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2009/08/18

『カシスウー論』 ~恵比寿のレストラン『Q.E.D. CLUB』編~

 『カシスウー論』 ~恵比寿のレストラン『Q.E.D. CLUB』編~


 こんにちは 菓子酢ウーロンです。 
 第20回『カシスウー論』は、恵比寿にある高級レストラン『Q.E.D. CLUB』編です。

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 恵比寿駅西口を出て、駒沢通りよりも一本左に道をずっと進んでいって、
 坂を登って、とにかく行き止まりまで行ったところに、『Q.E.D. CLUB』はある。

 旧ハンガリー大使の公邸を改装したらしく、まさに立派なお屋敷という感じだ。
 店名に使っている「Q.E.D.」とは、数学の証明の最後に使われる言葉で、「これで証明終わり。これ以上のものはない」という意味を持つ。

 これまたずいぶんカッコイイ名前をつけたもんだと思うが、それに見合う豪華さは兼ね備えている。
 建物も、調度品もすばらしいし、小高い丘の上というロケーションも申し分ない。
 恵比寿の街を一望できる素敵な庭まであって、「ハンガリー大使はどれだけ立派なところに住んでたんだよ!」と思う。

 結婚式にもぴったりのお店で、じつはこの店の結婚式で一度司会をしたことがある。

 司会者には専属のお付きの人が一人ついて、ビールだ、ウーロン茶だとひっきりなしに持ってきてくれるのだが、
 「すみませんが、カシスウーロンを」とは言えなかった。
 
 相手の服装とか、身のこなしにまったく隙がなくて、こっちの言いたいことが言えないってことってあるでしょ。
 まさにそのパターンだった。
 髪の毛をあんなにツヤツヤに固められたら、私でなくても何も言えなくなってしまうだろう。

 司会用の演台の下に資料を置くためのスペースがあって、ツヤツヤ頭がそこにビールやウーロン茶を運んでくれるのだが、
 こっちはほとんど飲まないので、すぐにグラスの表面が水滴でいっぱいになってしまう。 
 すると、またツヤツヤ頭が新しい飲み物を持ってきてくれる。
 とにかく、それの繰り返しだ。

 グラスについた水滴とツヤツヤ頭と私。

 私にとって『Q.E.D. CLUB』とは、そんな「部屋とワイシャツと私」風のお店だった。
 (どんな店だよ!)
 

 話はガラリと変わって、世界陸上の話をしたい。

 なんだか、毎週織田裕二を取り上げているみたいだが、
 スポーツ好きの私としては、世界陸上の話題に触れないわけにはいかない。

 世界陸上といえば、ボルトとか、イシンバエワ(女子棒高跳びの選手)など、取り上げたい話題はたくさんあるが、
 そんなメインディッシュみたいなものはこの際やめておこう。
 「モヤモヤさまぁ〜ず」的に言えば、もっとモヤっている話をしたい。

 モヤっている種目といえば、何と言っても1万メートルだろう。

 大会初日、女子の1万メートル決勝があった。

 スポーツ好きと言っておいてなんだが、もともと陸上競技というのは、テレビで観ていてかなり退屈なものだ。
 お目当ての種目はなかなか始まらないし、100メートルの予選なんて12組もあるもんだから、
 知らない選手が一生懸命走り、有力選手が手を抜いて走る様を延々と見せられる。
 (有力選手は予選から本気で走ったりはしない)

 そんな退屈な陸上競技のなかで、最高に退屈なのが1万メートルである。
 まさに「Q.E.D」、これ以上ない退屈さなのだ。

 端的に言ってしまえば、約30分の間、トラックをぐるぐるまわっているだけの種目。
 そんなことを言い出したら、「陸上なんてほとんどそうじゃないか」ということになるが、それでも30分は長すぎる。
 マラソンみたいに周囲の風景は変わらないし、周回遅れの選手がどんどん出てくるから、
 レースの状況もいまいち分かりにくくて、全体的に眠りを誘う構造となっている。

 30分のぐるぐるをじっと見ていられるのは、相当な陸上通か、関係者だけである。

 それ以外の人にとって、見所があるのはラストの数百メートルくらいのものだ。

 ちなみに、男子の1万メートルにはベケレというラストスパートがもの凄く速い選手がいて、
 TBSの実況アナウンサーが「ベケレ、もの凄いスパートだ。これまでの9600メートルは関係なかったのか」
 と興奮して叫んでいた。

