なんでも読書 NO.2639 池波正太郎「殺しの掟」
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2008.06.26
Vol.2639
『殺しの掟』
池波 正太郎(いけなみ しょうたろう)
出版:講談社文庫 2007年
定価:730円(税込)
ISBN978-4-06-275723-2
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この著者の有名なシリーズ物に「藤枝梅安」がありま
すが、その先駆けとなった短篇集。音羽の元締や剣客
西村佐内、楊枝作りの彦次郎も登場します。肝心の、
藤枝梅安はまだ出てきません。こうして読んでみると、
梅安シリーズには勧善懲悪というところがあったもの
ですが、本書はものの見事な日本版ノアールですね。
九篇収録。
おぬいが浅草寺境内でむかしの友だちのお米に会った
のは、その年も暮れのことだった。岡場所で苦労した
仲間だったのだが、おぬいは大工の直さんにひかされ
て、幸福なはず。ところが直さんが死に、再婚しよう
としたら義理の息子が・・・・・
「おっ母、すまねえ」
武士が殺害されるのを目撃した弥吉は、七日後殺した
侍に偶然出会った。後をつけて、旗本近藤監物の上屋
敷に入ったのをたしかめた弥吉は、ゆすりの種が見つ
かったとほくそ笑んだ・・・・・
「夜狐」
元締音羽の半右衛門から依頼された木村十蔵は、気が
進まぬまま、当の仏具屋和助と知り合ってしまった。
聞けば、和助の父親は絵師で、十蔵の師伊川梅渓だっ
た。ますます殺すことができない・・・・・
「顔」
音羽の半右衛門のキャラクターは、「藤枝梅安」に登
場する半右衛門とまったく同じです。しかし、房楊枝
作りの彦次郎は少し異なっています。同様に、西村佐
内も少しばかり違う。名作「藤枝梅安」シリーズは、
言うなれば池波正太郎のノアール物の集大成なので、
それまでに作りつつあったキャラクターが完成の域に
達していたと思われます。
『これだけの恐ろしい内密事をこっちにつかまれてい
ちゃあ、金を出すよりほかに、あの連中は才覚がつか
ねえものさ』
『女というものは、恐ろしいことを考えるものだ』
『生半可な悪は一時も早く、あの世に行ってもらわな
くちゃあ、世の中がおさまりませんよ』
『二度と、こんなまねをしねえことだ。もし、またや
ったら、今度はお前、御陀仏だぜ』
それまでの時代小説だと、悪役に回るはずのキャラク
ターがここでは主役。義理も人情もなく、金のために
人を殺す。勧善懲悪の世界では、敵役のはずですね。
こんな非情の人間群像を描いてみせれば、著者は一級
品の腕の冴え。
本書を読んで面白いと思った読者は、さっそく「藤枝
梅安」シリーズを読んでみましょう。そうなると、池
波正太郎中毒になること必至。
2時間20分
飼い主の性格わかるペットたち
評価 ★★★★
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★★★★・・・・・・なん読お薦め本
★★★・・・・・・・好み次第だけど、平均点以上
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