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2008/04/27

競馬の文化村「もきち倶楽部」   No.873

競馬の文化を発信するメール・マガジン        2008 年4月28日発行
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    競馬の文化村「もきち倶楽部」          No. 873

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▼目 次▼

■ 富山の競馬(戦後編)   第131回          立川健治  

   各地の闇競馬(64):新潟:ファンの要望、進駐軍の慰問


■ 佐藤正人著『わたしの競馬研究ノート』 第545回   編:山本一生 

   競馬ノート15:競馬切抜帳(45)

     オグリキャップ有終の∨

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■ 富山の競馬(戦後編)   第131回           立川健治  
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   各地の闇競馬(64):新潟:ファンの要望、進駐軍の慰問
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 新潟県馬匹組合連合会(以下県馬連)が、進駐軍慰安も謳って、信濃川の河川
敷の三条競馬場(現・三条市上須頃)で闇競馬を開催したのは、1946年8月
24日から4日間だった。富山からは1週間遅れていたが、全国的にみれば速い
時期に属していた。
 この三条競馬場は、1928年に設置され、同年6月に第1回開催が行なわれ
ていた。
 戦前、新潟の地方競馬は他に柏崎競馬場で1931年以降開催されていたが、
軍馬資源保護法(1939年施行)に基いて、軍馬鍛錬競走の指定競馬場となっ
たのは三条だった。鍛錬競走は、1944年8月まで続けられていた。

 各地の闇競馬に刺激されて、新潟県馬匹組合連合会が三条の地元の南蒲原郡馬
匹組合をはじめ関係者と協議、当時の県馬連会長岡田正平の決済を得て、開催に
こぎつけたものだったという。岡田は、1947年4月に実施された初の知事選
で当選、県知事として新潟の地方競馬の発展に力を尽くすことになる。

 その開催の予定がつぎのように報じられていた。


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   「ファンの待望の三条競馬開催 24日より四日間」

        『三条新聞』1946(昭和21)年8月11日


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 戦争中軍馬保護馬鍛錬馬競走の名の下に行われた三条競馬は昨20年中止され
(註1)今年も大会予算の捻出難やら馬糧不足で調教が思うようでないなどの悪
条件から復活を危ぶまれ競馬ファンを失望させて居たが、県馬匹組合連合会では
ファンの要望に応えると共に進駐軍の慰問を兼ね万難を排して復活する事になり
来る24、25、26、27の四日間(小雨決行)市外大島村三条競馬場(註2)
にファンの血を湧かす豪華スリルを展開する、因みに馬券は単10円複20円で
出場馬に対する賞金合計は2万2570円(註3)である。

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 註
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(1)
 最後の開催が昭和19年8月であり、昭和21年8月に再開された形だったの
で、「昨20年中止」と記したのだろう。

(2)
大島村は、現・三条市上須頃の旧地名。

(3)
 ちなみに富山第1回の賞金合計は3万円。

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 解 説
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 4日間の馬券の総売上高は237万780円、人出は10万余だったという。
富山の第 1 回開催の売上高が3日間で180万円だったことと比較すれば、ほ
ぼそれと同じ額だった。
 30万円の純益があったという。
 なお『地方競馬史』第2巻(1974年)は、第1回闇競馬を10月開催とし
ているが、実際は、この記録のように8月に開催されていた。

 第2回の開催は時間があき、11月8日からの3日間開催となった。
 賞金は15万円と8月の6倍近くとなり、富山や石川をはるかに上回り、東北
地方を加えても第一位の額だった。
 今回は目的として、明確に「引揚者援護資金募集」(越冬対策資金)を謳い、
県馬連と戦災引揚者更生同盟共済の形がとられた。
 また戦前、三条競馬を支援していた三条競馬倶楽部が、戦後復活し、施設整備
などに出資していたのであろう、この第2回、開催は主として同倶楽部員の南蒲
原郡畜産組合の有志が、出資金を募って開催にこぎつけたものでもあったという。
県内選出の代議士の関与があったようでもある。

 売上高は300万円を超えたという。全国的に見ると中位以下ではあるが、東
北、北陸地区に限定すれば、それでも第一位の額だった。
 この開催でも30万円の収益があり、三条競馬倶楽部時代の銀行からの借入金
5万円を返済し出資額に応じて各人に配分したという。
 富山、石川の県馬連は計3回の開催を行っていたが、新潟の場合はこの2回で
終っていた。

 新潟の地方競馬の売り上げが急激にアップしたのは、当時は国有となっていた
かつての日本競馬会の関屋競馬場(現・新潟市文京町、信濃町等一帯)での開催
を行うようになった1949年7月以降のことだった。
 人口が多くて、交通便利、その上に本格的施設とくれば、観客動員、売上高が
伸びても当然だった。

 参考までに1949年の関屋、三条両競馬場の数字をあげておく。
 三条が計3回12日間、有料総入場者数1万5560人、総売上高1335万
0240円、1開催平均445万0213円、関屋が計4回18日間、有料総入
場者数6万7013人、総売上高9324万2520円、1開催平均2331万
0630円、売上高の格差約1対6であった。
 

