週刊電藝470 [080721] shair|喜多
■□ 週 刊 ■□weekly DENGEI magazine [ウエブ電藝]
■□ 電 藝 ■□VOL.470 発行数:296 http://indierom.com/dengei/
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┌ H E A D L I N E ────────────── '08年07月21日 ───┐
浪花[サバイバル]日記 : shair
銀幕ナビゲーション : 喜多匡希
└─────────────────────────────────┘
浪花
[サバイバル]
日記
il diario in NANIWA
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ (shair)
□□■2007年1月×日
実家だ。
と言ってもアタシがミラノに行った後、
程なくしてオトートも家を出て両親だけ引越した家にアタシは住んだコトが
なく、
愛着とかは無い。
それでも母親の独特のセンスで、確実に“うち”だと思わせる家だ。
ただいまーと家にあがるものの、
どーも打ち解けない不器用な家族。
いや、家族とゆーのは得てして不器用な集合体なのかも知れない。
久し振りの上に、日本に帰国したのに東京じゃなくて大阪に住んで、
何年か前にアタシが勝手に籍を入れたコトを母親はまだ知らなくて、
未だに結婚してはなりませぬと会う度に酷く叱られる。
おかーさんのゆーコトは分かるし、
心配も反対も賛成も許可もおかーさんの自由だけど、
アタシの結婚はアタシの問題であり、
誰と結婚するのも離婚するのも再婚するのも、
アタシが自分で決めます。
親に祝福されないとゆーのは至って悲しいコトに違いないけれど、
親に祝福される為に結婚するワケでもなく、
お互いに譲れないのならずっとこーして喧嘩してるしかありません。
とゆー趣旨のコトをこの何年か繰り返し言っている。
その昔は結婚には何よりも愛が大切だとゆー趣旨のコトを繰り返していたの
だけど、
埒が明かなかった。
今思えば当時確かにその言葉は受け売りで、
説得力に欠けていた。アハ。
無論あちらにもあちらの言い分があって、
彼女も会う度同じコトを繰り返し続ける。
どちらが正しいとゆーコトでもない。
アタシが40になっても50になっても60になっても、
どちらかが死ぬまで全てに於いてこの構図は変わらないのだと気付いたら、
こんなコトに拘り合ってる場合じゃないと思った。
ただ母親は思いつめるタチなので、
ホントにアタシが結婚したと知ったら、
無理心中でもし兼ねないトコロがある。
それで籍を入れたコトは時機を見てショック死しなそーな時に話そうと思っ
ていた。
みんなの気分がいー日とゆーのは必ずあるもんだ。
もっと若い頃は状況に追いついていなくて、
何が問題なのかイマイチ分かってないままに解決策を模索していた。
30を過ぎると徐々に人生の残り時間の方が気になってきたので、
世の中にはよく分らないコトがあるもんだと割り切った。
近くで見たらデコボコでチグハグでバラバラで何だか分らないよーでも、
遠くから見たらなるほどこーゆーコトでしたか、
と納得できるモザイクみたいなモノでいーんだと思うのよ、人生って。
それでも今回は帰国したコトだし、
こっちではダンナさんの姓を名乗ってるのだし、
籍入れたよとは言うつもりでいた。
母親が逆上して気がふれてしまったりしたら、しばらく東京に居て面倒をみ
たらいーし。
所がどーも帰ってみたらオトートの方が随分大変なコトになっていて、
なんだかそれどころじゃない感じだったので、
アタシの方はまた今度にするコトにした。
にしても、
予想外の展開になった。。。
[photo] http://kat.cc/2175fe
(shair)
┌─────────────────────
◎writer|1971年生まれ。
profile|歌う人妻。
|次に生まれる時はギター弾きのロクデナシに飼
|われる子猫がいいと思っている。
|アタシの全ての動機は男であると書いていたの
|は林真理子さんだが、はい、アタシもです、と
|も思っている。
|
|[電藝 掲載作品]
|ミラノ(サバイバル)便り
| http://kat.cc/212ab8
|浪花(サバイバル)日記
| http://kat.cc/213838
|
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【新作映画おすすめレビュー】
銀幕ナビゲーション
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄喜多匡希
自分を信じて努力しよう!
