40代からはじめる女性の経済塾(第35回相続5)
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40代からはじめる女の経済塾
(第35号)
2008年4月11日
相続でトラブらないために 第5回
こんにちは。前回は民法の定めによる財産分与についてでした。今回は被相
続人の思うように財産分与を行う方法です。生存中であれば贈与、遺言等に
よるのであれば遺贈・死因贈与について紹介します。
ケース1の山田さん家の場合、母に名義変更すると共に全財産を子供達へ分
与する旨の遺言書を作成していたなら、父親に渡る財産は二分の一でなく四
分の一以下ですんだかもしれません。
■贈与
生存中に無償で財産分与を行う贈与から紹介します。贈与は法律的には契約
行為です。贈与者と贈与を受ける者(受遺者)双方の合意に基づいていて成立
します。
贈与する相手は個人でも会社でも良いのですが、贈与を受けた個人に贈与税
がかかるので、この税を知ることが利用に当たってのポイントです。
贈与税は1月から12月の暦年1年間の贈与額から110万円を差引いた残額
に対して課税されます(課税期間は所得税に同じ)。従って110万円以下を毎
年贈与されても贈与税はかかりません。また、配偶者への贈与であれば110万
円プラス2,000万円まで贈与税はかかりません。適用条件は、婚姻期間20年
以上で居住用不動産またはこれを取得する金銭の贈与です。
贈与税は相続税に比較して高率です。200万円以下10%から1000万円超50%
までの間6段階の税率からなっています。
例えば年間3,000万円贈与された場合{(3,000万−110万)×50%−225万
=}1,220万の贈与税が課せられます。
相続に比して税率が高いので、特別な場合を除いて贈与は敬遠されがちです。
そのため親から子への財産移転は相続まで待たされるのが一般的です。
しかし、世界一の長寿国において相続まで移転を待たされる状況は、単に一
家族の問題だけでなく、経済全体の活性化にマイナス要因となっていると捉え
られて、平成15年に「相続時精算課税制度」が導入されました。
これは贈与時には贈与税を納入しますが、贈与者が亡くなった時、贈与財産を
他の相続財産に合算して算出した相続税額から、既に納めた贈与税額を控除
することにより、贈与税相続税を通じた納税を行うという制度です。
適用要件は、
(1) 65才以上の親から20才以上の子が贈与をうける場合2,500万円まで
(2) 住宅資金の贈与であれば親の年齢を問わずに3,500万円まで
贈与税は課さない制度です。限度を超えた額は一律20%で贈与税が課税されます。
この制度は相続時に相続財産に合算されるので相続税対策にはなりませんが、
住宅取得のみならず、今必要な資金援助も2500万までなら無税で貰えるので
脛をかじれる人にとっては大いに利用価値があるのではないでしょうか。
次に遺言等により死後、財産分与する方法です(後日のケースで再紹介しま
す)。
■遺贈
遺言によってなされる財産分与が遺贈です。受遺者は親族に限りません。財
産を無償で与えるという点で贈与と同じですが贈与と異なり遺言者の単独行
為です。つまりそこに受遺者の貰う意思はないので遺贈を断るのも自由です。
効力は遺言者の死亡によって生じます。
遺贈には土地とか株式とかというように財産を特定する場合と、遺産の全部と
か半分とか包括的に遺贈する場合があります。また負担付遺贈といって遺贈
を受ける者に対して一定の義務を負わせることを条件とした方法もあります。
例えば配偶者との同居を条件に子Aに他より多額の財産を遺贈するなどで
す。
世話になった友人や介護者に対して何かを残したいという場合にも遺言により
遺贈できます。身寄りもなく遺言書もない場合には財産は国庫に入ってしまい
ますのでご留意ください。
次に、死亡によって効力が生じる点で遺贈と同じですが、法律的な要件などが
異なる方法に死因贈与があります。実質的には遺贈による財産取得と同じで
す。
■死因贈与
法律的には死因贈与は贈与ですから当事者同士の契約ごとですが、遺贈は
遺贈者が勝手に決める単独行為であるという点で死因贈与と異なります。
死因贈与は生前に契約を取交わします。特に事業を営んでいるような場合に
おいて、後継者に事業用財産(株式、土地建物等)を全て渡すということを事前
に明確にして、事業の安定的な継続を願うというような場合等では効果的な利
用ができます。
このように民法上、遺贈・死因贈与によって自己の財産を自由に処分すること
を認めながらも一定の歯止めを掛けています。それは相続財産に期待している
家族への一定の配慮としての遺留分制度です。
■遺留分
遺留分とは法定相続人の内兄弟姉妹以外に認められている、相続財産の一
定限度を相続できる権利です。ある特定の個人に遺産を全額相続させるという
ような遺言があっても、遺留分に相当する遺産は法定相続人に相続権を認め
ています。
遺留分は相続人が配偶者のみの場合1/2、配偶者と子供の場合1/4と1/4、
子供のみの場合1/2、配偶者と直系尊属の場合2/6と1/6、直系尊属のみの
場合1/3です。
しかし、遺留分を無視する遺贈などが行われたとしても遺言は無効にならない
ので、遺留分の権利者は相続を受けた人に「減殺請求」を行って権利を主張し
返還要求することができるという制度です。
次回は住宅を兄弟二人の共有名義で相続したケースを紹介します。
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