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 関係略年表 
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  1946(昭和21)年

 1月 1日 天皇「人間宣言」
    4日 GHQ、軍国主義者の公職追放指令
 2月 3日 マッカーサー、GHQ 民生局に、天皇制、戦争放棄、封建制度廃 
        止を原則とする憲法草案作成を指示
   17日 金融緊急措置令(新円発行、旧円預貯金封鎖、現金給与支払は
        500円まで)
 3月 6日 政府、憲法改正草案要綱発表
       農林省、地方競馬実施条例案、各都道府県馬匹組合に諮問   
 4月10日 衆議院選挙
   22日 幣原喜重郎内閣総辞職
 5月 1日 メーデー復活
    3日  極東国際軍事裁判所開廷
   19日 食糧メーデー
   22日 吉田茂内閣発足
   27日 静岡県馬匹組合連合会開催(三日間、三島競馬場)
 6月 7日 農林省、全国の馬匹組合の代表者を集めて、地方競馬実施条例案
        研究会(14日まで)
   13日 日本競馬会、春季開催を断念
   20日 憲法改正案上程
 7月 4日 札幌競馬場で進駐軍競馬(20、21日も開催)
   19日 愛知県馬匹組合連合会主催(三日間、岡崎競馬場、地方競馬法施
        行までに計2回)
   26日 石川県馬匹組合開催
           (三日間、小松競馬場、地方競馬法施行までに計3回)
   27日 主催アメリカ第11空挺師団、賛助渡島馬匹組合、函館競馬倶楽
        部の進駐軍競馬開催
              (二日間、函館競馬場、第2回8月10、11日)
   28日 大阪府馬匹組合連合会開催
               (春木競馬場、地方競馬法施行までに計7回)
 8月 1日 岐阜県馬匹組合連合会開催
           (4日間、笠松競馬場、地方競馬法施行までに計3回)
   17日 北海道レースクラブ開催
              (札幌競馬場、地方競馬法施行までに計14回)
       神奈川県馬匹組合連合会開催
               (戸塚競馬場、地方競馬法施行までに計2回)
       富山県馬匹組合連合会
               (高岡競馬場、地方競馬法施行までに計3回)
   24日 三重県馬匹組合開催
            (4日間、霞ヶ浦競馬場、地方競馬施行まで計3回)
       新潟県馬匹組合連合会開催
           (4日間、三条競馬場、地方競馬法施行までに計3回)
   29日 地方競馬法、議員立法として衆議院上程
 9月 5日 地方競馬法衆議院通過(23日貴族院通過)
    7日 主催アメリカ第11空挺師団、賛助函館競馬倶楽部の進駐軍競馬
          (二日間、函館競馬場、第11次11月24、25日まで)
   13日 埼玉県馬匹組合連合会開催(4日間、春日部競馬場、地方競馬法
        施行までに、川越、浦和、熊谷と計4回)
   14日 京都府馬匹組合連合会開催
           (4日間、長岡競馬場、地方競馬法施行までに計2回)
   20日 茨城県馬匹組合連合会開催(4日間、取手競馬場、地方競馬法施
        行までに計2回)
       山梨県馬匹組合連合会主催(3日間、富士競馬場、10月17日
        からは玉幡競馬場で6日間開催)
   21日 滋賀県馬匹組合連合会開催(4日間、草津競馬場、地方競馬法施
        行までに計2回)
   26日 奈良県馬匹組合連合会開催(4日間、地方競馬法施行までに計3
        回)
   28日 主催アメリカ第11空挺師団、賛助室蘭レースクラブ、第1次室
        蘭競馬開催
          (2日間、以後12月1日までの毎週末第9次まで開催)
       八戸馬匹組合開催(2日間、大平牧場、地方競馬法施行までに計
        2回)
10月 4日 東京都馬匹組合連合会開催(八王子競馬場、競馬籤も発売、地方
        競馬法施行までに計2回、11月第2回開催から連勝複式馬券
        発売)
    5日 青森競馬倶楽部開催(5日間、油川飛行場馬場、後援青森進駐軍)
       盛岡振興競馬倶楽部主催進駐軍慰安競馬(2日間、黄金競馬場、
        地方競馬法施行までに計3回)
    6日 競馬法改正(地方競馬法成立を受けての一部改正、枚数制限撤廃、
       配当制限を10倍から100倍へ)
    7日 日本国憲法成立(11月3日公布)
   11日 第二次農地改革関連二法案成立(21日公布)
       群馬県馬匹組合連合会主催(6日間、高崎競馬場、地方競馬法施
        行までに上泉、前橋と計3回、)
   17日 18、27日、11月2、3日本競馬会春季開催(東京、京都両
       競馬場)
       栃木県馬匹組合連合会主催(6日間、足利競馬場)
   26日 福井県馬匹組合連合会主催(3日間、大野競馬場)
11月 1日 長野県馬匹組合連合会主催(4日間、上諏訪競馬場)
       大上競馬倶楽部主催・平鹿馬匹組合後援秋田全県競馬大会
                         (3日間、大上競馬場)
    2日 若松競馬協賛会・会津馬匹組合主催(4日間、会津競馬場)  
   16日 17、23、24日、12月1、8、15日本競馬会秋季開催 
       (東京、京都両競馬場)。
       宮城県馬匹組合連合会主催(4日間、長町競馬場)
11月24日 東京競馬場で第7回優駿牝馬競走(勝馬ミツマサ)
12月 1日 京都競馬場で第7回農林省賞典競走(現菊花賞、勝馬アズマライ)
   20日 地方競馬法施行(以後年末までに各県馬匹組合連合会開催計25場)
12月27日 傾斜生産方式開始

