経営者のための人事・労務の最低必要知識【vol.84】
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■□ 2006.12.18号
□■ ”知らなかった!ではもう遅い!!”
■□『トラブル防止!経営者のための人事・労務の最低必要知識』Vol.84
□■ http://www.toma.co.jp/mailmagazine/mag_human.html
■□ 発行者:株式会社日本人事コンサルタンツ
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■┃今┃週┃の┃テ┃ー┃マ┃ 「就業規則を作ろう!! 」 第20回
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前回まで退職や解雇に関してみてきましたが、今回は懲戒をテーマに取り上げた
いと思います。
懲戒は、社員が何か社内・社外でトラブルを起こしたときの罰を与えるためのル
ールです。すでに起こしてしまったトラブルに対する対応ルールですので、対応を
誤るとトラブルが拡大しかねません。そこで、就業規則に、どのようなトラブルを
起こした場合にどのような罰に処するか、適切に規定しておく必要があります。
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●第8章 懲戒
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【 今週の条文 例 】
(懲戒)
第●条 従業員が第●条から第●条に定める懲戒事由に該当する場合は、懲戒事由
の程度を審議の上、次の各号の懲戒処分を行う。なお、従業員はその行為
が勤務時間外、会社施設外での行為であることを理由にその責めを免れる
ことはできない。
1譴責 始末書をとり、将来を戒める。
2減給 始末書をとり、1回の事案に対する額が平均賃金の1日
分の半額以内、2回以上にわたる総額が1賃金支払い期
の賃金総額の10分の1以内で行う。
3出勤停止 始末書をとり、7日以内を限度として出勤を停止し、そ
の期間の賃金を支払わない。
4降格 始末書をとり、役付を免じるか、下級職位に引き下げる。
5諭旨解雇 退職届を提出するよう勧告し、勧告に応じない場合は懲
戒解雇とする。
6懲戒解雇 予告期間を設けないで即日解雇する。この場合において、
労働基準監督署長の認定を受けた場合は解雇予告手当を
支給しない。なお、退職金は原則として支給せず、情状
に応じて支給することがある。
(譴責・減給・出勤停止・降格)
第●条 従業員が次の各号の一に該当するときは譴責、減給、出勤停止、降格のい
ずれかの懲戒処分を行う。
1無断、若しくは正当な理由なく1ヶ月に2回以上欠勤、遅刻、早退、私
用外出を行ったとき
2勤怠に関する手続き、届出、報告を偽り、または怠ったとき
3業務上の書類、伝票等を改ざんし、虚偽の報告、届出を行ったとき
4業務に対する誠意を欠き、職務怠慢と認められるとき
5他の従業員に対して暴行、脅迫を加え、社内の風紀秩序を乱し、他の従
業員の就業を妨げたとき
6職場の内外において、他の従業員に対して性的な言動(セクシャルハラ
スメント)を行い、社内の風紀秩序を乱し、他の従業員の就業を妨げた
とき
7就業時間中に会社の許可なく、私用を行ったとき
8会社の方針、所属長、関連上長の業務の指示命令に従わないとき
9会社または他の従業員を誹謗、中傷したとき
10社内の諸規則、通達、通知等に違反したとき
11第●章の服務規律に違反したとき
12故意、過失、職務怠慢、若しくは監督不行届きによって、災害、事故を
発生させ、会社の設備器具を破損し、会社が損害を被ったとき
13会社の物品を、許可なく社外へ持ち出し、または持ち出そうとしたとき
14会社の許可なく、社内の電子ファイル、書類、伝票等を部外者に閲覧さ
せたとき
15会社の許可なく、社内の電子ファイル、書類、伝票等を業務に関係ない
事項に関して流用したとき
16会社の許可なく、社内若しくは会社の付属施設で集会、または文書、図
画などを配布、貼付、掲示、販売、その他これに類する行為をしたとき
17職務または職位を利用して会社の資産、その他これに類するもの使用し、
