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2008/04/16

ロジスティクス・キーワード〜なるほど物流効率化 No.070【「資格」「お墨付き」に踊らされるな】

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■■■ ロジスティクス・キーワード〜 なるほど物流効率化
■■■ No.070 「資格」「お墨付き」に踊らされるな
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しばらく降り続いた冷たい雨がやんで、昨日、今日は春爛漫な大阪です。
すでに桜もすっかり散ってしまいましたが、うららかな感じで気分がよいです。
さて、多くの企業が新年度で、様々な目標や計画を立てて、馬力を上げて
動き始めているかと思いますが、自社の到達目標の中に「品質向上」をかか
げる企業様も多いかと思います。
そのような企業の取り組みのより所として機能していた「ISO=マネジメント
システム認証」の登録企業が昨年から減少していて、返上する企業・自治体
も相次いでいるそうです。本日はこの話を。

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<今週の気になるニュース>

品質管理や環境管理のありかたを定めた国際規格「ISO9001」や「同14001」
を、返上する企業や自治体が目立ち始めた。維持・更新だけで数百万円の
費用がかかることが主因だが、認証を取得し信頼できるはずの食品・製紙
会社などによる偽装が相次ぎ、「取得企業との取引なら安心」というお墨付き
が揺らいでいる。・・・
両規格とも、もともと欧州主導で制定され、日本の慣習になじまないとの批判
も多かった。偽装を防ぐ手立てとして原材料調達先までさかのぼり、品質・物
流管理に目を光らせる方式が改めて注目されている。
企業活動のリスクや不確実性が高まる一方の現代、管理を外部まかせに
しないという「鉄則」が重みを増している。

(日経産業新聞「眼光紙背」 2008年4月15日 ”お墨付きには頼らない”)

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☆ISO9000シリーズの認証企業が減っている

−私のお付き合いする企業も、ほとんどが取得しているISO。名刺を見れば
半分以上は認証取得のロゴを印刷しています。もちろんその名刺には「再生
紙100%」の一文も。−
こんなブラックジョークが出てきそうなほど、その有用性や信頼性が地に落ち
つつある「マネジメント認証制度」。昨年は多くの取得企業が偽装や不正を
働きました。そしてその影響なのか、ISO認証の取得企業が2007年第1四半
期から減少に転じているそうです。具体的にはこのような推移だそうです。

<JAB適合組織推移(QMS):ISO9001>

期/増減/期末件数
2006-Q3/53/43400
2006-Q4/164/43564
2007-Q1/-195/43369
2007-Q2/-302/43067
2007-Q3/-78/42989
2007-Q4/-164/42825

そもそも、ISOとは何かというと、スイスのジュネーブに本部のある、国際標準
化機構(International Organization for Standardization)の略称で、世界
共通の規格・基準を制定している民間の組織のことです。
ISO9000シリーズは”品質マネジメントシステム認証”とも呼ばれ、顧客の満足
を得ることを第一のねらいとし、世界のどこでも等しい規格・品質の製品・サー
ビスを受けられるよう、それぞれ共通のやり方でルールを作っておこう、という、
「もの」の規格ではなく「仕組み」の規格です。

ちなみに製品(もの)であれば、世界のどこで製造されても同じように使えるよう
標準規格というものがあり、ISOもこの一つです(他にJISやIECなどがある)。
今回テーマとしているのは、ものでなく「仕組み」の認証についてです。

☆前々から不要論はあったが

そもそも日本は品質管理については世界でも稀有なレベルの実力を持って
いる国で、製品の品質についてはMADE IN JAPAN といえば今でも高品質の
代名詞、と呼ばれていますが、そのような製品を作り出す現場に対して、ISO
のような後追いの規格がいるのか?という疑問は昔からありました。

ではなぜこれだけ日本でISO取得企業が増えたのでしょうか?
実はISOが普及したのは、建設業界の公共工事入札の参加要件に採用されて
からだと言われており、他の業界も国にならって参加要件に加えたことから
「コンペ参加のための営業ツール」としてだという説があります。
そして、物流業界でISOを取得している多くの企業も、似たような動機で取得
した方も多いのではないでしょうか?

また、ISOの本家であるヨーロッパ、特にISO先進国であるイギリスにおいても
ISOは日本のトヨタ生産方式、アメリカのデミングの品質管理手法(注1)、田口
メソッド(注2)のほうが優れている、とジョン-セドン氏というコンサルタント
が本を書いているほどです。
実際に取得した企業も、維持更新に多額の費用がかかる割に効果が明確でなく、
書類が増えることで管理者は喜ぶが、現場は忙殺される一方、という意見も
多数聞こえている状況があります。

しかもこれらを審査するISO審査員のセンセイ方が、ほとんど現場を見ないで
OKを出したり、接待を受けると甘くなるなど、審査員の質に対しての疑問も
噴出しているそうで、まさに形骸化著しい、という話も結構な頻度で聞きます。

このような状況からなのかどうなのかわかりませんが、企業だけでなく自治体
でも今年に入ってから山形県や島根県が更新を見送るなどの動きになっている
そうです。

☆肥大する認証・資格ビジネスに踊らされるな

本来の崇高な理念や趣旨とは大きくかい離したISO認証も、もはや営業的な
実利を伴わないとわかって離脱する企業が増えるならば、真に必要性を認めて
いる企業だけが残ることになり、ISOという制度自身の信頼性や品質向上には
役立つのでしょう。

ただ、昨今の内部統制や個人情報保護など、まさに認証会社の儲けだけの
ための制度じゃないの?とふと思わされる、一部マッチポンプ的なセミナーや
活動をしている企業を見ると、このような認証や資格取得という制度そのもの
が、いかがわしき眉唾なものに見えてきてしょうがありません。

いずれの認証制度も資格も、言っていることは概ね間違ってないですし、確か
にまるっきり手つかずの企業においては初期において役立つことは間違いない
のですが、継続的にメリットを与え続けるような制度や資格なのかは十分に
吟味・検討する必要がありそうです。

物流業界においても、一部の特定業界に入るには必須の認証・資格と呼ばれる
ものがありますが、その認証が確かに機能しているか、と再考してみる価値は
ありそうです。


注1:デミングの品質管理手法

統計的プロセス制御(Statistical process control、SPC)と呼ばれ、
製造工程を視覚的に監視する手法である。管理図を用い、少数の標本を
頻繁に採取することで、品質に影響のあるような工程の変化を検出する。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%B1%E8%A8%88%E7%9A%84%E3%83%
97%E3%83%AD%E3%82%BB%E3%82%B9%E5%88%B6%E5%BE%A1

注2:田口メソッド

品質工学(Quality Engineering)とも呼ばれ、田口玄一氏の考案した品質
管理手法。サンプル製品を量産化する際に発生していた“避けられない
バラツキ”を最小にすることで、品質を高める。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%93%81%E8%B3%AA%E5%B7%A5%E5%AD%A6

*ジョンーセドン氏は著書で、「トヨタのかんばん方式、デミング、田口メソッド
のいずれも導入実績証明(検証可能な効果を上げた事例)があるが、ISO
にはそれがない」と著書で述べている。

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