2009/11/02
<国際派時事コラム>「子供手当」予算の使い方は区・市町村レベルに一任せよ
↓ 週3回更新のブログはこちら http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi ◆■■■国際派時事コラム「商社マンに技あり!」■■■◆ http://www.f5.dion.ne.jp/~t-izumi/ 「子供手当」予算の使い方は区・市町村レベルに一任せよ ■■■■第280号■■平成21年11月2日発行■■■◆ 文章とは、よく読んでみるものだ。 10月28日の日経3面「太陽電池 家庭に広がる」という記 事を再読して痛感した。 温暖化ガス排出削減の現政権目標を達成するための太陽電 池の設置規模として 「7,900万キロワット」 という数字が挙げてあった。 この配信誌の前号での計算では、 現政権目標のたった 6 分 の 1 を達成するためだけに 7,100万キロワットの太陽光発電が必要だ。 2,400万戸の民家の屋根の太陽電池に相当する。 日経記事にいう「7,900万キロワット」というのは、おそ らく日本のすべての民家やビルの屋根に太陽電池を設置する 想定だろうが、 それでも現政権目標の5分の1すらカバーできない。 日経をコテコテに批判してやろうと思って、改めて記事を 読んだら、こうあった: ≪麻生政権時代には、現政権の目標である 20年に90年比で25%削減 を前提にした試算もあった。 それによると 諸 施 策 の 一 つ と し て 太陽電池の設置 を7,900万キロワットにまで増やす必要があるという。≫ なるほど、よく読めば日経に罪はなかった。 「諸施策の一つとして」の試算であれば、いかなる数字で も任意である。 * それにしても小沢鳩山政権は、太陽光や風力、原子力、 高効率ガスタービン発電などなど、それぞれいかほど増やす 気か。 待てど暮らせど具体案がさっぱり出てこない。 (具体案を出せば、その非現実性に国民が大騒ぎするのが必 定だから、出せないのである。) 使い道を明らかにせぬまま、「地球温暖化対策税」という 制度だけまず作ってしまおうとする小沢鳩山政権の不況悪化 政策は、とうてい許せない。 ◆◆「子供手当」予算の使い方は区・市町村に一任せよ◆◆ 「子供」と書かずに「子ども」と書けという 論者ども 記者ども 政治家ども が嫌いだから、あえて「子供手当」と書く。 「子供手当」への建設的批判としては、 「子供のためにカネを使うなら、保育園や学童の預け先を質・ 量の両面で充実させるのに使うべきだ」 というものが多い。 保育園が足りないのは主に大都市である。 職場で若い同僚と話していたら、 せっかく便利な山手線近辺に住んでいるのに、保育園確保の ためだけに千葉県への引越しを真剣に考えている男がいて驚 いた。 逆に、地方へいけば 「子供は親が見てくれるし、保育所も足りている。 収入を直接補ってくれる現金がありがたい」 という人のほうが多いのかもしれない。 教育費がかかるのは、子供手当の対象となる「中学卒業ま で」でなく、むしろ「高校進学以降」だ、という批判もある。 子供が高校・大学の通学のために親元を離れるケースは、 辺鄙な場所ほど多いだろう。出費がドーンと来る。 そういう市町村では、むしろ高校生・大学生をかかえる家 庭に子供手当を出すほうが理にかなう。 ■待機児童がいない県■ 9月29日の産経新聞「正論」に、 新渡戸文化学園短期大学学長の中原英臣さんが書いている。 「子供手当」予算の用途を地域に任せることが、いかに 実需にかなっているか。 ≪9月7日に公表された厚生労働省の調査をみても、認可保 育園に申し込んでも満員で入れない待機児童が、前年の30% 増で2万5,384人もいる。 これでは日本中に待機児童が溢れているようだが、保育所の 定員数は 213万2,081人なのに、実際に保育所を利用してい る児童は 204万974人と定員数を下回っている。 意外なことに保育所の定員数からみると保育所は不足してい ない。≫ 全国の合算値では、実態が見えてこないのだ。 ≪東京や神奈川には待機児童がたくさんいるが 富山、石川、福井など9つの県には待機児童がいない。 