ロジスティクス・キーワード〜なるほど物流効率化 Vol.056【値上げは何をもたらすか】
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■■■ ロジスティクス・キーワード〜 なるほど物流効率化
■■■ No.056 値上げは何をもたらすか
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出先での仕事が多くなると自然に使う機会が多くなるのがファストフードや
外食といった飲食チェーン。そこでここ最近、いつも口にする食べ物が次々
に値上げしているのに気がつきました。
新聞紙上では1ヶ月程度前から話が出ていたので、「ああ、それがこれか」と
思ったりしたのですが、やはりその場面を体験するとあまり良い気持ちでは
ありません。
私たちは生産者でもあり消費者でもあるのですが、実際のところ、値上げは
どのような変化を両者にもたらすのでしょうか。今回はこの話を。
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<今週の気になるニュース>
書類などを短時間で運ぶバイク便、自転車便各社が相次ぎ値上げしている。
バイク便需要が堅調な中、雇用情勢の回復で不足しているライダーの待遇を
改善して優秀な人材を確保する狙いだ。
ただ、この二十年で料金はほぼ半値になるほど競争が激しい業界。低価格
を売りにする新規参入も多いだけに、思惑通りに値上げが浸透するどうかは
なお不透明な部分がある。〜
大小業者が乱立してきたバイク便業界だが、今回の値上げを機に大手同士
の業績格差が鮮明になるとの見通しもある。業界の中では「再編へのきっか
けになりうる」との観測も浮上している。
(出典:日経MJ 8月24日(金)9面)
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☆あなたは断れますか?
先にお話ししたファストフードの値上げの中で一番ぎょっとしたのはやはり
マクドナルドです。結構朝マックが好きで、いつも「ソーセージエッグマフィン
セット」を食べるのですが、埼玉県下の某店で注文したところ”400円です”
との対応。え、380円じゃなかったの?と思いながら、その時は払ったのですが、
次に新宿区の某店に行って同様に注文したところ、”420円です”との対応。
「え、」と一瞬ひるんだのですが、これが噂の地域別料金か、と思い出し、
平静を装って商品を受け取りました。
地域別料金の記事 http://woman.nikkei.co.jp/news/article.aspx?id=20070621ax000n1
確かに景気が良くなった、原料や石油が値上げした、などというニュースが
だいぶ行き渡った感がありますが、いざ自分がその場面に対峙すると、ぎょっ
とするのがやはり正直な感想です。
そして、私の場合、次に思ったことは「どっか他の店の朝メニューで安いところ
あったかなあ・・・でもまあ、しょうがないか」でした。
実際には、マックも多数のクーポンを路上や店頭、ネットや携帯で配布して
いて、普段でもかなりのディスカウントをしている中での値上げなので、
ちょっと知っている人なら、次から絶対クーポンは忘れないようにしよう・・・
と思うのでしょうが、多くの人は受け入れてしまうような気がしています。
私個人の話で言えば、マクドナルドはすでに単に食事をするところではない
お店になっていて、どこにでもある、席にコンセントがある、ちょっとした
待ち合わせの目印に手軽、など、結構きりがないほど多面的に使っています。
このような話は結構身の回りに多く、例えばSuikaなどの電子マネー、ETC、
携帯電話やネットの接続料など、自分の財布の中で、たまに使うのではなく、
常にある程度の支出が発生しているものについては、その便利さにすっかり
慣れてしまって、幾ら掛かったかなど以前ほど意識しなくなっているのです。
そのような生活になってしまっている中、あなたは「値上げしましたので」と
店員さんに言われて、「じゃあいらない」と返事を返せるでしょうか。
☆売る側の心理、買う側の心理
値上げの心理として、まず出てくるのが「原価高騰」というものがありますね。
原料や人件費、生産のための様々な費用が値上げすることで、最終製品が
値上げするというものです。
もう一つは「高付加価値化」というものがあるでしょう。当初のモデルよりも
より付加価値がついて、今までは異なる2つ以上のサービスや製品を買わなけ
ればいけなかったものが一つの商品やサービスで出来たりした場合は、これまで
の価格に上乗せした価格でも、2つの商品を買うよりは安い、となった場合、
その商品はこれまでより値上げしても受け入れられるでしょう。
ただ、これはあくまで売る側の心理で、買う側からすれば、自分が出せる金額
とそのサービスの価値が見合わなければ買わない、ということになります。
じゃあ、これまで使っていたサービスや商品があって、それが無ければ日々
の生活や仕事が成り立たない、というぐらいのプライオリティがあるものならば
何%のアップまで値上げに耐えられるでしょうか?
物流はこのような場面において、常に値下げの圧力にさらされてきました。
売る側から見ればもしも他社よりも高い価格設定をしたために仕事が無く
なったとすれば、それは売上0を意味していたからです。
例えば100円値上げしました、ということで、10万円の仕事を逸してしまえば
そのわずかな値上げがもたらす経済的ダメージは計り知れません。
もう一つは物流自体が各企業の仕事に深く食い込んでいることから、ころころ
契約を変えることが困難な性質であることもあります。
一つの企業と契約をして、実際に業務を始めるまでに費やす労力と時間は
大変なものだからです。
数式にすると単純ですが、売る側は下記の式が成立することが必要です。
値上げをして得られる利益>値下げをして失う利益
買う側からすれば、その商品・サービスが絶対に必要だが、値上げが不可避
のものだとするならば、値上げした価格以上の価値が、その後の取引の
継続で得られるか、が判断材料になるのでしょう。
☆バイク便の値上げが意味するもの
今回話題になったバイク便・自転車便は、日本という市場から見れば、地域・
顧客限定のニッチ市場です。
一説によれば市場規模は300億円程度、市場の7割は東京とも言われており、
この小さな市場に百を超える会社がしのぎを削る世界での値上げは、一体
どのような結果になるのかという意味では非常に興味深いです。
何が興味深いかといえば、サービスの面で言えば、これまでは「スピード」と
「価格」一辺倒と捉えられていたバイク便の世界が、このところ品質を重視
するユーザーが増えてきたことにあります。
品質が良くなければ当然スピードも生かされない、ある程度の規模がなけれ
ば品質に対しての投資ができない、という状況の中、実は値上げを先導する
のは業界の大手企業であるというのがポイントで、値上げに乗じてあまり質の
良く無い企業も便乗して儲かる、という世界にはなりそうにありません。
ましてやバイク便に就職するドライバーは減少傾向で、待遇を先に上げて人
員を確保しないと、仕事自体が成立しない状況です。
まずは先行投資でライダーの待遇を上げて人を確保し、その上で仕事の量
を確保、確保した仕事の採算を上げるための最低限の値上げ、というプラン
が滞らずに流れないと、先行投資である報酬で倒れるかもしれない。
逆に既に十分なライダーと仕事があれば、大きく他社を引き離すことが可能
です。
年々市場規模が小さくなりつつある国内物流市場。
バイク便が行った値上げはどのようにお客様に評価されるのでしょうか。
物流業界全体の流れの先鞭をつけるのか、注目されます。
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