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カンフー・パンダ |
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ D|原題『KUNG FU PANDA』
北京オリンピック開催の A|2008年 アメリカ 85分 配給:アスミッ
年に放たれるドリームワー T|ク・エース=角川エンタテインメント
クス製作の長編アニメーシ A|監督:ジョン・スティーヴンソン&マーク・
ョン映画最新作は、中華的 |オズボーン
世界観の中で、ドジだけれ |声の出演(字幕版):ジャック・ブラック、
ど憎めないメタボ体型のパ |ダスティン・ホフマン、アンジェリーナ・
ンダ:ポーを主人公とした |ジョリー、ジャッキー・チェン、ルーシ・
カンフー・アクション。い |リュー、イアン・マクシェーン、ほか
かにもタイムリーな作品な |声の出演(吹替版):山口達也、笹野高史、
わけだが、この公開時期を |木村佳乃、中尾彬、MEGUMI、ほか
目指して448人に及ぶスタッ |
フを動員し、実に4年半も |【上映スケジュール】
の年月をかけて製作したと |7/26(土)〜
いうのだから驚く。 |東京:丸の内ピカデリー1、新宿ピカデリ
|ー、渋谷ピカデリー、TOHOシネマズ六本木
そんな大掛かりな製作体 |ヒルズ、ほか
制によって作り出された本 |大阪:梅田ピカデリー、梅田ブルク7、な
作は、老若男女を問わず楽 |んばパークスシネマ、TOHOシネマズなんば、
しめる単純明快な超一級の |ほか
面白さ。徹底的にムダを省 |京都:MOVIX京都、TOHOシネマズ二条、ほか
きつつ、ありとあらゆるア |兵庫:神戸国際松竹、OSシネマズミント神
イデアを盛り込んだ凝縮の |戸、109シネマズHAT神戸、MOVIX六甲ほか
85分があっという間に過ぎ |そのほか、全国一斉超拡大ロードショー
ていった。その後に残る充 |
実感がたまらなく心地良い。 |【公式HP】
その面白さは、すぐさまも |http://www.kf-panda.jp/
う一度観たくなってしまう |
ほどで、これはもう <アメ
リカ・ショウビズ界の結晶> だと断言してしまおう。
思いがけないカンフー修行に悪戦苦闘するポーの姿が微笑ましい。彼は決
して生まれながらのスーパー・ヒーローではなく、自身の運命に戸惑いつつ
もそこから逃げることなく、やがて運命を受け入れ、次第に成長していく。
当初、ポーを嘲笑っていた者も、その頑張りを目の当たりにして心打たれ、
彼をサポートするようになる。その様が、グッと胸に迫り、感動させられた。
【ローマは一日にして成らず】という格言があるように、成・というものは
一朝一夕で得られるものではない。 夢があるならば、 その目標に向かって
<努力> し、それを<継続> することが肝要だ。そうしていれば、自分の力
ではどうしようもない壁にぶち当たった時、誰かが手を差し伸べてくれる。
運というものも重要だろうが、他力本願に終始してはいけないのだ。ドジで
ノロマなポーだが、努力することで、徐々に変っていく。不可能を可能にし
ていく。本作は、その姿を・して【自分を信じて努力しよう!】というメッ
セージを送っているのだ。
しかも、これがまったく押し付けがましくない。手に汗握るアクションと、
思わず吹き出してしまうようなユーモアを全編に散りばめた超一級のエンタ
テインメント作品に仕上がっているのが嬉しい。字幕版・吹替版ともに出来
栄えは上々なので、それぞれの・白さを味わうという手もある。
この夏、家族揃って楽しめる最高のファミリー・ムービー!
