メールマガジン(岡西労務配信)人事労務管理の押さえどころ
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このメールマガジンは、最近の労務・労働問題に焦点を当て、
その対応・予防を中心にお伝えしていきます。
ただ、同種の問題であっても、その背景や経緯等で対処は
千差万別なため、あくまで一例/参考としてご覧頂ければ
幸いです。
個別にご相談の場合は、以下までご連絡下さい(顧問先企業様
は無料、顧問契約を締結されていない方は別途相談料が生じる
場合があります)。
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第5回:「精神障害者の労務管理(後編)」
○ 最近のメンタルヘルスに関連する事例からみると、人事担当者の間では、
以下の3点が企業のリスク管理の観点で重要な問題と認識されています。
1.企業の担当者に精伸病やうつにかかる基礎的知識を有していないことが多
い
2.企業側が主治医の診断書をよく理解できていないことが多い
3.メンタルが労災と認定されないための事前対応ができていないことが多い
詳細は以下のとおりです。
1.企業の担当者に精神病やうつにかかる基礎的知識を有していないことが多い
○ まず、「うつ」「うつ状態」「うつ病」は明確に区別される必要があります。
「うつ」は昔でいう「ノイローゼ』であり、今ではメンタル面からの不調者
をいい、医学的に意味のある言葉とはいえません。「(抑)うつ状態」とは、
330余りの精神・神経系の病気から病名をつけられない症状・傾向まですべて
含んでいる状態を医学的に指し示す用語です。一方、「うつ病」とは医学的な
病名です。
これらの違いを理解しておかなければ、誤った対応※をしかねないので、
注意が必要です。
※病状によっては、休職から復帰する際に、現所属に戻した場合が快方に
向かう場合もあれば、悪化する場合もあります。病名とその対応方針の違い
を担当者は理解しておく必要があります。
診断書を徴求する際の注意点としては、ICD−10(国際疾病分類)の番号を
記載してもらうことが、あいまいな診断を防ぎ、事後対応をたて易いという
観点から必要だといえます。
○ こうした区別を時の経過の面からみると、メンタル不調者は以下の経過を
辿ることが一般的といわれています。
(1)最初に出るのは身体の不調(胃痛やめまい等の身体的反応)
(2)次に意欲低下(この段階では、仕事では元気がない一方、プライベー
トでは元気な面を見せる)
(3)抑うつ気分(ネガティブな物の考え方をする。仕事に対して否定的な
見方をする)
(4)思考抑制(受け答え・反応が遅くなる)
このうち、(3)までは病気ではありません(健常者でもよくある反応)。(4)
の反応が出た場合は、明らかに病気といえるでしょう。
―― (1)〜(3)の状態で「うつ状態」と診断された者が(4)の病気に至るのは2
割程度。つまり、本人の性格で(1)〜(3)の傾向が顕著に表れても、その時
点では直ちに病気とはいえません。性格の程度と罹患の有無は別と考え
るべきです。
―― 良くなる場合も悪くなる場合も共に(1)〜(4)の順番を辿ることが多い
といわれています。
(4)まで至った者でみると、うつ病の場合は、凡そ7割は再発リスクが
あります。統合失調症に至っては治癒せず、程度の差こそあれ進行する
ものであるといわれています。
2.企業側が主治医の診断書をよく理解できていないことが多い
○ 先述のとおり、診断書に「うつ」とかかれている場合であっても、それは
適切な病名ではありません。精神疾患が疑われる場合に、きちんと病名をつ
けられない時にそうした苦し紛れの診断名が付けることがあるが、それは病
名ではないので、再診断を求めるべきでしょう。
○ さらに、必要に応じて会社が主治医に診断内容について確認することが適
当です。主治医は個人情報保護や守秘義務を盾に会社の担当者との面会を拒
むのが一般的です。そこで会社側は、就業規則に安全配慮義務を履行する親
点から主治医に情報開示を求めることがある旨の規定を設け、休職の要件と
して、当該情報開示について同意することを明記すること※で、主治医に情
報提供を求めやすくなります。
※実務上では万全を期すために、就業規則に明記した上で、休職入りの条
件として休職届の提出の際に同意書を併せて微求することが望ましいで
しょう。
―― 医師に情報開示を求める場合は、可能な限り書面で求め書面で返して
貰うようにすることが大切です。しかし、現実的には、書面で貰えるケ
ースは少ないのですが(医師の側が後々のトラブル発展に巻き込まれた
くない)、会社としても社員の将来を左右する大事なことだと説明し、
