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2009/11/10

週刊メルマガクリルタイ Vol.17 The cultural history

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◇◆◇◆◇◆◇ 週刊メルマガクリルタイ ◇◆◇◆◇◆◇   

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Vol.17 ━━

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こんにちは。
『奇刊クリルタイ』アルバイト見習い補佐代理補欠Parsleyで
す。

今回はインターネットラジオ『かんちがいだった。』の草さ
んの『モテでもわかる非モテ教室』の後篇です。「非モテ」
に関して多方面から視点を当てた力作です。どうぞご覧下さ
い。

また、不詳わたくしが、最近流行語になりつつある「森ガー
ル」の源流としての「オリーブ少女」について、簡単に触れ
ました。ご笑覧下さい。


>>index-------------------------------------------------

1『モテでもわかる非モテ教室(後)』~草~

2『文化系女子研究所(2) はじまりの「オリーブ少女」』
                                             ~Parsley~

3『クリルタイ』活動日誌

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1『モテでもわかる非モテ教室(後)』~草~

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すでに述べたように、非モテの一側面として、自らの欲望を満
たすことがかなわないという問題がありうる。ひるがえって言
えば、不満が無いのであれば、問題は何も無いのではないかと
も思われる。ならばそもそも、ここで焦点になっているのは、
満足か不満か、という対立軸には回収されないものなのではな
いか。つまずきは、渇きから充足への道程にあるのではなく、
それ以前のどこかに、欲望に至るより手前にあるのではないか
。何が不満なのか、と問われるとき、まさにその問いを問われ
る主体が、欲望したりしなかったりするとみなされる主体その
ものが、危機に瀕しているのでは。

そのような症状の極端な行き詰まりを、ひきこもりという事象
に見ることができる。斎藤環は『社会的ひきこもり 終わらな
い思春期』の中で、現代の教育システムが「去勢」それ自体を
阻害していること、そのことがひきこもりと深く関わっている
と指摘している。斎藤の見立てを解釈すれば、次のようになる
。人間は成長の途上で、ある種のあきらめを受け入れ万能感を
失い「去勢」されることによって、社会に参加し「正常に」欲
望することができるようになる。「去勢」は社会や家族から強
制的になされるものであって、本人がみずから望んでそれを被
ることはできない。オトナになるには挫折が必要なのだ。しか
るに、現代の学校システムにおいては、「誰もが無限の可能性
を秘めている」などと喧伝され、自分の「やりたいこと」をや
ること、本当の願望を実現することが奨励される。万能である
ことをあきらめつつある子どもにとって、これは危険な誘惑で
ある。私見によれば、精神分析学の教える「去勢」とは、不可
能性を禁止で置き換え覆い隠すことによって欲望の対象を無限
遠へと隔離し、それへと至る欲望の主語として主体を形成する
操作である。「どうしてぼくは××できないんだろう?」とい
う疑問の円満な解決が与えられる。「ぼくが××できないのは
、父さんがそれを禁止しているからだ。父さんさえ死ねば××
できる」。(よく知られているように、父はすでに死んでいる
のだが、ともかく)現代の学校教育、あるいは社会が子どもに
与える誘惑は、この欺瞞的な置き換えを破綻に追いやってしま
う。「いや、きっときみならできる、何にでもなれる」という
囁きが、成熟しつつあるはずの主体を隘路へと追い込む。
挙げ句、欲望を、自由を享受しそこねた人間の一部は、ひきこ
もりという症状に陥る。「一切の社会的束縛を免れているとい
う点からみて、きわめて自由な立場とみることもできる」ひき
こもり。斎藤はこう述べる。「『自由であること』それ自体が
葛藤の原因となるような時代を、『思春期の時代』とかりに呼
びうるなら、『社会的ひきこもり』とはまさに、そのような時
代を象徴するような病理ではないでしょうか」。非モテは、こ
うした問題意識に接続されるべきではないのか。

