【出たっきり邦人 欧州編】741 イタリア
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■□■□■ 出たっきり邦人・欧州編・2008・04・01・741 ■□■□■
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◇◆乙編◇◆
〓イタリア・ヴェネツィア発〓
水、ゆらりゆらり
その26
標準語がない!?
「ボンジョールノ(こんにちは)。私はXXと言いますが・・・」
と話しかけると、とりあえず調子のいいイタリア人によく、「イタリア語うまい
ね〜」と言われます。名前しか名乗ってないけど・・・と思いつつ、いつもの
ことなので「どうもありがとう。ヴェネツィアに住んでますから。」と答えると、
目を輝かせて「やっぱりぃぃぃぃ〜」。ああ、また・・・。
イタリアで、他の町に行くとちょっと緊張します。ふだん、車のまったく走っ
ていない、したがって治安上もだんぜん安心なヴェネツィアでぼやぼや暮らし
ているから、まず車に気をつけなきゃ、それから、ひったくりに・・・とか、
そういう緊張感もあるのですが、それ以上に「外」の国に来た、と感じさせる
もの、それは言葉。
一応、イタリアはほぼ津々浦々、イタリア語が通じることになっているので、
イタリア国内でさえあれば、町であろうが田舎であろうが、初めて行くところ
でもまあ何とかなるだろう、と、そういう意味ではイタリア国内の旅行は楽。
ところが実際は、このイタリア語、全然みな共通ではありません。
まずそもそも、地方ごとどころか、隣町、いや、一つ隣の村へ行くともう言葉
が微妙に違う、というくらい方言が豊富。隣の村で違うくらいだから、これが
全国ともなるともう果てしなく違う言語になっていきます。南北に長く、海と
山に囲まれたイタリア、それぞれの地域に根差した単語や言い方があるのは自
然なことですが、ヴェネツィア語なんて、基本的な動詞なども違ってくるから、
私も未だに、ヴェネツィア人同士が完全に方言でしゃべっていると、なんとな
く・・・しかわかりません。
もちろん、いくらイタリアだって、学校では標準語を習うし、公共の場などで
は、標準語で話します。・・・少なくとも、文字にするとおんなじ標準語。とこ
ろがところが、これがまた地方によってイントネーションがかなり違うのです。
だいたい、簡単に言うと、北へ行くほど、文章の中で延ばす音が短めになり、
その代わり(?)音程が細かく上下する。逆に、南へ行くと、全体にずずずず
ーっ、だらだらーーーっと延ばす感じ。北の人が聞くと、「この人たち全員、顎
が外れているのでは?(失礼!)」と思ってしまう一方、おそらく南の人からみ
ると北の人のしゃべり方は、聞くときに頭を上下してしまうから疲れる・・・
のではないかと思います。私はせいぜい、この位の区別しかしていないのです
が、イタリア人同士だとだいたい、すぐにどの地方の出身、とわかるようです。
完全標準語でしゃべっていても、です。
他人の区別はできなくても、自分が異質であることには気がつきます。旅先で、
あ、私、ものすごくヴェネツィアなまりでしゃべってるな・・・と意識すれば
するほど、よけいになまっていきます。(笑)あるいは、明らかに激しく上下し
ている自分のイントネーションをなるべく抑えようとするあまり、うまく言葉
が出なくなって、変にしどろもどろになったり。
南下すると、もうボローニャでは完全に違うイントネーションで、先日もちょ
っと会った人に、「ヴェネツィアで大学に行ってたから、なつかしいわ〜」と妙
に親近感を覚えられたり。
同じ北だと、そこまで違わないのですが、それでも音程の上下はどうやらヴェ
ネツィア周辺は他の町に比べても激しいので、ミラノやトリノに行くと、(そち
らが圧倒的に都会だという要素も加わって)完全に、「オラ東京さ行ぐだ」気分。
そんな魑魅魍魎なイタリア語の、標準語ってでは一体どこの言葉なのか?とい
うと、それは一応、現代イタリア統一後に、フィレンツェを中心とするトスカ
ーナ語を、イタリア標準語として制定した、ということになっています。だか
ら、トスカーナ地方の言葉は、確かにたぶん言葉としてもイントネーションも
一番、標準語に近い。・・・ところが、決定的な点があって、彼らなんと、カ・
キ・ク・ケ・コが発音できないのです!!!その代わりに、ハ・ヒ・フ・ヘ・
ホ、になっちゃっている。不思議なのは、イタリア語は、書き言葉ではhも存
在するのですが、音としては読まないため、他のイタリア人はふつう、ハ・ヒ・
フ・ヘ・ホが発音できません。例えばホテルはhotelですが、オテル、と読む。
それなのにトスカーナへ行くと突然、みんながハホハホ言ってる。これは方言
とかいうレベルの問題ではないから、お役所だろうが美術館だろうが、レスト
ランだろうがみんな一緒です。それ以外の音が、確かに標準語というか聞きや
すいきれいな言葉だけに、「ああ〜ほんとにハホハホ言っている・・・」と、つ
いまじまじと見つめてしまうほどおかしい。
ひょっとして、日本でイタリア語を習っていたりする皆さん、自覚していなく
ても、きっと先生の出身地のイントネーションが知らず知らずに身についてい
るはずです。
それではまた次回。
萌香
追伸:
昨年7月に提出した、卒業論文「16-18世紀、西洋図像における日本の服装」の
内容を、研究中のエピソードなども交えて、下記ブログ内で少しずつ連載して
います。興味のある方はぜひご覧ください。カテゴリー「卒論物語」で検索で
きます。
ご意見、ご感想をお待ちしております。
moeca-ve@hotmail.com
日々の生活はこちら:http://fumiemve.exblog.jp/
◆次回は4月4日(金)オランダ、アイントホーフェン郊外から配信予定
です◇◆
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