エビデンスとして手元に置くことが重要です。
○ 復職時の診断書は、主治医が会社の業種・業態・業務内容を把握せずに書
いているものであり、あくまで意見の一つとして捉えるべきです。復職可と
の診断であっても、医学的に治癒(寛解)したのであって、業務遂行が可能
か否かは別問題です。
○ また、診断書は患者の意向を色濃く反映するものであるので、可能な限り
セカンドオピニオンを求めることが重要です。特に、診断書に「業務が起因」
となっている場合は要注意です。裁判等で証拠として出された場合は、裁判
所は企業の責任を問うので、必ず会社側が指定する医師に診察を受けさせる
ことが重要です。
―― 過重労働があったからメンタル疾患となったのではなく、元々メンタ
ル疾患があったから、仕事の効率が悪く過重労働になったケースも多い。
先天的な疾患か、業務に起因する疾患か見極める必要があります。
―― 発症についてのきっかけと原因は別にあるものです。業務がきっかけ
であっても、発症に至った原因は本人の資質・能力・脆弱性等の場合が
あるからです。
3.メンタルが労災と認定されないための事前対応ができていないことが多い
○ 最近、過重労働ではないにもかかわらず、「会社は安全配慮義務を怠った
ことが原因」として、業務起因性を認め労災適用を認めた判決がありました。
この裁判例でも見られるように、最近は会社の責任を強く問う傾向にありま
す。メンタル疾患に伴う労災適用についても同様で、会社が同疾患者に対応
する制度を設け、これをきっちり運用していないことが判明した場合、それ
を会社の落ち度と認め、その点がクローズアッブされることに会社側は気を
つける必要があります。
即ち裁判所は、会社が場当たり的な対応ではなく、メンタル疾患者に対す
る初期対応や事後フォローを行なう制度として導入しているか、また、メン
タル疾患者に対して、実際にそうした措置を取っているかを重要視している
のです。
―― 実際に訴訟に至らなくても、メンタル不調の原因は会社あるとして、
訴訟をちらつかせる労働者(のみならず家族)が確実に増加しつつあり
ます。
―― 対応のスピードや節目節目において医師が関与しているかが大きなポ
イントといえるでしょう。
○ 企業がメンタル疾患により労災認定を受けるリスクに対応するポイントは、
『事前対応』にある。以下の項目が対応できれば、先述の問題を解消・軽減
できるだけでなく、管理者の負担感やメンタル不調者の減少につながるとい
われています。
―― もちろん、施策の中身が重要であり、外形的に対応していても、その
目的・意味合いを理解していなければ、問題解決には繋がりません。
(1)保健スタッフのチーム(精神科医等)の選任および役割の周知
⇒体制表を作成し従業員に周知すること
(2)自己保健義務規定の策定
⇒会社の安全配慮義務に対して、従業員にも自らの健康に配慮する義
務を負わすこと
(3)メンタル不機能者が出た場合の規定と手続き
⇒管理者の対応方法や記録保存等、会社の対応策を規定すること
(4)休職、復職の規定と手続き
⇒規定はメンタル疾患を基準に制度策定すること
(5)復職後リハビリの規定と手続き
⇒メンタルを基準に、会社が求める就労可能状態まで回復しているか
確認する見極めの期間を設けること
(6)量的過重労働の把握と改善、指導
(7)質的過重労働の把握と改善、指導
⇒共に安全配慮の観点から、行政の法令の範囲内に労働時間等の労働
負荷が収まっているか常に確認すること
(8)専門医への相談窓口の設置
⇒EAPだけでは不十分であり、精神科医へ相談できる体制とすること
(9)会社としての具体的配慮の実行
⇒(1)〜(8)について会社がどう関与・対応するかマニュアル化すること
(10)一連の記録化
⇒子細もらさず記録することで、訴訟等の際に会社の対応不備を突か
れないようにすること
○ 以上の対応についてマニュアル化し、周知することで、管理者・担当者の
対応負担は軽減できるだけでなく、責任やトラブル回避にも役立つと考えら
れています。
以上(了)
次回は、第6回「就業規則の解説」(前編)をお届けします。
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配信責任元:
岡西労務管理センター(社会保険労務士事務所、行政書士事務所)
日本経営労務総合研究所(経営・労務コンサルティング、
人材育成・能力開発コンサルティング会社)
ジェイオーマネジメント(給与計算・総務・経理・福利厚生管理
アウトソーシング会社)
発行責任者:岡西労務管理センター代表 岡西豊博
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