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2009/07/17

ブランド経営のヒント【ユニクロの中国戦略/ヒントの活かし方編】

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 ~卓越したブランド経営・ブランド進化の『ヒント』がここに~

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------------------- ◇毎週火曜・金曜発行◇ -----------------


こんにちは。
今回は【ユニクロの中国戦略/ヒントの活かし方編】です。


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■目次

--------------- ◇前回(火曜日)のおさらい◇ -------------

・テーマ【ユニクロの中国戦略】

・ヒント 【日本ブランド×事業ブランドによる『賢い』海外進出】

--------------- ◇今回(金曜日)の追加項目◇ -------------

・ヒントの活かし方【異国に向けたブランド戦略への応用】

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◇◆ テーマ【ユニクロの中国戦略】
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反日リスクは、商売にとっては雑音にすぎない。上海の人もみんな
ソニーや松下の製品を使っている。根本には日本商品に対するあこ
がれがある。

(迅銷(中国)商貿有限公司 董事総経理 潘 寧)
※迅銷(中国)商貿有限公司は、ユニクロを展開するファーストリ
  テーリンググループの中国法人


--◆解説----------------------------------------------------


ユニクロ(株式会社ファーストリテーリングの完全子会社)は、
CEOの柳井 正氏が率いるグローバルブランドです。


「2010年にグループ売上高1兆円」を掲げるファーストリテイリング
は、海外でもカジュアル衣料専門店「ユニクロ」の展開を進めてお
り、中でも、10億人以上の人口を抱え経済成長著しい中国市場を重
要視しています。


しかし、2002年9月の上海への初出店以来、迷走が続きました。


「日本のユニクロと同様に、最適価格でマス市場を狙う戦略は中国
では難しかった。中国のマス市場の顧客は収入が低く、価格競争が
激しい。地場の市場では、パンツ(ズボン)2本20元(約300円)で
売っている」


地場の市場に安価な衣料品が満ちあふれる中国では、相対的にコス
ト高のユニクロは受け入れられなかったのです。


そこからユニクロは、2005年9月の香港出店で戦略を転換し、成功を
収めます。


日本のユニクロよりも2割程度高い価格設定で「上質の日本ブラン
ド」という価値を打ち出す戦略を実行し、日本よりもはるかに高い
利益率を実現しました。


この成功モデルは上海など中国本土にも適用され、対象顧客も「マ
ス」ではなく、「25~40歳の収入に余裕がある(月収3500元以上の)
オフィス勤務者」に絞り込まれました。


一方、ユニクロの普遍性を維持する形で、日本と同様にロゴを付け
ず、自由にコーディネートができるスタイルにこだわりました。


香港より反日感情が強いと思われる上海でも、日本を前面に出す方
針を変えませんでした。


「反日リスクは、商売にとっては雑音にすぎない。上海の人もみん
なソニーや松下の製品を使っている。根本には日本商品に対するあ
こがれがある」という確信を得ていたためです。


今後も中国、香港、韓国のアジア地区では積極的な出店を進め、
2009年8月期末のアジア地区の店舗数は前期比倍増の76店舗に達する
予定です。

 

<参考文献>

●日経情報ストラテジー(2008年1月号)

●ファーストリテーリングホームページ

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◆◇ ヒント【日本ブランド×事業ブランドによる『賢い』海外進出】
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今回の事例は「日本ブランド×事業ブランドによる『賢い』海外進
出」の事例の一つといえそうです。


例えば「マイクロソフト」というブランドについて連想することは?
と日本人に聞きますと、多くの場合「アメリカ」という連想が浮か
びます。


これと同じことが、海外で展開する日本ブランドに起きます。つま
り海外の顧客は、ユニクロを『日本のユニクロ』と認識します。


ユニクロは中国市場において『日本への憧れ』に投資しうる顧客層
に絞りこみ、日本よりも割高な価格設定で「日本企業らしい品質」
と「ユニクロらしいスタイル」を提案したことで成功を収めました。


中国の市場特性に合わせて、ターゲットや価格を調整し、ユニクロ
の普遍性である「品質」や「スタイル」を変えずに済むブランド戦
略にしたことは、多くの企業が学べる点であると思われます。


