2009/07/20
メールマガジン(岡西労務配信)人事労務管理の押さえどころ【法改正情報】
************************************************************** このメールマガジンは、最近の労務・労働問題に焦点を当て、 その対応・予防を中心にお伝えしていきます。 ただ、同種の問題であっても、その背景や経緯等で対処は 千差万別なため、あくまで一例/参考としてご覧頂ければ 幸いです。 個別にご相談の場合は、以下までご連絡下さい(顧問先企業様 は無料、顧問契約を締結されていない方は別途相談料が生じる 場合があります)。 ************************************************************** 【法改正情報】次世代育成支援対策推進法の改正について ○ 「次世代育成支援対策推進法」(平成17年4月1日施行。 平成27年3月31目までの10年間の時限立法)は、急速な少子化 の進行を食い止めるための施策を、国、地方公共団体、事業主が一体 となって取り組むことを定め、301人以上を雇用する事業主に対して は、「自社の労働者の雇用環境の整備」や「その他の次世代育成支援対策」 (地域貢献活動等)を「一般事業主行動計画」(以下「行動計画」)として 策定し、都道府県労働局長に届け出ることを義務付けています※。 ※届出を行わない場合の罰則はありませんが、都道府県労働局長に勧告 権限があります。 先般、同法が改正され(平成20年11月26日公布、平成21年4月1日 施行)、本年4月1日以降に策定する行動計画の対外公表および従業員への 周知が義務付けられました。これに伴い、301人以上の企業おかれましては 平成21年4月1日以降、101人以上の企業におかれましては、平成23年 4月1日以降に行動計画を策定する場合は対外公表が必要となりますので、 その点を意識して策定する必要があります(100人以下の企業につきまして 行動計画の公表は平成21年4月1日努力義務になります)。 以下、従来からのポイントと今回の改正内容につきまして、概要を御説明 します。 1.行動計画に盛り込むべき内容 ○ 行動計画の策定に当たっては、「計画期間」、「目標」、「目標達成の ための具体的対策と実施時期」を定める必要があります。〈行動計画策定指針〉 計画期間:1回の行動計画期間は、企業の実情に応じて、2~5年が望ましい。 目 標:企業の実情に応じて設定(複数設定可)。 社員のニーズを踏まえたものであること。 達成状況を客観的に判断できる定量的なものが望ましい。 目標達成のための対策とその実施時期:策定した目標を達成するために、 「いつまでに」、「どのようなことに取り組むか」を具体的に記述する。 2.行動計画の公表および従業員への周知 ○ 平成21年4月1日以降に策定・変更する行動計画については、以下の いずれかの方法により対外公表を行うとともに、従業員へ周知する必要が あります(行動計画の「概要」だけでは足りず、行動計画自体を公表および 従業員へ周知する必要あります)。〈改正法第12条第3項、同第12条の2 第1項〉 なお、対外公表および従業員への周知は、策定・変更から概ね3か月以内 に行わなければならないとされています※。〈改正法施行通達〉 ※対外公表や従業員への周知を行わない場合の罰則はありませんが、 都道府県労働局長に勧告権限があります。 (対外公表方法)〈改正法施行規則第1条の3、行動計画策定指針〉 (1)インターネットの利用 (例) ・自社のホームページヘの掲載 ・厚生労働省と21世紀職業財団が開設したサイト「両立支扱のひろば」 への掲載 注、掲載料は無料だが、行動計画以外の取組等詳細な情報掲載が 求められます。 (2)その他適切な方法 (例) ・日刊紙や都道府県広報誌への掲載 ・各事業所における公表ペーパーの備付(誰でも閲覧できるようにする) (従業員への周知方法)〈改正法施行規則第2条の3、行動計画策定指針〉 (1)各事業所における掲示または備え付け (2)従業員への書面交付 (3)全従業員への電子メール送信 (4)その他適切な方法(社内イントラネット等) 3.行動計画策定に当たっての留意事項 ○ 行動計画を策定する場合は、行動計画策定指針に照らし、適切な目標を 立てなければなりません。 以下の目標は、不適切な策定例と解釈されるとのことです。 (不適切な策定例) ▼各種法令に違反する内容(例えば男性のみを対象とした短期有給育児休業 制度等)や、法令どおりの内容(法令を上回る楷置なし)の制度導入を 目標とすること。 ―― なお、法令において、導入することが企業の任意選択(時間単位の 休暇等)、または努力義務となっているものについては、目標として 掲げることが可能です。 ―― 法令どおりの制度を導入する場合でも、「制度周知」や「利用促進 活動」を併せて目標として掲げることで、適切な目標となります。 ▼行動計画期間の開始目より前から既に実施していることを、そのまま引き 続き行うこと。 ―― 次期計画で同じ計画を目標とする場合は、内容のバージョンアップ が必要です。 ▼制度導入の実施時期が、行動計画期間の初日となっていること。 ―― 目標は、計画期間内に必要な対応策を講じることによって達成される ものでなければならず、行動計画期間の開始と同時に既に目標が達成 される内容では、適切な目標とは言えません。 ○ なお、行動計画策定指針においては、次世代育成支援対策として重要と 考えられる目標例を以下のとおり例示しています。 これらの目標例をすべて盛り込む必要はなく、また、同指針で示された 目標例以外の内容を盛り込んでも構いません(各企業の実情に合わせ目標 を設定すればよいのです)。 (目標例) (1)育児をする社員についての両立支援の整備 ・妊娠中および出産後の社員に対するほ性保護制度の周知や相談窓口 の設置 ・育児・介護休業法を上回る休業制度や看護休暇制度の実施 ・育児休業中の社員の職業能力の開発・向上等、育児休業を取得 しやすい・職場復帰しやすい環境の整備 等 (2)育児をする社員以外も含めて対象とする多様な労働条件の整備 ・ノー残業デー等の導入・拡充や企業内の意識啓発等による所定外労働 の削減 ・年次有給休暇の取得促進 ・短時間勤務や隔日勤務等の制度整備 等 (3)自社の社員に限定しない雇用環境整備以外の取組 ・子供が保護者の働いているところを見ることができる「子ども参観日」 の実施 ・地域における子育て支援活動への社員の積極的参加の支援等、子ども・ 子育てに関する地域貢献活動の実施 等 4.通称「くるみんマーク」を取得する場合の留意事項 ○ 行動計画期間の終了後に認定※を受ける場合、または今後策定する行動 計画について将来認定を受けようとする場合は、以下の9つの認定基準 すべてを満たす必要があります。〈改正法施行規則第4条〉 ※「行動計画策定指針」に照らし適切な行動計画を策定し、当該目標を 達成したことを、都道府県労働局長に認定してもらった結果、 同マークが交付されます。なお、申請をするか否かは企業の任意判断 となっています。 ■認定基準1:「雇用環境の整備に関する事項」について、行動計画策定 指針に照らし適切な行動計画を策定したこと 注、行動計画の適切性に関しては、前述「3.行動計画策定に当たって の留意事項」に記載のとおりです。 認定を受ける場合は、行動計画の目標に、「雇用環境の整備に関する事項」 ((1)育児をする社員についての両立支援の整備、(2)育児をする社員以外も 含めて対象とする多様な労働条件の整備)が、少なくとも一項目以上盛り 込まれていなければなりません。 ■認定基準2:行動計画の計画期間が、2年以上5年以ドであること ■認定基準3:策定した行動計画を実施し、それに定めた目標を達成したこと 制度を導入したものの、目標としていた実施時期よりも遅れた場合は、目標を 達成したとは言えません。 ―― 目標はすべて達成することが要件です。 ―― 達成できない目標や認定基準1に照らし不適切な目標がある場合、計画 期間の終了前に行動計画の内容を変更し、変更届出を行ったうえで認定申請 を行えば、認定を受けることができます。 なお、認定を受けるためには、達成したことを証明する書類を添付しなければ なりません。 注、例えば、「ノー残業デーの導入」を目標とした場合は、ノー残業デーを 導入したことを示す社内通達辱を添付すれば足ります。ただし、「年間一人 当たり○時間削減する」という数値・目標を立てた場合は、削減前と削減後 の数値両方が分かる潜類を添付する必要があります。 ■認定基準4:平成21年4月1目以降に新たに策定した行動計画について、 適切に公表および従業員への周知をしたこと 平成21年4月1日以前に策定した行動計画についての公表・周知義務は ありません。 認定申請の際には、公表および従業員へ周知した日付が分かる書類の添付が 必要です。 ■認定基準5:計画期間内に、男性の育児休業等取得者が1人以上いること 認定申請時に、既に退職している者は含まれません。 ■認定基準6:計画期間内に、女性の育児休業等取得率が70%以上であること 取得率=計画期間内の育児休業者数/計画期間内の出産者数 認定申請時に、既に退職している者は、分母にも分子にも含まれません。 ■認定基準7:3歳から小学校に入学するまでの子を持つ労働者を対象とする 「育児休業の制度または勤務時間の短縮等の措置に準ずる措置」 を講じていること これは、育児・介護休業法第24条第1項に定められる以下の措置を指します。 ・育児休業に準ずる休業制度 ・短時間勤務制度 ・フレックスタイム制 ・始業・終業時刻の繰り上げ・繰り下げ ・所定外労働をさせない制度 ・託児施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与 上記の措置は、3歳から小学校就学までのすべての期間に適用されるもので なければなりません(部分的な期間に対する措匿では認定対象となりません)。 ■認定基準8:次の(1)~(3)のいずれかを実施していること (1)所定外労働の削減のための措置 (2)年次有給休暇の取得促進のための措置 (3)その他働き方の見直しに資する多様な労働条件整備のための措置 ■認定基準9:法および法規基づく命令その他関係法令に違反する重大な 事実がないこと (重大な事実の例) ・男女雇用機会均等法や育児・介護休業法に違反して勧告を受けたこと。 ・労働基準法に違反して送検され、当該事実が公になっていること。 ・障害者雇用促進法第46条(障害者雇用率が法定数未満である企業が 作成する計画書の作成・提出)に基づく勧告に従わず、公表されたこと。 等 以上が、次世代支援に関する行動計画の策定および認定、今回の法改正を 含んだ概要です。 これ以外にも、様々な規定・要件がございますので、より詳しくお知りに なられたい場合は、顧問先様につきましては当方事務所、一般の方でしたら、 都道府県労働局へお問い合わせ下さい。 ************************************************************** 配信責任元: 岡西労務管理センター(社会保険労務士事務所、行政書士事務所) 日本経営労務総合研究所(経営・労務コンサルティング、 人材育成・能力開発コンサルティング会社) ジェイオーマネジメント(給与計算・総務・経理・福利厚生管理 アウトソーシング会社) 発行責任者:岡西労務管理センター代表 岡西豊博 **************************************************************