 *上記以外の闇競馬に関しては、本シリーズで紹介する毎に追加していきます。
  
   
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♪♪ ダービーの系譜から、近年盛んなPOGまで、たくさんの興味深い逸話を
ちりばめて、歴史、血統、ジョッキー、馬産理論等々、ミステリーの道具立てを
愛情いっぱいに説く。無類の優しさにみちた「書斎の競馬」の決定版。
 解説・高橋源一郎。


  山本一生著 『増補・競馬学への招待』 平凡社 1260円(税込み)


「彼の素晴らしき傑作、この「競馬学への招待」を読んだあなたなら、
 我々には、いや日本の競馬には、山本一生が必要なことがわかるはずなのだ」

                        高橋源一郎
  
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■ 佐藤正人著『わたしの競馬研究ノート』 第547回   編:山本一生  
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   競馬ノート15:競馬切抜帳(47)
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 オグリキャップ有終の∨
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「公営の星オグリ 伝説作り去る」、「雑草の底力 有終のV」、「18万人感
激」などの見出しで、朝日(90/12/24)にのった記事を紹介する。
 朝日新聞が1頭の馬について、こんなに大きく取上げたのは珍しい。オグリキ
ャップが、いかに偉大な馬で、しかも多くの競馬ファンに愛されていたかを示す
ものであろう。


 オグリキャップはやっぱり怪物だった――23日、千葉県船橋市の中山競馬場
で行われた有馬記念で、またドラマが生まれた。この日が引退レースになるオグ
リキャップが、大方の不調の予想をしり目に快走、奇跡の復活を果たした。同競
馬場開設以来、最高となった17万7779人の観客は、わずか2分半のドラマ
に酔った。昭和から平成へと競馬ブームを盛り上げた立役者は、ファンの大歓声
の中で花道を飾った。
 岐阜の笠松競馬場でデビューしたオグリは、1988年3月、公営から中央競
馬入りした。無敵の重賞6連勝、4歳で有馬記念制覇など、一時代を築いた。
「サラブレッドは血で走る」といわれる競馬界で、“雑草の強さ”を見せつけ、
同じ公営出身のハイセイコー以来の爆発的な人気を呼んだ。
 しかし、今年5月の安田記念に勝って以降は、不振にあえぎ、一時は、有馬記
念は不出馬のうわさも流れたほど。ファン投票は1位だったものの、単勝人気は
4位だった。
 午後3時すぎ、天才ジョッキー武豊騎手を乗せ、オグリが姿を現すと、女性フ
ァンから「オグリ!オグリ!」の声援。この雰囲気に、興奮したヤエノムテキが
騎手を振り落とすハブニングも起きた。
 同25分、出走。オダリキャーツプを先頭にした16頭の馬群が最後の直線コ
ースに入ると、身動きもできないはどのスタンドは、歓声、怒号、声援が入り交
じった「大音響」。ゴール前で大外から追い込んできたメジロライアンを抑え、
有馬記念2勝目を飾った。 何度もガッツポーズを繰り返す武騎手に合わせるよ
うにファンからはオグリの引退を惜しむ大きな拍手と、オグリコールが続いた。
 このレースにつぎ込まれた金は、1レースとしては史上最高の480億302
6万2000円。また、今年の日本中央競馬会の売り上げも約3兆984億57
00万円と、これまた最高額となった。
 アイドル並みの騎手人気や、ぐんと増えた女性競馬ファンなど、競馬界にとっ
てはとかく話題の多かった1年。ブームの影響で、この日の女性入場者数は初め
て全体の1割を超すなど新記録ずくめとなった。


 半世紀以上に競馬を見てきた私にとって、最もすばらしい、忘れることの出来
ないレースであった。もう2度と、こんなに感激するレースを見ることは出来な
いのではないかと思っている。
 これで、オダリキャップは、中央で20戦12勝で史上1位の獲得賞金を8億
8970万2000円に伸ばしたことになる。


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  『わたしの競馬研究ノート』こそは、わが競馬界が生んだ金字塔であり、
  それは、競馬を志す後進者が汲めども尽きざるヒントの養水池である。
  残念ながら、生前、佐藤さんに親炙する機会を持つことはなく終わったが、
  これらの書物を通して、私は、今も佐藤さんに私淑することができる。

                            伊与田翔

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 競馬の文化村「もきち倶楽部」              No. 873  
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              汎用配信 340  まぐまぐ 298    
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【発行者】     安部俊彦 
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【編集人】     山本一生 
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