部外者から不当な金品、饗応を受け、または不当な金品、饗応を要求、
約束し、自己または他人の利益を図ったとき
18故意または過失により他の従業員の業務を妨害し、業務能率を低下させ
たとき
19自己の職位、職務権限を超えて、独断で判断、指示、行動をし、社内の
風紀秩序を乱し、会社に損害をもたらしたとき
20その他前各号に準ずる程度の不都合な行為があったとき
(諭旨解雇・懲戒解雇)
第●条 従業員が次の各号の一に該当するときは諭旨解雇または懲戒解雇にする。
ただし、非違行為の程度が軽微であるか、または情状酌量の余地がある場
合、譴責、減給、出勤停止、降格にとどめることがある。
1前条の違反が度重なるとき、または前条違反が情状重大と認められると
き
2重要な経歴を偽り、その他不正な方法を用いて採用されたとき
3正当な理由なく、無断欠勤が引き続き14日以上におよんだとき
4会社の許可を受けずに在籍のまま事業を営み、または他に雇入れられた
とき
5会社の経営上または業務上の重大な機密を社外に漏らしたとき
6業務上の書類、伝票等を改ざんし、虚偽の報告、届出を行い、会社に甚
大な損害を発生させたとき
7故意、重大な過失、重大な職務怠慢、重大な監督不行届きによって、災
害、事故を発生させ、会社の設備器具を破損し、会社が甚大な損害を被
ったとき
8正当な理由なく、職場配置、配置転換、出張、転勤、出向、職位決定な
どの人事命令を拒否したとき
9会社の経営に関して故意に真相をゆがめ、または事実を捏造して宣伝流
布するなどの行為により、会社の名誉、信用を著しく傷つけ、会社に甚
大な損害を発生させたとき
10職場の内外において殺人、傷害、暴行、脅迫、強盗、窃盗、横領その他
刑事事件を犯したとき
11私生活上の破廉恥、背信な不正不義の行為により、従業員としての体面
を汚し、会社の名誉、信用を著しく傷つけ、会社に甚大な損害を発生さ
せたとき
12会社の経営を侵害し、若しくは経営基盤を脅かすような行動・画策をな
し、または経営方針に反する行動、画策により正常な運営を阻害若しく
は阻害させようとしたとき
13その他前各号に準ずる程度の不都合な行為があったとき
(弁明)
第●条 懲戒該当行為を行った者を懲戒する場合、当該者に対して弁明の機会を与
える。
(損害賠償)
第●条 従業員が故意または重大な過失によって会社に損害を与えたときは、その
損害の全部または一部を賠償させることがある。ただし、これによって第
●条から第●条の懲戒処分を免れるものではない。
冒頭でも申し上げたとおり、懲戒の対応を誤るとトラブルが拡大し、それを不服
とした調停や労働裁判に発展する場合がありますので、懲戒規定を運用する場合は、
次の5点に注意して運用する必要があります。
1.就業規則に規定された事由以外で懲戒しないこと。
2.就業規則が施行される以前の行為に関しては遡って懲戒しないこと。
3.1つの非違行為に対して、2以上の懲戒を与えないこと。
4.同じ程度の非違行為に対して、その都度程度の異なる懲戒を与えないこと。
5.懲戒与える際、非違行為の程度に対して、妥当なものであること。
懲戒処分を行うにあたり、就業規則に定められた手続きに則って処分を決定し
なければなりません。手続きが規則に定められていない場合でも、従業員に対し
ては、弁明の機会を与え、処分を決定する場合には、懲罰委員会のような組織や
会社での適切な意思決定機関で決定される必要があります。
また、就業規則で定めた事由以外では、基本的には懲戒処分にできないので、
就業規則には具体的、かつ、詳細に規定しておく必要があります。就業規則に定
めていない事項でも、類似する事項であれば、類推適用する場合がありますが、
これは解釈次第でシロにもクロにもなることがあるので、慎重に行なうべきです。
次に懲戒の種類に関してですが、懲戒には主に譴責、減給、出勤停止、降格、
諭旨解雇、懲戒解雇があります。
譴責に関しては、従業員に対して大きなの不利益はおよぼさないので、法律上
の制約は特にありません。一番軽微な非違行為に対して行われるものです。
減給の制裁とは、実労働に対して支払われる通常の賃金を減額するということ
を言います。つまり、所定労働時間働いても所定労働時間分の賃金がもらえない
ことになります。したがって、法律で減給の上限を設けないと、従業員の不利益
