2009/12/08
森の中のスリーS
冬の間、ニュージーランドのハイキングツアーを担当する私。 冬の日本と夏のニュージーランドを行ったり来たり、そして 大都会・東京と南半球の原生林を行ったり来たりの生活は いつもながらそれぞれに感動的です。 日本の約3分の2ほどの国土面積の中に、たった427万人の 人口というこの静かな国では人口が100万人を超えるのは 最大都市オークランドのみ(首都はウェリントンです)。 南北2島に分かれた島国ニュージーランドの国土の3分の1は 国立公園もしくは自然保護区域、クリーンエネルギーを推進し 総電力の7割が水力発電、原子力はゼロというすごい環境大国。 おもな産業は牧畜、林業、漁業、そしてツーリズム。 私もそれに貢献するべくニュージーランドに旅をし(仕事だけど) 地元のラムやチーズを大いに楽しみますが、ニュージーランドの 旅の醍醐味はヨーロッパなどの華やかな文化遺産目白押しではなく、 ひたすら自然に包まれ、その偉大さや温かさ、美しさを感じること。 なので、首にカメラだけ下げて駆け足のバス観光で訪れる観光客が 「この国って何があるの?」という感想(疑問?)を抱くのも事実。 ===== エコツアー ===== エコツーリズムという言葉はすっかり耳慣れてしまったけど、 それって何するの?と聞かれます。 何をする、というよりまずそこにある自然が主人公になること。 私たちの都合で楽しいことをする旅ではありません。 ニュージーランドではエコツアーの理想的な形をスリーSで表します。 1、Small 2、Slow 3、Silent Small・・・すなわち小グループで。一人のガイドが大型グループ を連れて森の中に踏み込もうものなら、あっというまにそこかしこが 踏み荒らされ、おしゃべりの声とガイドの張り上げる声に鳥達は逃げ 出してしまうでしょう。 少人数で、森の中の音や声を聞きながら会話を楽しみましょう。 Slow・・・「じゃあ写真を撮って10分後に集合!」では気持ちも 落ち着きませんよね(笑)。 目の前に広がる大自然を作り上げた時間は何万年、何百万年、何億年 という気の遠くなるような時間です。日々の雑多を忘れてゆったりと 太古の遺産に包まれましょう。 Silent・・・車のエンジン音が好きな方も、とりあえず静寂を 楽しみ、自分の足で歩きましょう。草の上、石の上、土の上、すべてが さまざまな足音を生むことにも気づきます。そしてその音を聞いて 舞い降りてくる小鳥たちのさえずりも聞こえてきます。 というわけで、ひたすらシンプルでのんびりした旅になるわけです。 「そんな時間ないよ~」という方は、なにも南半球まで出掛けずとも 1日だけでも近隣の森に入り、スリーSをお試しください。 もう少しその先が見たくなってくるはずです。