医療と同じように保育にも地域格差があるが、地方に問題が 多い医療の地域格差と違い、保育は待機児童が多い都会に問 題がある。 待機児童の解消のために保育所を増やすとしても地域の状況 を考慮する必要がある。≫ 子供手当が目指している(はずの)児童福祉政策は、全国 一律では意味をなさない分野なのだ。 ■ 中央官庁では、きめ細かな行政施策に限界 ■ ≪それでは保育所さえ増やせば少子化問題は解決されるかと いうと、そうではなくて、保育の分野では量だけではなく質 も問われる。 保育所というハードも大切だが、子供を自宅で預かる保育マ マの普及といったソフト面の整備も大切である。 ハードだけでなくソフトもということになると、 保育時間を延長して子供を預かる「延長保育」や 通常の保育と違って手間のかかる「零歳児保育」、 生まれたばかりの乳児を対象とする「産休明け保育」、 子供を預けている実家の親が病気になったときの「緊急一時 保育」といったサービスも充実していく必要がある。 こうした保育に必要な保育士の養成も重要な課題といえる。≫ これを中央官庁に求めるのは無理だ。 地方自治の出番である。 子供手当で対処すべき問題は、区・市町村のレベルで、地 域の実情を踏まえて手を打つべき分野だ。 子供手当の予算は、区・市町村へ配分して用途を任せては どうか。 ■ 国税の取りすぎをあぶり出す(?)■ 逆にいえば、子供手当として予算化されるカネとは、中央 政府から地方へ、財源と使い道をそっくり移すべきものだと いうことだ。 そういう、国税の取りすぎをあぶり出すのが目論見なら、 わが迷走政権の数少ない「ぶれない政策」である子供手当に も、いささかの意味がある。 歳入確保のために多大な費用をかけて集めた税収を、さら に多数の公務員が膨大な手間をかけてばら撒き戻すのは、本 来からいえば下策である。 ばら撒き戻される1人当たり年31万2千円の子供手当。 その「コスト」は、決して31万2千円ではない。 直感では40万円くらい掛かっているのではないかと思うが、 どなたかご教示いただけぬか。 そういう客観的数字があれば「ムダづかい」の議論は鋭い 論戦にできる。 ■ 子供手当の貯蓄を勧める新聞記事まで…… ■ 多数の公務員がコストをかけ集金してばら撒き戻す子供手 当は、せめて、すぐに消費されて景気回復に貢献してほしい。 ところが、である。 ≪「子ども手当」で教育費ためる 中学卒業時で300万円メド≫ という貯蓄アドバイスの記事があった (日本経済新聞9月26日の日曜別刷り2面)。 郵便局の学資保険など、いくつかの貯蓄商品を紹介してい た。 じつはわが家でも学資保険で積み立てたカネが、娘の大学 入学時の資金としてたいへん役立った。 だから、この記事には実感があった。 先にも述べたが 「子供手当」への批判のひとつに、 「ほんとにカネが掛かり始めるのは高校に上がってからなの に、中学卒業時で打ち止めの手当では需要と合っていない」 という声がある。 日経記事のように、子供手当を高校・大学に備えた貯蓄に 回す家庭が多いと、「民主党不況」が一段と深まる。 子供手当の資金として吸い上げられなければ公共事業など の直接消費に回されていたカネ。 もしそのカネが、子供手当として配られた途端に貯蓄とし て塩漬けにされてしまうなら、世の中の現金の流れをわざわ ざ手間をかけて沈滞させてしまう構図だ。 ■ きょうの結論 ■ 1.中央政府が子供手当と称して、ただただ国庫のカネを ばら撒き戻すのは、カネの塩漬けにつながりデフレ不況 を悪化させる下策。 2.同じ予算を区・市町村レベルに下ろして、地域の実情に 合わせて用途を一任するなら、地方自治の本旨にもかな う上策。 3.仮に、「民主党のマニフェスト実現のため」と称して 地方財政から現金を搾取し、参院選目当てに小沢鳩山の 名でばら撒くなら、倒閣には格好の材料だ。 野党諸氏には、国民の代表として国会論戦をしっかり頑張 ってもらいたい。 === ▲ 後記 ▼ わたしが地方自治体の首長で、子供手当予算の分配を受け たなら、小学校低学年の20人学級実現のための基金を作りま す。 