が大きくなってしまいます。そこで、労基法では、減給の制裁の上限を、1回の
事案に対する額が平均賃金の1日分の半額以内、2回以上にわたる総額が1賃金
支払い期の賃金総額の10分の1以内と規定しています。
一方、出勤停止とは、一定期間会社への就業を禁止することを言いますので、
出勤停止期間中は働くことはありません。したがって、ノーワーク・ノーペイの
原則により、賃金を支払う必要はありませんので、これは減給の制裁には該当し
ません。
降格とは今の職位を解任して、下位の職位に格付けする懲戒処分のこといいま
す。降格は、下位の職位に下がることにより賃金の低下を招く場合がありますが、
職務の変更による賃金の低下なので、減給の制裁には該当しません。
そして、懲戒解雇は、懲戒処分の中で最も重い処分なので、懲戒解雇事由に該
当したからといって、すぐに解雇ができるものではありません。慎重に慎重に行
なう必要があります。まず、どの程度の損害が会社に生じたのか、そして、この
まま雇用を継続していくと損害が拡大するのか、会社の風紀秩序が維持できるの
かという観点で検討する必要があります。そして、これらを検討した上で、事の
程度が大きく、懲戒解雇が可能だという場合には、労働基準監督署の解雇予告除
外認定を受けることで、解雇予告手当を支払うことなく、即日解雇することがで
きます。しかし、これは、解雇してしまった後では除外認定の手続きは行えない
ので、解雇をする前に除外認定手続を取る必要があることに注意してください。
仮に除外認定がおりなかったとしても、合理的な理由があれば、懲戒解雇を行
なうことは可能です。しかし、除外認定がおりていないので、即日懲戒解雇を行
なう場合なら、解雇予告手当の支払いが必要になります。
ちなみに、諭旨解雇とは、懲戒解雇に該当するような非違行為を犯した従業員
に対して、情状酌量の余地があり、懲戒解雇にすると本人の今後の転職等に不利
益をおよぼすことがあるので、それを回避するために、本人に退職を勧告し、退
職届を提出させ、表面上は自己都合退職にするものです。しかし、諭旨解雇は、
表面上自己都合退職であっても、法的性質においては解雇ですので、懲戒解雇同
様の観点と解雇に関する法的手続きは必要です。
最後に、懲戒とセットで取り扱われることの多い、損害賠償について考えます。
従業員が会社に対してトラブルを起こし、会社に損害を与えた場合において、会
社が従業員に損害賠償を請求する場合というのは、従業員の故意によるもので、
悪質、かつ、金額が多額な場合にされるのが一般的です。したがって、実際に就
業規則に基づいて損害賠償を請求するというのは稀であり、むしろ、従業員をけ
ん制する意味合いで規定していると考えるべきでしょう。
このほか、懲戒として規定すべき事項として、過去に懲戒処分を受けた従業員
が再犯した場合の加重に関する取り扱いや、他の従業員をあおって、他の従業員
に非違行為を行なわせた場合などのように間接的に加担していた場合の教唆、煽
動、幇助に関する取り扱い、部下が非違行為を行なった場合の直属の上司に対す
る管理監督責任に関する取り扱いなどがあります。
皆さんの会社で懲戒に関する規定が適切に定められているかどうか、就業規則
の条文を見直してみてください。
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■ 編集後記 ■
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今年1年間お送りしてきました「就業規則を作ろう!!」も、いよいよ次回の
「賃金」をもって最終回となります。また、1月からは新テーマでお送りいたし
ますので、どうぞお楽しみに!
人事労務指導部 須貝耕二
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■ 発行者 ■ 株式会社日本人事コンサルタンツ
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経営コンサルタント10名、国税局OB税理士4名
≪関連組織≫
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