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* FK * FK ――学校をめぐるコメント・コラム集 * FK *
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第191号 2008年 1月 16日(毎月1・16日発行)
目次
**学校をめぐるコメント**
498.『クリスマス・キャロル』から
**日々雑感**
589.読書・所感−2008年1月前半
**最近読んだ本から
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**学校をめぐるコメント**
498.『クリスマス・キャロル』から
(2008年 1月 7日 月曜)
キリスト教については、科目「倫理」においては言うまでもなく一大テーマ
である。さらに世界史や思想史などあらゆるものの根底に位置する大思想であ
る。これを私たちが日本の学校で学びあるいは授業をしていくというのはなか
なか困難なことだ。
そうはいっても逃げているわけにはいかず、少しでも勉強を進めようとは心
がけているところだ。昨年末研修の一環として日本人の生活の中に取り入れら
れている年中行事の一つ「クリスマス」について、チャールズ・ディケンズの
名作『クリスマス・キャロル』を映画化したものを題材として考えてみた。
映画は二作作られており古い方はモノクロで、新しい方はミュージカル仕立
てのカラー作品。授業で生徒たちに見せるにあたって両方を見比べてみた。授
業ではカラー作品であり楽しい音楽も入っている方を見せたが、なかなか好評
であった。
*
キリスト教国の人たちにとっていかに「クリスマス」というものが大切な行
事であるか、と気づかされ、驚かされる。日本社会での表面的ではあるが、宗
教色のなさに愕然として、逆に宗教とは切っても切り離せない日常生活を送る
キリスト教国の人たちのことを思い知る。
さて内容はひとえにキリスト教信仰を勧め、クリスマスを祝わないことに対
してお伽話を使ってその間違いを悟らせていくというものである。主人公スク
ルージの過去・現在・未来のクリスマスの様子を三人の幽霊が深夜に案内し、
あるいは脅し・懐かしがらせ・同情を誘いして「改心」させていく。
そのシーンは分かりやすく、またスクルージでなくても誰しもが大なり小な
り経験する人生の出来事・エピソードなのである。それだけ捉えれば、これは
キリスト教信仰を勧めるためだけの内容とは限定できない。つまり一般論とし
て人生と人びととを愛し、世のため人のために自ら出来ることを善行としてや
っていく、ことの勧めなのである。ここにはクリスマスもキリスト教信仰もな
くても、一般論として十分通用する考え方なのだ。
そうなると何も宗教の宣伝に無理矢理持って行かなくても成り立つストーリ
ーではないか、と無信仰の者は思ってしまう。日本の多くの人たちもそう考え
ているのだろう。その証拠にキリスト教信仰がなかなかこの日本という風土に
根付かず、ザビエル以来急速に広まったとはいえ弾圧もあり、ついに爆発的に
までは広まることなく現在に至っているわけである。
*
宗教というものが私たちにとって必要なものかどうか。――
授業でその問いを投げかけるのだが、まだ人生経験の浅い生徒たちにはやや
荷の重い問いでもある。宗教、それもこの大宗教であるキリスト教の理解は難
しい。
宗教について授業で説けるのは個別の宗教のことではなく、せいぜい「宗教
心」かなと私は思う。
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**日々雑感**
589.読書・所感−2008年1月前半
2008/1/ 8(火)『総門谷 上』(高橋克彦 講談社 1985年 \1000)
本年の第一冊。スタートは昨年に比べ遅い。結局、昨年は251冊。気にして
なかったが、読んでたんだなと思った。さて。
UFOとかフリーメーソン・自衛隊・米空軍などが出てき、場所も早池峰
山・遠野付近が出てきてなんともおどろおどろしい。もちろん何人もの人が消
されていったりもする。主人公のはずの霧神顕(きりかみ・あきら)の登場が
やや遅いのも、話しの進行が遅く書き込みすぎ(?)なのも、まだ著者が若か
ったからしれない。今ならもっと締まった書き方をしているだろう。
それにしても1980年代の何とものんびりした・今とはやや隔絶した感のある
お話である。この先続刊が続くのだが、どのような展開をするのやら。私はこ
の手のはあまり手を出したことがないので面白半分の興味と著者の読ませる筆
力で読み進めている。
2008/1/13(日)『総門谷 下』(高橋克彦 講談社 1985年 \1000)
歴史上の名だたる人物を生き返らせて(?)「使徒」ならぬ「死徒」として