 そう叫びたい気持ちはわかるが、「あ〜あ、言っちゃったよ」と正直私は思った。
 気を遣って誰も言わないけど、1万メートルという種目にとって9600メートルまではおまけのようなものだ。
 でも、「それを言ったらかわいそうでしょ」という優しさがあるから、みんな黙っているだけなのに、
 こともあろうか実況アナウンサーが禁断のフレーズを口にしてしまったのだ。 
 まあでも、それくらいベケレのスパートはすごかったので、仕方がないだろう。

 前置きが長くなったが、話の中心はあくまでも女子1万メートルだ。

 ベケレのようなスペシャルな選手もいない女子の場合、この種目は本格的に退屈である。
 競技の最中は、解説の増田明美さんの「非常にていねいだが、さほど意味のない話」を聞いているくらいしか、ほとんどやることがない。

 しかし、そんな「退屈オブ退屈」の競技を一人の日本人ランナーが救った。
 初めて世界陸上に出場した佐伯由香里選手。ちなみに、「さはくゆかり」と読むらしい。めずらしい読み方だ。 

 身長142センチ、体重32キロと出場選手のなかでもひときわ小柄。
 弱冠二十歳のボーイッシュな選手で、ぱっとしないジャニーズJr.みたいな顔をしている。
 http://www.tbs.co.jp/seriku/athlete/j_f18.html

 ていねいな無駄話でお馴染みの増田明美さんが、
 「佐伯選手は、飛行機に乗ると子供用のおもちゃを渡されるらしいですよ」という競技とはまるで関係のないエピソードを紹介していたほどだ。

 残念ながら、世界レベルの選手と戦えるだけの実力はまだなく、トップからは2周以上も周回遅れにされ、
 ぶっちぎりの最下位を走っていた。

 しかし、超小柄のランナーが最後に一人必死で走っている姿を見て、ベルリンの観衆は大歓声を彼女に送った。
 最下位の選手を応援するのはめずらしくないが、あの盛り上がりはちょっと異常だった。


 最後は笑顔で楽しそうに手を振ってゴールした佐伯選手。間違いなく大会初日のヒロインだった。
 小さな体を大会マスコットに抱きかかえられた場面はとてもユニークだったし、
 ゴール後すぐに地元テレビ局から呼ばれてインタビューを受けていた。

 ゴール直後、地元メディアのインタビューを受ける外国人なんて、超一流選手か、金メダルと取った選手くらいしかいない。
 それなのに、ぱっとしないジャニーズJr.がそんな快挙を成し遂げたのだ。

 ちなみに、佐伯選手は小出監督の門下生で、レポーターをしている高橋尚子の言わば直属の後輩にあたる。
 レース前に、「人一倍努力家なので、ガンバって欲しい」とQちゃんも声援を送っていた。

 TBS的にも、大々的に取り上げる十分な条件が揃った。
 ここは放送ブースに画面を切り替えて、ひと盛り上がりしたいところだ。


 そんな状態で、織田裕二がいる放送ブースに映像が戻ってきた。
 もちろん、中井美穂は「佐伯選手、すごい盛り上がりでしたね」と話を振った。

 ところが、織田裕二は「今度は競技で、盛り上げて欲しいですね」なんて言って、さらっとやり過ごしてしまったのだ。


 なんて空気が読めない男なんだ。
 そりゃあ、たしかに競技で盛り上げて欲しいし、佐伯選手だって思い出づくりのためにベルリンまで来たわけではない。
 しかし、まあ、いまの実力を考慮すれば、「話題になっただけでもいいじゃないか」と誰もが思う。
 佐伯選手本人だって、まんざらではなかったはずだ。

 しかし、そんなことはお構いなしに、織田裕二は「佐伯フィーバー」を一蹴したのだ。

 さすがは織田裕二。
 織田裕二のキャスター起用には賛否両論あるが、そんな自由で、自分勝手な織田裕二が、私はけっこう好きなのだ。

 山本高広のモノマネが影響して、今回の織田裕二はテンション低めという評判もあるようだが、
 自由に、思いっきりやって欲しいと強く思う。

 陸上競技に興味のない人には、耐え難いほど退屈だろうが、そんな織田裕二の姿をちょっとは見て欲しいと思う。

 愉快か、不愉快かと聞かれると、答えに困る感じなんだけどね・・・


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  菓子巣ウーロンの『カシスウー論』
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