ジャッキー・チェン&ジェット・リー ダブルJ龍虎の激突!!
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|
ドラゴン・キングダム |
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ D|原題『THE FORBIDDEN KINGDOM』
【ジャッキー・チェンVS. A|2008年 アメリカ 105分 配給:松竹
ジェット・リー】という映 T|
画ファンが長年抱いてきた A|監督:ロブ・ミンコフ
願いが今ここに叶えられた。 |出演:ジャッキー・チェン、ジェット・リー、
しかもハリウッド製アクシ |マイケル・アンガラノ、コリン・チョウ、
ョン・ファンタジー大作と |リウ・イーフェイ、リー・ビンビン、モー
して世界中に発信されるの |ガン・ベンワー、ほか
だ。これを快挙と言わずし |
て何と言おう。 |【上映スケジュール】
|7/26(土)〜
ブルース・リー亡き後の |東京:新宿ピカデリー、TOHOシネマズ六本
香港映画界を牽引してきた |木ヒルズ、丸の内プラゼール、ほか
両雄は、90年代後半にハリ |大阪:梅田ピカデリー、梅田ブルク7、な
ウッドに進出した。その契 |んばパークスシネマ、ほか
機となったのは、ジャッキー・ |京都:MOVIX京都、イオンシネマ久御山、
チェン主演の香港アクショ |ワーナー・マイカル・シネマズ高の原
ン『レッド・ブロンクス』 |兵庫:神戸国際松竹、MOVIX六甲、OSシネ
(1995)の全米公開時ボッ |マズミント神戸、シネパレス山陽座
クス・オフィス1・デビュー |そのほか、全国一斉ロードショー
という快挙。ここで、ハリ |
ウッドは香港アクションと |【公式HP】
いう金脈を発見したのであ |http://www.dragon-kingdom.jp/
る。その後、ジャッキー・ |
チェンは『ラッシュ・アワー』
(1998)で堂々のハリウッド映画の主役に招かれ、ジェット・リーは『リー
サル・ウエポン4』(1998)の悪役に抜擢され、ともに大ヒットを飛ばした。
偶然にも、この2作品の製作は同年。今から丁度10年前のこととなる。この
年には、香港映画界の大スター:チョウ・ユンファも『リプレイスメント・
キラー』(1998)でハリウッド進出をはたしたが、“亜州影帝”の異名をと
る彼でさえ、ハリウッドの頂点を極めるには至っていないのだから、ジャッ
キー・チェンとジェット・リーの成功は紛れもない快挙。以降も、2人はそ
れぞれ古巣である香港と新天地であるハリウッドを股にかけ数々の作品に出
演し続け、現在もトップ・スターとして君臨し続けているのだから凄い。
そんな2人の共演はこれまでにも幾度となく噂されたが、いずれも実現す
るには至らず、ファンはその度に期待と落胆の往復を味わったものだ。それ
だけに、今回その夢が実現した喜びもひとしおというもの。
本作は、気弱なカンフー映画オタクのアメリカ人青年が、ひょんなことか
らファンタジー世界に迷い込み、2人の師匠を得て冒険の旅を繰り広げつつ
成長していくという物語。『西遊記』を下敷きにしているが、筋立てそのも
のはオーソドックスなもので新味はない。しかし、どれだけ使い古されたプ
ロットでも、そこは料理人たるスタッフの腕次第だということを本作は教え
てくれる。骨の髄からカンフー・アクションの見せ方を理解しているアクシ
ョン監督のユエン・ウーピンと撮影監督のピーター・パウを迎え、『ライオ
ン・キング』『ホーンテッド・マンション』など誰もが楽しめる明朗快活な