使役し世界征服を......という話に。
結局、最後のところでは私には訳が分からなくなって。とまれ、続刊を読ん
でいこう。
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2008/1/12(土)『宵待の月』(鈴木英治 幻冬舎 2007年 \600)
この出版社からは初めての出版ということになる書き下ろし文庫。
なかなかハードな本格的な時代小説である。つまり読むのに苦労するくらい
しんどい重い内容である。
主人公は氏の造型した魅力的な30歳前後の男性・深見半兵衛。出抜(すっ
ぱ)つまり忍者というかスパイというか。その里でともに住む家来たちを引き
連れて戦う者である。
著者の地元ということもあり、ここでも駿河・今川氏が中心人物であり、最
終的に例の今川義元が家督を相続しこれから戦国時代を生きていくというとこ
ろで終わる。ただ彼自身はほとんど名前だけしか出てこない。氏の作品の『義
元謀殺』の約30年前、義元18才頃の話しである。
戦国の世の非情さ・無益な戦いと多くの人びとの死、そういったものが描か
れていて、読んでいてなかなか辛いものがある。肉弾戦の殺し合いをしなけれ
ばならない時代というのは嫌なものだ。なのに今の人たちにはそういったとこ
ろが面白いとして人気があるのは、皮肉なことだ。
とまれ『義元謀殺』・『血の城』に続きなかなかの時代小説・歴史小説とい
えるだろう。
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2008/1/14(月)『螺鈿迷宮』(海堂 尊 角川書店 2006年 \1600)
やや冗長の嫌いがあり、読むのに苦労した。本職が医者なせいかその方面で
はどうしてもこだわりたくなるのだろうが、もう少しスリムにしてもらったほ
うがいい。駄弁というか言葉の遊びもいっぱい楽しんでいるが、それも切りつ
めたほうがいいだろう。もっとも、それができないところがアマチュアである
所以なのだが。
しかし「終末期医療」の問題など考えさせられることも。
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2008/1/15(火)『歴史教育と歴史研究をつなぐ』(山田 朗 岩波書店 2007
年 \480)
今、日本史の授業をどのように展開するか悩んでいる。迷っている。そんな
中で図書館で見つけたブックレット。
歴史教育と歴史研究と歴史叙述の関係。その中で歴史教育の仕方について、
どのようにすべきなのかとあらためて悩んでいる。最近とみに「歴史叙述」に
あたる時代・歴史小説を読み、あるいは映画をビデオやDVDで観て思うのだ。
どのようにあるべきか・するべきか。
編者は最後に「現代における歴史叙述とは、教科書・通史や歴史小説に限ら
ず、テレビや映画などで描かれるすべての構成された歴史であり、とりわけテ
レビや映画などの視覚化された歴史叙述の影響力の大きさ――教科書ではなく
そういったものが現実の歴史認識をつくっていく――に研究者・教育者はさら
に注目していく必要がある」(P.63)と述べている。同感である。
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**最近読んだ本から
2008/1/ 8(火)『総門谷 上』(高橋克彦 講談社 1985年 \1000)
2008/1/12(土)『宵待の月』(鈴木英治 幻冬舎 2007年 \600)
2008/1/13(日)『総門谷 下』(高橋克彦 講談社 1985年 \1000)
2008/1/14(月)『螺鈿迷宮』(海堂 尊 角川書店 2006年 \1600)
2008/1/15(火)『歴史教育と歴史研究をつなぐ』(山田 朗 岩波書店 2007
年 \480)
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FK −−学校をめぐるコメント・コラム集 マグマグID 26043
(2000年 2月16日創刊) kishidafumio@hotmail.com
発行者 KISHIDA Fumio http://fkfk.infoseek.ne.jp
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インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発行しています。
(http://www.mag2.com/)解除は http://www.mag2.com/m/000026043.htm/ へ。
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