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2008/06/30

太田ジオメールマガジン[128]〜岩手・宮城内陸地震、の巻〜

◆太田ジオメールマガジン第128号!!!◆

1Gを越える地震による地すべりについて考えてみました

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          ━ Vol.128 ━ 2008.6.30 ━

***********************広 告*******************************************
地質リスクの「伝達」には地球統計学が役にたちます
http://www.ohta-geo.co.jp/image06/tisitutotyousa.png
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低ライフサイクルコストかつ高強度な恒久集水ボーリング保孔管
http://www.chiyoda-kizai.co.jp/PN/index-sabiless.html
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★平成20年岩手・宮城内陸地震
 2008年6月14日(土)午前8時43分にマグニチュード7.2の地震が発生しました。
 6月20-21日に現地調査に行ってきましたので、その報告です。

★公共土木工事では新技術提案が31.6%
 新技術活用率が各地で伸びているそうです。

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■平成20年岩手・宮城内陸地震
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岩手・宮城内陸地震は山間部に発生した直下型地震だったので、都市部の被害は
それほど大きくはありませんでしたが、中山間地では、死者・行方不明者22名を
出す災害となりました。特に、大規模な地すべりや、河道閉塞、土石流といった
土砂災害が顕著でした。被災された方々にお悔やみを申し上げるとともに、被災
地の一日も早い復興をお祈りします。

当社からは太田が土木学会斜面工学研究小委員会のメンバーとともに6月20-21日
に現地調査を行ってきました。その際の写真を下記URLに示します。防災目的
の場合には、出典を明記していただければご自由にお使い下さい。

平成20年岩手・宮城内陸地震調査写真
http://www.ohta-geo.com/siryou45/iwate_eq.html

今回の土砂災害のうち、極めて特徴的だったのは荒砥沢ダム付近で発生した幅・
長さともに約1kmという大規模地すべりです。この地すべりについての現時点で
最もわかりやすい資料は、下記です。

荒砥沢ダム上流地すべり調査報告 
(社)日本地すべり学会岩手・宮城内陸地震緊急調査団
http://wwwsoc.nii.ac.jp/thb-jls/download/h20eq_JLS2008a.pdf

<頭部から中部のパノラマ写真:太田撮影>
幅1200ピクセルの写真
http://www.ohta-geo.co.jp/image07/izawa_toubu-s.JPG
http://www.ohta-geo.co.jp/image07/izawa_mattan-s.JPG

<末端部のパノラマ写真:太田撮影>
大判写真(幅5000〜600ピクセル)
http://www.ohta-geo.co.jp/image07/izawa_toubu.JPG
http://www.ohta-geo.co.jp/image07/izawa_mattan.JPG

日本において、一般に「地すべり」は地すべり等防止法で定義されるように「地
すべりとは、土地の一部が地下水等に起因してすべる現象又はこれに伴つて移動
する現象をいう」となっています。この場合の「地下水等」は降雨や融雪に起因
するものと考えられます。地震による地すべりは、メカニズムが意外にまだよく
わかっていない現象です。

2004年新潟県中越地震における東竹沢の地すべりなどにおいては、京都大学防災
研究所の佐々先生を中心とした研究で、粒子破砕時に発生する過剰間隙水圧によっ
て砂層のせん断強度が低下したと報告されています。今回も同様のメカニズムだっ
た可能性は否定できませんが、東竹沢は25゜前後のすべり面傾斜角があったと思
いますが、荒砥沢では5〜6゜と非常に低角度です。

5〜6゜の滑りというのは、神戸層群の地すべりや、谷埋め盛土の地震時滑りでよ
く発生する傾斜角です。神戸層群のすべり面は、モンモリロナイトが多量に含有
されており残留強度そのものが非常に小さく、古第三紀の地層だというのにグリ
スのように露頭から溢れてくることさえあります。そのすべり面に地下水圧が作
用して降雨により滑動します。

谷埋め盛土の地震時滑動崩落では、盛土最下部の緩んだ土砂が強震動により液状
化を起こすことで発生すると考えられています。荒砥沢もこれと似ているような
気がしますが、岩盤では、盛土最下部のいわゆる「膿んだ場所」があるとは考え
にくいので、違うメカニズムがあると思います。

荒砥沢ダムサイト付近では1000gal(おそらく大規模地すべり地ではそれ以上)、
一関市厳美街祭時で防災科学技術研究所が観測した上下動の最大加速度は
3866gal(三成分合成で4022gal)でした。地震によって発生した地すべり変動箇
所が1Gを越えたと確実視されるのは今回が初めてかもしれません。上下方向で
1Gを越えるということは、どんなに重いものでも飛び上がるということです。

地すべりの様子は、日本地すべり学会の調査団が目撃者への証言を再確認してお
り、強震動がおさまったあとでも地すべりが続いていたようです。またダム建設
の際に地すべり活動度の評価が行われているはずですので、もともと不安定では
なかったのではないかと思われます。それらのことから、仮説図を書くと下記の
ようになるのではないかと「想像」します(証拠はありません)。

1Gを越える地すべりメカニズムの想像図
http://www.ohta-geo.co.jp/image07/1g-over.gif

この「想像」の解説は以下の通りです。
土塊が1G以上の鉛直方向の加速度で「浮き上がる」とすると、そこは真空状態
に近いので岩体中に含まれる裂カ水などがバキュームで吸引されるように出てき
て、次の瞬間ドスンと岩体が落ちてきたとき、その吸引されて自由になった水は
元の岩盤裂カ内に戻れず「水膜」を形成するのではないか(もちろん完全に岩体
が持ち上がらなくても一部ねじれて真空状態ができても良いのですが)。その水
膜の水圧は、最大土塊荷重そのものなので「過剰間隙水圧=土被り圧」となりフ
リクションは消失します。それ以外の側部や、末端閉塞の地形条件などが抵抗と
して作用するだけです。