作品作りで定評のあるロブ・ミンコフ監督が見事にまとめあげてみせた。
ジャッキー・チェンがのっけから懐かしの酔拳を披露すれば、ジェット・
リーも負けじとデビュー作の『少林寺』を彷彿とさせる僧衣姿で登場するな
ど、ファンにとっては感涙もののくすぐりが随所で炸裂する。その後は目に
も止まらぬ大アクションの大盤振る舞い! そこに出し惜しみなどはまった
くなく、観客の望んでいるものを存分に提供してくれる。ストレス解消にも
ってこいの一大活劇に仕上がった。
半世紀以上の時を越えて愛される珠玉の名作
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|
白い馬 D|原題『LE BALLON ROUGE』
& A|&『LE BALLON ROUGE』
赤い風船 T|※デジタルリマスター版での2本セット上
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ A|映
『赤い風船』。この宝石の |
ような大傑作を、筆者は中 |◎『白い馬』
古購入したビデオソフトで |1953年 フランス 40分 配給:カフェグ
何度も何度も鑑賞した。今 |ルーヴ=クレストインターナショナル
から半世紀以上も前に作ら |監督:アルベール・ラモリス
れた作品だというのに、全 |出演:アラン・エムリー ローラン・ロッシ
く古く感じない。全編に瑞 |ュ フランソワ・プリエ パスカル・ラモリス
瑞しい感動が満ちている。 |ナレーション:ジャン=ピエール・グルニエ
しかし、この作品は、先述 |☆1953年カンヌ国際映画祭 短編グランプリ
したビデオソフトが1度発 |受賞
売されたのみで、とうの昔 |☆1953年ジャン・ヴィゴ賞受賞
に廃盤になったきりで、現 |☆2007年カンヌ国際映画祭 監督週間出品
在ではプレミア価格がつい |(デジタルリマスター版)
たレアアイテムになってい |
るという。その後は、DV |◎『赤い風船』
Dも発売されず、劇場での |1956年 フランス 36分 配給:カフェグ
リバイバル上映も行われる |ルーヴ=クレストインターナショナル
ことがなかった。何でも権 |監督:アルベール・ラモリス
利問題が原因だったとか。 |出演:パスカル・ラモリス サビーヌ・ラ
これほど素晴らしい作品で |モリス ジョルジュ・セリエ パリの子ども
あるにも関わらず、封印状 |たち
態にあるというのは、観客 |☆1956年カンヌ国際映画祭 短編パルム・
にとっても、作品にとって |ドール大賞受賞
も大いなる不幸に相違ない。 |☆1956年アカデミー賞 脚本賞受賞
映画という宝箱にかけられ |☆1956年ルイ・デュリック賞受賞
た <大人の事情> という忌 |☆1956年フランス・シネマ大賞受賞
まわしい鍵である。何度観 |☆2007年カンヌ国際映画祭 監督週間出品
ても飽きることのないこの |(デジタルリマスター版)
傑作を、ビデオで繰り返し |
見ながら「スクリーンで観 |【上映スケジュール】
たい!!」と願う日々が続いた。 |7/26(土)〜 東京:シネスイッチ銀座
| 大阪:梅田ガーデンシネマ
筆者は、DVD・ビデオ・ |8/上予定 兵庫:シネ・リーブル神戸
TVなどでの映画鑑賞を決 |8/16(土)〜 京都:京都シネマ
して否定しないが、映画は |ほか、全国順次公開予定
やはり映画館で鑑賞するの |
が一番だと考えている。そ |【公式HP】(『白い馬』『赤い風船』『ホ
れがこの『銀幕ナビゲーシ |ウ・シャオシェンのレッド・バルーン』3
