ある地域の果樹園経営を通しての出来事。

地域の高齢化で農業に従事していたご主人が亡くなられると、

奥さん一人では年間の作業をこなすことが不可能になり、

果樹園の経営から撤退される農家。


または体力の限界を感じて離農する年配の方が増えるなど、

農業人口の減少が続いています。

その中で県単位における地方自治体においても、

新規就農支援事業が展開されています。


私の地域では特定の果樹を生産する協同組合がありますが、

一時は100軒あった組合員が2007年の時点で43軒に減っています。

2008年度では38軒にまで減少すると予想されています。


更に、現役農家の中でも80歳前後と高齢で、

なお頑張っている人が多いので、

ベテランのその人たちもいずれは離農ということになるのでしょうが、

残念ながら後継者は非常に少ないようです。


その中には80歳を前にして、

すでに一部の果樹を伐採して規模を縮小した方もおられます。

現役農家が離農する方たちの農園全てを引き継ぐということも

人手不足もあり非常に困難で、

こういった理由から一軒あたりの生産量は増えてはいるのですが、

伐採するところもあり、総生産量は年々減少しています。


手入れをしなければ病害虫が蔓延しますから、

管理する人がいなければ伐採ということになりますので、

当然果樹の本数も減り、至るところに果樹の残骸が見られます。


今年もご主人が亡くなられて管理していた木を、

すべて伐採された農家が一軒ありますが、

その他の果樹は現在農業をしている人が吸収されましたので伐採は免れました。


予測は難しいですが、当初100軒、

私が就農した時点で45軒あった組合員が今後5年から10年の間に、

30軒にまで減少する可能性もあります。

こういう事態を踏まえての自治体の方針により、

もともとこの地域の出身ではない人が、

補助金や助成金の支給を受けて数名就農しています。

しかし、地元では外部からの人間が入植することに、

抵抗を感じている人いますから、

こういった新規就農者を取り巻く環境は

意外に厳しいものがあると言わざるを得ないでしょう。




既存農家と新規就農者との違い


以前から果樹を管理している農家の中にも、経営は大変ですよ! 

赤字か黒字かの瀬戸際です、と言う人がいます。


その人のご主人は勤めておられますので、

奥さんが人手を使って果樹栽培をするということで生活が成り立つのでしょうが、

こういう状況の中で専業としての新規就農を推進するのは難しいようです。

既存の農家では農業に対するノウハウも熟知しておられますから、


同じ仕事をする上でも私たちよりは効率が良いのです。

しかし就農したばかりの素人では日々が悩みの連続ですから、

慣れないこともあって苦労が多い割に結果も出にくい。

就農者が増えてもみんなやっていけるのかなと思いますが、

だからといって食料は大切ですから農業人口は増えたほうがいい。

当然就農促進となるわけですが、その経営が、

そして生活が成り立つようにしなければ未来は不安だらけです。


一口に新規就農といってもいろいろなパターンがあって、

1.親の後を継いでそのまま同じ土地を経営する(自家農業後継)。

2.親が経営していた土地を分割して独立採算とする(自家農業分離独立)。

3.耕作放棄地または管理者のいなくなった農地を借りる(リース農場自営)。

4.農業法人の一員として就職する(法人被雇用就農) 等。


親元に帰って就農する場合でも他の土地を借りる場合があるし、

自家所有地と一緒に経営する場合もあります。

ここで他の地域から転入して新規就農する場合と、

親元に帰って就農する場合とでは格段の違いが出てきます。

ひとつには農業機械や農機具も揃っているし、

土地、家屋、倉庫、というハード面の充実。

これはおじいちゃん、おばあちゃんの時代から、

もしくはそのずっと前から農業をされているわけですから当然です。

私の場合は3のパターンですから、

外部からの転入の場合どこかに家を借りるか購入することになりますが、

多くの方は借家住まいをされています。

倉庫つきの広い家を借りるのは非常に難しいのです。

空き家であっても都会に出ている身内の方が時々帰ってくるとか、

仏壇を置いたままにしているので、

先祖に対し申し訳ないなど、

売ったり貸したりはしたくないというのがその理由です。

それに田舎の家ですから5万円も10万円もの家賃は取れませんし、

売ったところで数百万か多くても一千万を超える家は珍しいくらいですから、

生活が出来ている人は田舎にある自分の家を売る気にはならないのです。

それよりも家は持ったままで都会に出て、

定年を過ぎたら帰ってくるかもしれないという人が多くなっています。


売ってくれと言われれば惜しくなるというのも人情、

結局は3DKで民間の間借に近いような借家か、

公営住宅ということになります。

機械や資材を置く場所もないので、

どうしても地主さんの世話になって、

道具を置かしてもらうとか機械を借りるということになりますから、

地元の年配の方に対して、多かれ少なかれ気兼ねをすることにもなるのです。

しかし農業に関する技術や人材というソフト面でも大きな違いがあります。

借りた園地に倉庫を建てる、ビニールハウスを設置する、

ということも必要になってきますからお金もかかります。

地元の人と違って新規参入ですから知り合いが少ないし、

かといって遠いふるさとから人手を集めるわけにも行かず、

仕事をクリヤーすること自体が円滑に行かないときも出てきます。


何の仕事でも困難はつきまといますから、

この問題点をクリヤーすることが農業経営の根幹なのでしょう。

そしてこれが働く喜びと収穫の喜びにつながるのですから、

当然起こるべくして起きる問題点なのかもしれません


就農初年度

組合としても45アールという果樹園を管理し存続させるのは、

組合員の労力が必要ですから、

組合に加入する前からとりあえず作業を始めることになりました。


この時点ではまだ正式な認定就農者ではありませんが、

一年間の農作業を始めることになりましたので、

初年度としておきます。



これから先いろいろな経験をすることになりますが

新規就農者が果樹栽培を手がけるようになった経緯から、

農業で生活する上でのメリットやデメリットをお知らせしたいと思います。




農業だけでは楽な生活は難しい。


全く生計が立たないというわけではありませんが、

贅沢な暮らしをするためには農業以外の収入か、

手持ちの資金や年金、不労所得が必要になってくるということです。

あとからも出てきますが良い条件のもとで就農しないと行き詰まることになります。

最近は若い人の就農がかなり増加しているそうですが、

新規就農者7万人のうち、約16%が40歳未満の人たちだそうです。

確かに大学を卒業したばかりの独身男性なら、

当面は自分ひとりが食べていければ良いわけですから

気軽に転身が出来るのかもしれません。


しかし 将来家族を養っていけるのかどうかという事は、

この時点で考えておくべきでしょう。

最近はストレスに弱い人が増えているといわれている事と、

ストレスの発生源自体が増えていますから、

そういう理由で農業が選択肢の一つになるのでしょう。


現在親子4人家族となると移動するにもいろいろな問題がありますから、

簡単には決められません。

就農してから、ある農家の人に果樹経営で食べていけるのかと聞くと、


食べていけるとの返事が返ってきました。

その農家は祖父の代からの農家で栽培面積も2町と広く、

一部は他の地主から借りているそうですが、自家の農園もあります。

農業に関するノウハウもあり、人手もかなり使っているようです。

他の品種も栽培し、その販売ルートも確立しているということで、

生活が成り立つのでしょうが

新規就農者としてはその内容が非常にわかりにくいのです。

そしてある農家の人は果樹園では家は立たないとはっきり言われました。

勿論家を建てようなどと大それた考えで就農したわけではありませんが、

労働に見合うだけの収益を確保したいのは私だけではないでしょう。



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