荒砥沢ダム上流の地すべりが、すべり面角度5〜6゜で地震発生後5分後にもまだ
動いており、その後10分ほどで止まったということは、過剰間隙水圧の水膜の上
を滑り、その後水圧が消散したと考えることはできないでしょうか。

この「想像」は、岩盤の動的試験をすると「岩石の破壊も曲げが作用したときに
できる開口クラックの真空中に水が引き込まれ、逆に圧縮となる時に封じ込めら
れた水が岩石を破壊する」という、地層科学研究所(http://www.geolab.jp/
の里社長からよく聞かされる話から連想したものです。


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■公共土木工事では新技術提案が31.6%
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6月25日、国交省HPに「公共工事等における新技術活用システム」の平成19 年
度新技術活用状況について報道発表がありました。

http://www.mlit.go.jp/report/press/kanbo08_hh_000016.html

”新技術活用率は、着実に伸び、平成19 年度では、31.6%を達成しました。
(国土交通省行政効率化推進計画(平成16 年6 月15 日)に掲げた目標30%を達
成。)新技術活用工事件数も年々増加し、約4,300 件となりました。”

とのことです。建設関連業月報6月号の「時々刻々」には、北陸事業整備局では、
「全工事に占める新技術の活用率は、前年度の3割弱から44.2%に大幅に増加。総
合評価方式では約41%の工事を新技術の提案企業が落札した。」と書かれていま
す。そして「入札時に新技術の活用を提案すれば落札する傾向が高まることが判
明した。工種別に見ると、土木工事と造園工事は約87%の工事で新技術が提案さ
れているが、設備等の専門職種では提案がほとんど無かった。」

ということなので、当社がNETIS登録している技術と、その使い道を下記にご提
案します。(たぶん新技術はNETIS登録技術のことを指し示すと思いますので)

KK-030021 恒久集水ボーリング保孔管
ライフサイクルコスト低減と、施工時の手戻り(ケーシング抜管時のパイプ破断
等)防止のための技術。耐用年数が明確なのはサビレスだけです。塩ビ管系は強
度(特に継手部)が弱いので地すべり滑動で緩んだ土塊内の動き・変形の度合い
に依存します。黒皮のガス管類は錆ができる環境に依存します。
http://www.chiyoda-kizai.co.jp/PN/index-sabiless.html

KT-040081 恒久排水補強パイプ
盛土地盤〜強風化岩法面の簡易な排水補強。宅地谷埋め盛土や道路沢埋め盛土の
地震時対策に。これもサビレス管を使っています。プレボーリングせず打ち込み
ますので、孔壁崩壊による目詰まりの心配がありません。
http://www.chiyoda-kizai.co.jp/PN/index-pdr.html

KK-050007 EVS−地盤空間環境データ3次元可視化システム−
説明力の強化と、「地質リスク(地質推定の曖昧さ)」の定量的(確率的)評価
のために(最新号の「地質と調査」は地質リスクマネジメントの特集号です)。
不十分な量の地質調査でできあがった図面が一人歩きしないようにするには、そ
の図面の推定精度と、その影響を金銭的価値に翻訳して説明することが大切です。

KK-050008 3D-SLIDE−地すべり・崩壊3次元安定解析システム−
地質調査で得られるデータを、出来る限り「そのままの値を」「そのままの質」
で利用するのが調査屋の務めです。3次元安定解析で革新的な事実がわかるよう
になることはありませんが、超単純化した現行の2次元安定解析に比べて、建設
事故を少なくしたり、対策コストを低減させることは可能になります。


((((((( 編集後記 )))))))
地震調査に毎年のように出かけるようになりました。いろいろな地震がありまし
たが、先日月刊地球198号で「1995年新潟県北部地震」の特集号を見つけ、特集
になるくらいの被害地震を忘れかけていたことに驚きました。現代に生きている
ものがこれくらい忘れるのですから、情報伝達が未発達の時代には忘れ去られた
被害地震が多かったのでは無かろうか?古文書の記録に残っているものは、ほん
の一部に過ぎないのではないか?という気がしてきました。また、地震は活断層
で起きる。活断層はリニアメントを判読すればわかる。知られていない活断層は
M6.9と考えて揺れを算出する。という常識が最近の地震では数多く覆されていま
す。これは逆に言えば、リニアメントで動く地震の揺れはどれくらいなのだろう
か?という畏れを感じることでもあります。(H.O)

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KT-040081 恒久排水補強パイプ−地震および豪雨時における法面補強工− 
  http://www.ohta-geo.co.jp/reports/002/takuti_kouji.html
KK-030021 恒久集水ボーリング保孔管−錆びない、破断しない高強度鋼製
  集水ボーリング保孔管・・・まだ塩ビ管をお使いですか?−
KK-030018 簡易測量システムSUGDAS −レーザー測距儀利用地形図作成システム−
KK-050008 3D-SLIDE−地すべり・崩壊3次元安定解析システム−
KK-050007 EVS−地盤空間環境データ3次元可視化システム− 
-----------------------特許等---------------------
斜面安定化工法;土塊をブロック化し、側部抵抗力を有効にした斜面安定化工法
地すべり抑止工法;側部抵抗を有効に利用した地すべり防止工法
耐震構造;地下水排除・間隙水圧消散、並びに地盤補強による地盤の耐震化工法
受圧板付き補強管、及び地表面の崩落防止工法、並びに斜面の補強工法
堤防の崩壊防止工法;堤防の浸透防止を実現する簡易・廉価な工法
その他実用新案、特許申請中数件
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