴン9 「ベトナム音楽の夕べ」2>
…今回のサイゴン滞在中に、たぶんこれが唯一と思われるアトラクションに参
加した。
「ベトナム音楽の夕べ」。
お茶が振るまわれ、添えられたお茶菓子もまずまず美味しく、そしてアオザ
イや民族衣装のファッションショーまで堪能できる、盛りだくさんで楽しい内
容だった。
木を基調に板の間や一本木の柱でしつらえられている室内も、おそらくベト
ナムの伝統建築をイメージしてのことだと思う。そして集まった客たちは見事
に、日本人と欧米人だけだった。
サイゴンで普通に暮らすベトナムの人たちはこういったショーに興味を抱い
たりは…と、ここでまた前回の話を繰りかえすのはやめておこう。
前半は、ベトナムに最後まで残った王朝フエの、宮廷音楽。
二胡に似た弦楽器をフィーチャーしたり、曲調や全体の雰囲気も中国のそれ
とよく似ていた。
他にギターのような弦楽器が2人、あとは琴と打楽器と、合わせて4〜5人
の演奏家たちの技術レベルは非常に高く、思わず目を留めずにはいられないテ
クニックを次々に披露してくれたのだけれど、どうも個人的に、宮廷音楽とい
うのはどこの王朝のものでも、あまりにソフィスティケイトされすぎている感
が否めない。
音楽に欠かせないリズムの、エネルギーというかダイナミズムが伝わってこ
ないのだ。「洗練」は「躍動」とは相容れないということなのか。
などと思っていたところ、ベトナムの宮廷音楽は途中から急にテンポの変わ
る曲が少なくない、らしい。
半円状に並べた数種の太鼓を一人のプレイヤーが叩いて奏でる打楽器は、見
たところ欧米音楽のドラムに少し似ている。似ているところでドラム・キット
に置きかえて構成を辿ってみると、スネア(小太鼓)が一つにタム(訳しよう
がない)が二つにフロア・タム(中太鼓)が一つ。バス・ドラム(大太鼓)と
シンバルはない(つまりドラムと違って足は使わないということ)。
始めのうちはリムショット(皮の部分ではなく太鼓の縁をかちかちと叩いて
リズムを刻むテクニック)だけを繰りかえしていたこの太鼓奏者が、突然ロー
ルのようなドラミングを始め(この際のバチさばきのまた見事なこと!)、俄
然曲全体も楽しくなった。ダイナミズムがやって来た感じ。
不意に展開されるこの唐突なリズム変化は、他の「宮廷」音楽にはない、ベ
トナムだけの大きな特徴といえるかもしれない。憂いや哀しみそして「洗練」
よりも基本的に「歓び」のほうを大事にしたがる民族だからではないか、とは、
ぼくの勝手な解釈。
途中休憩を挟んで趣向ががらりと変わり、パフォーマンスされたベトナムの
民族音楽は、文句なしに素晴らしかった。
ベルリラ(鼓笛隊用に縦に持って歩きながら叩ける鉄琴)を大きくしたみた
いに、腰の高さから頭の上まで竹の筒をずらりと編みあげた、いわば「竹琴」。
それからビブラフォンのような、けれど鉄琴ではなく、大中小と並べられた長
方形の石を、両手に持った金鎚で叩きまくる「石琴」。
やはりキーになるのは打楽器なのだ。
時として16ビートさえ超えるほど高速なリズムは、もはや、ぼくがイメージ
していたアジアの音楽ではなかった。陽気で変化に富んだメロディとも相まっ
て、むしろラテン・ミュージックのほうに近いのではないかという印象を覚え
る。
ベトナムの少数民族といえば、中部から北部にかけての山岳地帯に今でも住
む人たち。ラテンを思いださせるのは、アンデスの山岳民族音楽に通じるもの
があるからだろうか。
十二分に楽しませてもらったこの音楽をカセットやCDで聴くことはできな
いか、終わったあとでぼくはスタッフに訊ねてみた。かつて録音したことはあ
ったらしいが今ではもう入手できないとの返事。
ならばせめて類似した音源を、ということで前回冒頭のCD屋巡りになった
わけだけれど、そこで述べたように、見つけられたのはベトナム・ポップスと
欧米系の海賊盤だけ。
これについて文句はいわない。その代わり提言を一つ。
ぼくに多大な「楽しみ」を与えてくれたベトナムの民族音楽は、普通のベト
ナムの人たちの日々の生活に「楽しみ」を与えるものではないのかもしれない
が、それならそれで割りきって一種の「観光資源」だと捉えればいい、インド
の人たちがシタールやタブラーをそうしていたように、欧米の人たちにとって
の「エスニックやエキゾチック」を提供できるこういった民族音楽に力を入れ
たら、欧米観光客がうろうろしているサイゴンのような街のCD屋に、欧米系
の海賊盤を置くよりもたぶんもっと喜ばれる、いってしまえば「売れる」であ
ろう、その商売チャンスに、商魂たくましいはずのベトナムの人たちは、まだ
気づかないみたいだ。
<サイゴン8 「ベトナム音楽の夕べ」 おわり>
(執筆:2006‐10‐14)
───────────────────────────────────
今回は、前回もお知らせした同じ宣伝でもって終わりの挨拶に代えさせても
らいますが、すみません、ご了承ください。
India CUTTERS 050/15/2/2008
----------------------------------------------------------------------
囲炉裏端(いろりばた)@NOAH'S CAFE
〜「語り」の世界を体験しよう〜
∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵
■と き 2008年2月29日(金) 19時〜21時
■ところ NOAH'S CAFE http://noahscafe.main.jp/
(東京メトロ東西線 落合駅より徒歩8分)
(JR総武線・都営大江戸線 東中野駅より徒歩12分)
■参加費 1500円(スープとパン付き)
■内容
・出雲の旅の話
・「語る」経験を味わってみる
・「語り」をきいてみる(『恋山』『雪女』他)
■お申し込み・お問い合わせ
iroribata@gmail.comまで、お申し込みください。
複数名さまでお申し込みの場合は、人数もお書き添えください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
配信の登録、解除、アドレス変更
http://www.mag2.com/m/0000213284.html
ご意見・お問い合わせ
site_roof@yahoo.co.jp
http://www.geocities.jp/siteontheroof/
当メールマガジン全体の内容の変更がない限り、転送は自由です。
転載については許可が必要です。