子供手当は、政治の風しだいで来年1回限りかもしれない から、長期政策のためにいきなり全額は使えない。 そう思っての、基金創設です。 「低学年の20人学級実現」のほうも、カネだけポンと出せ ば出来るものでもない。 教員数を増やしたり、教室増設が必要なところもあるでし ょう。 あなたが地方自治体の首長で、子供手当予算の配分を受け たなら、どんな政策のために使いますか? 図書館・図書室の予算アップなども、よさそうです。 * 産経新聞の古森義久さんが、米国ロバート・ゲーツ国防長 官の外交メッセージに光を当てていた。 http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/1290009/ ≪10月20日から日本を訪れたオバマ政権のロバート・ゲー ツ国防長官が日本側の防衛省首脳との会食を辞退し、さらに 自衛隊の歓迎の栄誉礼をも辞退したことは、もうちょっと真 剣な関心を向ける必要があるでしょう。≫ まさにこういうことを国会で議論してほしいものだ。 自民党の攻めどころではないか。 鳩山首相も「あなたがたには言われたくない」という逃げ のコメントだけでは済まない。 さいきんのコラム子のブログ記事から ―― (全文を読むにはリンクを開いてください) フルーツのブランドを守るには加工品まで目配りが必要 ルビーロマン葡萄の場合 http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/diary/200910240000/ 高級葡萄といえば「巨峰」くらいしか知らなかったが、 石川県で平成7年から実に11年かけて品種改良した「ルビー ロマン」という品種があることを、『北國新聞』の社説を読 んで知った。 いったいどんな葡萄なのか。 == <泉 幸男 著> 『中国人に会う前に読もう 第一線商社マンの目』 『日本の本領(そこぢから) 国際派商社マンの辛口メモ』 通 信 販 売 も 受 付 中 http://homepage2.nifty.com/sai/mart/ == ■主宰 泉 幸男(いずみ・ゆきお Izumi Yukio) http://www.f5.dion.ne.jp/~t-izumi/ (旗艦ウェブサイト。これまでの号もここで見られます) http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/ (週に3回ほど更新しているブログ) ■発行者への通信は mailto:t-izumi@f5.dion.ne.jp いただいたメールは、引用することがあります。 引用内容が政治性を強く帯びたものについては、掲載につ いて ご本人の事前了解をいただくつもりですが、 この辺の 采配は発行者にお任せいただくしかありません。 発信者氏名は原則として公開しません。公開する際は、ご 本人の事前了解をいただきます。 掲載するメールは、発信者の居住地名(市ないし県名)を できるだけ書かせていただきたく、それについてお問合せを することがあります。 ■このメールマガジンの転送・転載はご自由にどうぞ。 ■このメールマガジンの内容は、主宰の勤務先の見解とは無 関係です。このメールマガジンは、主宰の勤務先による監修 その他のサポートを一切受けておりません。主宰の勤務先に おいて守秘対象とされる事項は一切含まれておりません。 ■メールマガジン(配信誌)のお申込み・解除は、以下のペ ージでどうぞ http://www.f5.dion.ne.jp/~t-izumi/mailmag.htm ------------------------------------------------------ このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐま ぐ』を利用して発行しています。 http://www.mag2.com/ (マガジンID: 0000063858) ------------------------------------------------------