私たちが「やりたいこと」「本当の欲望」へとせき立てられる
のは、思春期の学校教育においてのみではない。フリーターや
ニートというようなタームによって主題化される「若者の労働
に関する意識」の問題も、同一の地平にある。速水健朗は『自
分探しが止まらない』で、日本の経済的社会的構造の変化と「
自分探し」にはまる若者のメンタリティについて論じている。80
年代以前には「より上級の学校からより上級の会社へ」という
ライフコースが一般に存在し、企業はまっさらな新卒を採用す
ることを望んでいたが、90年代になると社会構造が変化し、就
職活動では個性的で「やりたいこと」を明確に持った人物像が
要求されるようになる。しかし、「やりたいこと」ができる
「やりがいのある仕事」が世の中にあふれているわけでもなく、
「やりがいたいことをやるべし」と教え込まれてきた若者たち
はさまようしかない。
このような若者と仕事との関係は、非モテと性愛との関係と相
同的である。性愛に対してシニカルな態度をとっているかのよ
うで、その実、非モテの心性にはしばしば、純愛への固執が見
てとれる、あるいは純愛への固執を強いるような言説が存在す
る。恋愛は明らかに、その要素を交換することが可能な形式な
のだが、ある種の言説は、「恋に恋する」ことを不純であると
否定し、あたかも内面からわき上がってくるかのような神秘的
な「恋愛感情」が誰にでも生じうるものだと主張する。「『モ
テたい』なんておかしい。誰か好きな人がいて、その人と付き
合いたい、というのなら分かるけれど。だって、『誰とでもい
いから付き合いたい』なんて人と付き合う人がいる?」。これ
はまったく、就職活動にいそしむ学生に向けられるアドバイス
そのものではないか。「『就職したい』なんておかしい。何か
やりたい仕事があって、その仕事がしたい、というのなら分か
るけれど。だって、『どこでもいいから働きたい』なんて人を
採用する企業がある?」。欠けているのは、真の欲望である。
それは作為的なものであってはならず、あくまでも自然とわき
上がってこなければならない。あの人が好きだ、あの仕事がや
りたい、というひらめき。だから非モテは、白紙のエントリー
シートを前に頭をかきむしる学生のごとく嘆息するのだ、ココ
ロのどこかに「本当の欲望」があるのだろうか、と。
なんとか内定を勝ち取り就職できたとしても明るい未来も見え
ないままに長時間の残業が続くとすれば、人はどのような心理
状態にいたるだろうか。鈴木謙介は『カーニヴァル化する社会』
の中で、現代の若者は「(比喩的な意味での)不断の『躁鬱
状態』に置かれている」と論じる。つまり、かなわない遠い目
標へ向けての「ハイテンションな自己啓発」状態と、どうせ自
分には夢も希望も無い、という無気力な状態という両極端へと
振れる心理。やる気をかきあつめ、自己イメージを書き換え、
「本当の自分」を仮構して労働(あるいは他の何か)に没頭す
るか、沼の底でひっそりと暮らすか。加えて、鈴木は「対人関
係のデータベース化」そして人格が複数の「キャラ」へと分裂
していることを指摘している。場面や相手に応じて「自分」を
演じ分ける統合性に乏しい個人が、「躁鬱状態」の振幅の中で
醸成される。根から切り離された再帰的な自己は、瞬発的な盛
り上がり、「これが本当の私だ」という高揚と、何もやる気が
しないという脱力感の間をさまよう。ウェブの片隅では、「非
モテ」キャラをまとったブロガーを観察することができるだろ
う。

以上、ひきこもりや労働問題と非モテとの関連を議論してきた
わけだが、非モテは、それが性愛に直接関わっている問題であ
る点で、後期近代における個人にとって興味深い論点を提示し
うるということを付言しておこう。すなわち、恋愛対象への欲
望の基礎に「好きになっちゃった」という受動性があるとして、
その受動性自体を欲望することは、何を帰結するだろうか。


 <参考文献>

・『社会的ひきこもり 終わらない思春期』斎藤環
 http://www.amazon.co.jp/dp/4569603785/
・『自分探しが止まらない』速水健朗
 http://www.amazon.co.jp/dp/4797344997/
・『カーニヴァル化する社会』鈴木謙介
 http://www.amazon.co.jp/dp/406149788X/