ョン』という連載タイトル |作品共・HP)
の由来でもあるほどだ。来 |http://ballon.cinemacafe.net/
客や電話によって鑑賞を妨 |
げられることもなく、悠然
とシートに身を委ねるという愉しみ。場内が暗くなり、スクリーンに生命が
宿る瞬間の感動。そこから始まる様々な作品との出会いは筆舌に尽くし難い
ものがある。台詞が聞き取れなかったからといって巻き戻すことの出来ない
映画館での鑑賞は、必然的に集中力を高め、真剣に作品と向き合うことに繋
がる。大の愛煙家である筆者が、タバコなしで数時間を過ごせるのは、映画
鑑賞時と睡眠時しかないほどだ。それだけの魅力をスクリーンは有している。
となれば、心から愛して止まない『赤い風船』をスクリーンで見たいと感じ
るのは当然の欲求である。しかし、それが叶わない。この悔しさに歯軋りし
ながら年月ばかりが空しく過ぎ去っていった。
ところが、2005年のカンヌ国際映画祭監督週間に、『赤い風船』と、その
前作である『白い馬』のデジタル・リマスター版が出品されるという情報が
飛び込んできた。既に同映画祭で出品歴のある作品が、回顧上映ではない新
作枠で2度目の出品がなされるというのは、映画祭史上初の快挙である。開
催国であるフランスの作品であるとはいえ、カンヌは世界最大の映画祭。こ
の事実は、いかにこの作品が世界中から愛されているかを如実に示している
と言えよう。
あれから3年。遂にその2作品が日本でも劇場公開されることとなった。こ
れまで上映を妨げていた権利問題もクリアされたらしい。喜ばしいことであ
る。
念願叶って、スクリーンで出会った『赤い風船』は、想像以上に素晴らし
かった。最新技術で鮮やかに蘇った映像に目を見張り、食い入るように鑑賞。
同時上映の『白い馬』は初見だったが、こちらも負けず劣らず素晴らしい出
来栄えで、大いに満足したものである。
この2作品。物語の展開はほぼ共・している。『白い馬』は少年と白い馬、
『赤い風船』は少年と赤い風船の間に芽生える友情を・して自由を希求する。
どちらの作品も、その友情を引き裂こうとする心無い者が現れ、少年はかけ
がえのない友だちを守ろうとする。『白い馬』では広大な大地を、『赤い風
船』では迷路のようなパリの下町を逃げ回る。愛らしい友情が微笑ましい前
半と、悲壮な展開に心が痛む後半。そして、その逃避行は、『白い馬』では
大海原に溶け込み、『赤い風船』では大空に翔け上がり、それぞれ大いなる
寓話へと昇華される。そこに広がる感動! これこそ映画!!
映画の天才詩人アルベール・ラモリスが遺した2つの宝石。マスター・ピ
ースという言葉に相応しい不朽の名作を、是非劇場で御覧頂きたい。いつま
でも色褪せることない感動と出会えることを約束しよう。
この作品を御紹介できる幸福を噛み締めつつ、心の底からおすすめする。
台湾の名匠が『赤い風船』にオマージュを捧げた心優しいパリのスケッチ
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ホウ・シャオシェンの D|原題『LE VOYAGE DU BALLON ROUGE』
レッド・バルーン A|
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ T|2007年 フランス 113分 配給:配給:カ
故アルベール・ラモリス A|フェグルーヴ=クレストインターナショナル
監督が残した珠玉の短編映 |
画詩『赤い風船』。この愛 |監督:ホウ・シャオシェン
