2009/11/29
メールマガジン(岡西労務配信)人事労務管理の押さえどころ
************************************************************** このメールマガジンは、最近の労務・労働問題に焦点を当て、 その対応・予防を中心にお伝えしていきます。 ただ、同種の問題であっても、その背景や経緯等で対処は 千差万別なため、あくまで一例/参考としてご覧頂ければ 幸いです。 個別にご相談の場合は、以下までご連絡下さい(顧問先企業様 は無料、顧問契約を締結されていない方は別途相談料が生じる 場合があります)。 ************************************************************** 第13回『上場企業が導入を始めている職種別賃金とは』(後編) 3.評価方法について ○ 職務別賃金制度・成果主義賃金制度共に重要となるのは、従業員 を評価(考課)することにあり、そのためには評価基準を策定する 必要があります。評価の注意点としては次のとおりです。 (1)評価の流れ 大切な点は、まず従業員に自己評価をさせることです。自己評価を させることにより、自らの業務とその成果を再確認させ、後のフィード バック(FB)の際にその認識の相違も含めて議論することができます。 具体的には、自分がどれだけの成果を上げたか、反対に出来なかった か、主張やアピールする点について、自己評価をさせることで、その人 の考え方や仕事に対する姿勢が見えるだけでなく、本人に自覚をさせる 点で大いに効果があります。 自己評価させた後に、当該者について上司が評価を行い、その結果を フィードバックします。評価基準はこのフィードバックのためにあると 言っても過言ではありません。ここで、評価基準が絶対であり、全員 同一の基準で評価していることを理解させることで、不公平感もなく なり、本人も納得しやすくなります。 ―― 例えば、自己評価と上司の評価に大きな差が出た場合、評価基準 を明確にしていれば、本人の認識としては「よくやった」と思って いても、評価基準に満たなかったとして、上司が出した結果を納得 するようになります。先ほどの『本人に自己評価をさせる』意味は ここにあります。自ら評価をしたが、基準に照らし合わせて満たない ことも本人に認識・評価させることで、上司の主観ではなく基準に 照らした結果であると納得するだけでなく、上司自身の立場も守る ことになります。 ―― よく見受けられるのは、評価の相違に対して上司が「いや、貴方 の自己評価のとおりだと思うが、部長が「評価が高すぎる」と言う もので」と、絶対であるはずの評価基準に他者の主観が介在する ことにより、基準だけでなく制度自体の信頼性が失われる結果と なりますので厳禁です。あくまで、評価基準に自己評価と上司の 評価が到達しているかどうかをドライに判断することが、信用を 得る一番の方法です。 ―― そのためにも、評価基準は明確かつオープンにする必要があり ます。隠したり、恣意的な評定ができる曖昧な規準であれば意味 がありません。 (2)評価面接時の注意点 評価面接は、部下が何を考えどう行動したか、内面まで知るいいチャ ンスであるので、極力部下に話をさせ、上司は聞き役に回ることが大切 です。 割合としては、本人に9割を話させ、上司は1割話せばいい方です。 ―― しかしながら、多くのケースでは、上司が一方的に話し、部下が 聞き役に回ることが多いようです。これは、上司が部下から評価に 対する批判を受けないために、発言させないことに拠ることが多い ですが、明確な評価基準があれば、何ら批判を受けることはないの です。上司も手が出せない基準に従っただけとすれば、本人も納得 します。その納得させるためにも、積極的に部下に話をさせて 下さい。 (3)評価の注意点 評価した結果、必ずしも正規分布にする必要はありません。しかし、 中には偏った評価結果を嫌い、正規分布にする人が多いようです。 むしろ、職種により分布の偏りがあるのは当然と考えて下さい。これら は評価における特徴的な傾向であり、他に中心化傾向(大半が平均値 近辺に分布する)のように、中間値に集まったり、平均化傾向(大半 が平均値の評価)のような分布となることもよくあります。評価の結果 は分布の如何を問わず、出た結果で判断してください。 最後に、「○○は良くやった!」と社長が評価の匙加減をするケース も見られます。匙加減をするのであれば、加点するのみです。減点は できません。 理由は、匙加減で減点をすると、上記のとおり評価基準に主観が介在し、 その結果、評価の信用度が失墜します。 また、匙加減で加点をする場合であっても、その加点の幅も最大5% 程度とすることを忘れないで下さい。どうしても社長が加点をしたい 場合は、『社長賞』等、別枠で出すようにして下さい。 4.結論 最近は従来の年功序列型賃金が悪く、成果主義賃金が最適と思われて いる風潮があるが、この職種別賃金も含めて、各社にあった適切な制度 を導入しなければ、どの制度であっても無駄金を出すだけで、効果は ないのです。 その為には、自社は成果が測れる企業か(業態・管理職の能力・会社 の風潮)もしくは堅実に日々定例の業務を行うのが主な企業なのかでも、 導入する賃金制度は違ってきますが、どこまで把握できているかが大前提 です。多くの企業で成果主義賃金を導入し、その大半の企業で業績が 出ないのはそれが理由とみられています。しかし、悲しいかな賃金制度を 導入させようとする所謂コンサルタントは、それが『自社製品』であり、 その企業に合う合わないは二の次であるのが現実なのです。 だから、この職種別賃金も魅力がある制度と思いますが、必ず各社に 合う制度とは言えません。どの制度も一長一短あることをお知りになり、 その上で、自社に最適な賃金制度を導入するようにしましょう。 (終わり) 次回は12月下旬に『労働時間の現実対応』をお伝えする予定です。 ************************************************************** 配信責任元: 岡西労務管理センター(社会保険労務士事務所、行政書士事務所) 日本経営労務総合研究所(経営・労務コンサルティング、 人材育成・能力開発コンサルティング会社) ジェイオーマネジメント(給与計算・総務・経理・福利厚生管理 アウトソーシング会社) 発行責任者:岡西労務管理センター代表 岡西豊博 **************************************************************