当初のマスブランド戦略での失敗を教訓とし、「変えるところ」と
「変えないところ」の勘所を見つけたのかもしれません。


ブランドには正負両方の資産があり、国家ブランドも例外ではあり
ません。正は魅力に通じ、負は嫌悪に通じます。


こうした正負の度合を見極めながら、日本ブランドの魅力を上手に
活かし、事業ブランドの普遍性との相乗効果をにらんで、適正な顧
客ターゲットを選び、魅力的な価値提供をすれば、割高な価格でも
好調な売上・利益を得られそうです。


資生堂の中国事業も好調ですが、やはり「上質なブランド」として
成功を収めています。


とりわけ海外進出期において、国家ブランドは適切に活用すれば、
事業ブランドの力になると思われます。


この事例は、海外戦略を成功させたい日本ブランドを有するあらゆ
る組織に参考になるかと思われます。


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◇◆ ヒントの活かし方 【異国に向けたブランド戦略への応用】
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今回のヒントの活かし方では、「異国に向けたブランド戦略」をど
う実現するかについて考えてみたいと思います。


【異国に向けたブランド戦略プロセス】

1. 基本戦略の設定
2.ブランド戦略の策定



1.基本戦略の設定

日本におけるユニクロと中国におけるユニクロは、基本戦略に大き
な違いがあります。

マイケル.Eポーターは競争優位を築くうえで3つの基本戦略がある
と主張しています。


1.コストリーダーシップ戦略(低コスト・広いターゲット)
2.差別化戦略(差別化・広いターゲット)
3.集中戦略
 3.1.コスト集中(低コスト・狭いターゲット)
 3.2.差別化集中(差別化・狭いターゲット)


日本におけるユニクロは、広いターゲットに比較的低価格で、潜在
ニーズをみたす品質・機能・デザインを提供しうることが競争優位
ですので、「コストリーダーシップ戦略」(対専門店・百貨店)と
「差別化戦略」(対量販店)を同時に達成しています。


中国におけるユニクロは、地場のメーカーと比較して、コストで勝
るのは難しいので、ターゲットを絞り、価格は割高でも、品質やス
タイルで差別化を図る「差別化集中戦略」をとっています。


このように異国におけるブランド戦略を策定する上では、前提とし
てどの基本戦略を選ぶかを自国市場での先入観を持たずに、各種分
析を通じて明確にする必要があります。



2.ブランド戦略の策定

基本戦略に呼応する形で、ブランド戦略を策定します。
なかでもポイントは「ブランド価値」(そのブランドにしかできな
い魅力的な約束)の設計にあります。


中国におけるユニクロでは、「品質のよさ」と「ユニクロらしいス
タイル提案」をブランド価値として設定しています。


当然、こうしたブランド価値に投資しうる顧客ターゲットを想定し
た上での価値設定となっています。


また中国において「接客」の概念が重要視されていないことを機会
と捉え、日本では当たり前とされる「感じのよい接客」というブラ
ンド価値も付加しています。


さらに、こうしたブランド価値を国家ブランドが補強できれば理想
的です。


例えば中国の人々が抱く「品質のよさ」「機能性」といった日本ブ
ランドに対する連想は、ソニー・松下などの日本ブランドにより中
国に蓄積されているブランド資産です。


さらに「感じのよい接客」の根底にある「おもてなし精神」も、今
後の日本ブランドが海外に蓄積しうるブランド資産となりそうです。


中国におけるユニクロの「上質な日本ブランド」というメッセージ
は、このあたりを上手に活用しています。


また中長期的に、中国の一人当たりの所得水準が上がれば、ユニク
ロの顧客ターゲットも広がるため、「差別化集中戦略」から「差別
化戦略」への基本戦略移行を店舗拡大と並行して行っていくかもし
れません。


その際には「ブランド戦略」の進化も求められると思われます。


こうした戦略シナリオは、ユニクロのみならず、多くの日本ブラン
ドが活用しうる示唆を含んでいそうです。


ジェイコンサルティングでは、基本戦略に基づくブランド戦略を業
種を問わず支援しております。


◆ブランド戦略
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それではまた次回お会いしましょう。

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