すべき大傑作に魅せられた |出演:ジュリエット・ビノシュ、シモン・イ
台湾のホウ・シャオシェン |テアニュ、イポリット・ジラルド、ソン・フ
監督が、フランス・オルセ |ァン、ルイーズ・マルゴランアンナ・シガレ
ー美術館の開館20周年事業 |ヴィッチ、ほか
として発足した映画製作プ |☆2005年カンヌ国際映画祭「ある視点」部門
ロジェクトの第一弾作品と |正式参加作品
して、パリを舞台に撮り上 |
げた作品である。本作は |【上映スケジュール】
『赤い風船』のリメイクで |7/26(土)〜 東京:シネスイッチ銀座
はない。オマージュを捧げ |8/2(土)〜 愛知:名演小劇場
るという形で、新たに作り |8月上映予定 大阪:第七藝術劇場
出された作品であるのでお |その他、全国順次公開予定
間違えなきよう。 |
|【公式HP】(『白い馬』『赤い風船』『ホウ
2005年のカンヌ国際映画 |・シャオシェンのレッド・バルーン』3作品
祭では、ちょっとしたアル |共・HP)
ベール・ラモリス旋風が吹 |http://ballon.cinemacafe.net/
き荒れた。半世紀以上も前 |
に発表された『白い馬』と
『赤い風船』の2作品のデジタル・リマスター版が監督週間に、本作が「あ
る視点」部門に、それぞれ正式出品されたのだ。往年の名作と、そこから生
まれた最新作が、時代を超えて一同に会したというわけである。
本作は、夫と・居中の人形劇師スザンヌ。7歳になるスザンヌの息子シモン。
シモンの世話をすることになる中国人留学生のソン・ファンの3人を軸にし
た等身大の生活スケッチだ。
パリの古いアパルトマンに暮らすスザンヌ(ジュリエット・ビノシュ、好
演!!)は新作の発表準備で多忙を極めているが、その上、・居中の夫や、部
屋を貸している友人のマルク、父親違いの姉ルイーズとの関係が上手くいか
ず、精神的にも余裕のない日々が続いている。そんなスザンヌにそっと寄り
添うシモンと、静かに見守るソン。時に感情を爆発させるスザンヌだが、か
けがえのないシモンとソンの存在が彼女を無言でいたわる。その様子を窓の
外から見つめている赤い風船。
『赤い風船』では、主人公の少年と赤い風船が心を・わせ、終始、直接触れ
合っていたが、本作の赤い風船は、ただただ優しくその人間模様を見つめる
存在として登場する。冒頭、バスティーユ駅前で赤い風船を見つけたシモン
が、手が届かずに諦めるのだが、その風船がフワリフワリとシモンを追いか
けてきたのだ。その、気まぐれとも思える自由気ままな風船の観察者たる存
在性が、いかにもパリっ子然という感じで微笑ましく、同時に、どこか母性
を感じさせるような慈愛をも感じさせて温かい。一種ファンタジー的な存在
である赤い風船が見つめるのは、ありふれた日常に観られる感情の機微が紡
ぐドラマ。このリアリズム溢れる人間描・こそ、ホウ・シャオシェン監督の
真骨頂だ。
マルクの部屋から引き上げてきたピアノが重要な小道具として登場する。
音の狂ったそのピアノを、盲目の調律師が音を合わせていく。この様が、ス
ザンヌの心を表していて、その演出の上手さに驚いた。不協和音を奏でてい
たスザンヌの心が、シモンやソンの無言のいたわりによって、少しずつ平静
を取り戻していくさまが、このピアノの調律を・して見事に描かれているの
である。
その模様を見届けた風船が、「シモン君はもう大丈夫」と安心したように、
パリの大空をフワリフワリと飛んでいく。
ラモリスが描いた自由とシャオシェンの描いた自由。どちらも素晴らしい!
廣木隆一の見事な跳躍! 胸に染み入る友情という名の豊穣!!