●草
写真ブロガー/ネットラジオ家
自作の画像データや音声データをひっそりとウェブで公開する
活動に従事している。
ネットラジオ:『かんちがいだった。』
http://www.voiceblog.jp/kanchigaidatta/


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2『文化系女子研究所(2) はじまりの「オリーブ少女」』
                                             ~Parsley~

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最近になって雑誌などを賑わすようになった「森ガール」。
震源となったmixiのコミュニティ「*森ガール*」は、2006年
8月に開設されており、現在参加者は37000人超。一過性のブ
ームと捉えるのは早計だ。
同コミュニティには、【森ガールな項目】として約60もの項目
がある。例えば、次のようなものが挙がっている。

*ナチュラル系にみえるけど、すこしクセのあるファッション 
*ニットやファーで、もこもこした帽子がすき
*カフェでまったりするのがすき 
*童話がすき 
*いつか北欧にいきたい 

しかし、こういったものは、何も唐突に現れたものではなく、
90年代初頭の雑誌『Olive』と、その熱心な読者であった「オ
リーブ少女」の文化を継承しているものと思われる。

http://ja.wikipedia.org/wiki/Olive

例えば、家具を中心とした北欧様式を最初に持ち込んだのは同
誌であるし、カフェやアフタヌーン・ティーも積極的に紹介し
ていた。
ベレー帽にシンプルなワンピースといったリセエンヌ(フラン
スの女学生)的なファッション&ライフスタイルに、手作りの
お菓子作り・オーガニックフード、クレヨンや色鉛筆などの文
具に対する愛着をミックスさせ、特に都市部の20歳前後の女
性に絶大な影響を与えた。

見落とされがちなことだが、90年代前半に小沢健二らがよく同
誌には登場しており、いわゆる「渋谷系」の隆盛に一役買った
のだが、本論からはずれるので、ひとまずここでは置く。

『Olive』は、他誌が「ガーリースタイル」として、同誌の特
徴を丸くする形で一般化し取り入れることにより、立ち位置が
微妙になってしまったこともあり2000年に休刊になってしまっ
た。
だが、同誌のコンテンツ部分は『Non-no』や『an-an』の特集
や、『PS』『mini』などの20歳前後をターゲットとした雑誌に
継承されていった。
そして、『CanCam』が打ち出した「モテ服」の衰退により、
より自分らしさを自然に表すための、ライフスタイルの総体が
「森ガール」という名称とともに浮上してきた、という流れに
なるだろう。
実際、「森ガール」関連のムック本などを見ると、彼女たちの
あこがれの存在として登場するのは、『Olive』に頻繁に登場
していた蜷川実花や酒井景都である。

「森ガール」の先達としての「オリーブ少女」の存在を、少な
くともブームを仕掛ける側の出版社としては、意識しつつ、現
在の文化シーンに合わせた「情報」を展開させていっている。

次回は、「オリーブ少女」と「森ガール」の差異を明らかにし
ていってみたいと思う。


●Parsley
1976年東京都生まれ。埼玉の団地育ち。乙女男子。
『奇刊クリルタイ』アルバイト見習い補佐代理補欠。
いろいろなことにあっぷあっぷな毎日。
ブログ:『Parsleyの「添え物は添え物」らしく』
http://yaplog.jp/parsleymood/


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3.『クリルタイ』活動日誌

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・コミックマーケット、参戦決定。

当落がなかなか来なくてやきもきしましたが、冬コミに我々も
参戦いたします。
日時・場所については、追って発表させて頂きます。

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・深夜のパジャマトーク

6日の夜半過ぎ『4.0』に掲載予定の「非モテおっさんパジャ
マトーク」が某所で開催されました。
男子5人が集まると、話はどんどんアヤシイ方向に…。
ま、ちゃんと2005年前後の非モテ論壇の話では懐かしい名前
がぽんぽん出てきて、非常に盛り上がりました。
しかし、編集大変だぞこれ。

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khuriltai@gn.readymade.jpまでよろしくお願い申し上げます。

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・編集:Parsley
・発行:クソタイ編集委員会
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