━━━━━━━━━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━
|
きみの友だち D|2008年 日本 125分 配給:ビターズ・エ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ A|ンド
2008年は日本映画大豊作 T|
の年として記憶されること A|監督:廣木隆一
になろう。『実録・連合赤 |出演:石橋杏奈、北浦愛、吉高由里子、福士
軍 あさま山荘への道程』 |誠治、森田直幸、柄本時生、華恵、中村麻美、
『ぐるりのこと。』『休暇』 |大森南朋、柄本明、田口トモロヲ、宮崎美子、
といった傑作のほか、『丘 |ほか
を越えて』『山桜』『アフ |
タースクール』『純喫茶磯 |【上映スケジュール】
辺』『クライマーズ・ハイ』 |7/26(土)〜 東京:新宿武蔵野館、渋谷シ
といった秀作・快作が相次 |ネ・アミューズ
いで公開された。これから |8/上旬予定 大阪:シネ・リーブル梅田
も『闇の子供たち』『ひゃ | 兵庫:シネ・リーブル神戸
くはち』『蛇にピアス』 |近日上映予定 京都:京都シネマ
(いずれも近日当コラムで |そのほか、全国順次公開予定
紹介)など、自身を持って |
おすすめできる作品が続々 |【公式HP】
と公開される。今回御紹介 |http://www.kimi-tomo.com/
する『きみの友だち』も、 |
今年の日本映画の絶好調を
示す素晴らしさだ。この作品、地味で目立たない。そのため御存知ないとい
う方も多いだろう。しかし、是非御覧頂きたい。見逃してほしくない。作り
手の真心に溢れた大収穫の一本である。
原作は『あおげば尊し』『疾走』などが映画化されている重松清の同名小
説。
監督は廣木隆一。1980年代にピンク映画界で監督デビューし、1990年代突
入前後に一・映画界にも進出した彼は、秀作『800 TWO LAP RUNNERS』(1994)
で俄かに注目を集めたものの、以降はコレといった作品を発表することなく、
コンスタントに作品を発表するものの、知る人ぞ知る存在という印象であっ
た。確かな才能を感じさせるだけに、その雌伏の期間にやきもきしたりもし
たものだが、2000年代に入って、彼は堰を切ったように快進撃を開始した。
『ヴァイブレータ』(2003)を皮切りに、『やわらかい生活』(2005)、『M』
(2006)といった秀作を始めとして、短編・中編・長編を多く発表。TVド
ラマでも『恋する日曜日』『ケータイ刑事(デカ)』の2シリーズで好評を
博し、円熟期に入ったという印象を強くしたものだ。今や、新作が最も楽し
みな監督の1人である。
そのため、本作にも一定の期待を抱いて鑑賞したのだが、これが予想を軽
く上回る素晴らしい作品。本作の素晴らしさを示すエピソードがあるので御
紹介しよう。関係者試・直後、原作者の重松清が、廣木隆一を「ありがとう!」
と言いながら強く抱きしめたという。重松清だけではなく、本作を鑑賞した
者なら、誰しもが心の中でこの作品をギュッと抱きしめたくなることだろう。
廣木隆一は、「映画を撮る時、 <今という時代> からズレたくない」と常
に意識しているという。その思いが、彼の作品にいつも感じる現代性として
表れているのだ。本作もその例に漏れず、 <友だち> という人間同士の関係
性を、現代という時代を見つめながら描いている。恵美と由香という女の子
同士の友情を中心に、複数の人間模様が映し出されていく。そこで描かれる
のは <痛みと喪失、再生と希望> 。誰もが経験したことのある感情の移り変
わりが、見事に表現されているからこそ、これだけの共感と味わい深さが生
まれたのだ。
山梨オールロケによる撮影と緊張感溢れる長回しが素晴らしい効果を上げ
ている。心を優しく包み込んでくるこの作品を、心から愛して止まない。ワ
ンカット・ワンカットが絵葉書のような瑞々しい青春群像劇がここに誕生し
た。本作そのものが <きみの友だち> として、貴方に届くことを祈りつつ、
絶賛と共におすすめする次第。
┌─────────────────────
◎writer|大阪府在住。生まれも育ちも生粋の浪花っ子。
profile|趣味は読書・プロレス&格闘技観戦・料理、そ
|してなんと言っても映画鑑賞。映画を観る歓び
|&語る喜びに加え、最近、広める歓びにも目覚
|めた。将来の夢は <映画案内人> になること。
|
|ホームページ
|[movie masa site 映画に夢を託す]
|http://homepage2.nifty.com/m-friend/masa.htm
|メール masa_ginnavi@yahoo.co.jp
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|銀幕ナビゲーション(連載中)
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