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2009/03/06

メールマガジン(岡西労務配信)人事労務管理の押さえどころ

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このメールマガジンは、最近の労務・労働問題に焦点を当て、その対応・予防を中心にお伝えしていきます。
ただ、同種の問題であっても、その背景や経緯等で対処は千差万別なため、あくまで一例/参考としてご覧頂ければ幸いです。
個別にご相談の場合は、以下までご連絡下さい(顧問先企業様は無料、顧問契約を締結されていない方は別途相談料が生じる場合があります)。
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第3回:「精神障害者の労務管理(前編)」

<最近の情勢>

 最近、精神疾患による労災申請件数は、年々100件単位で増加しています。
 これは、技術革新や経済のグローバル化等により、業務の内容や質が大きく変化したことに伴い、労働負荷が増えていることが原因と考えられます。

 また、労災申請の増加の背景には、平成8年の電通事件以来、自殺であっても労災として認められるようになったことがあると思われます。

 ▼ 精神疾患による労災申請に占める自殺の割合

平成6年:精神疾患による労災請求件数/13件
平成16年:精神疾患による労災請求件数/524件(H6年比40.3倍)
平成19年:精神疾患による労災請求件数/952件(H6年比73.2倍)

うち、自殺に伴う請求件数
平成6年:5件
平成16年:121件(H6年比24.2倍)
平成19年:164件(H6年比32.8倍)

自殺に伴う請求認定件数
平成6年:0件
平成16年:45件
平成19年:81件(H6年比 H17年を除き皆増)
 ※厚生労働省「脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況(平成19年度)について」より抜粋

 上記の精神疾患による労災申請の増加のうち、躁鬱病、とりわけうつ病が急増しているのが最近の特徴。
 うつ病は、過重労働(長時間労働)を原因として発症するケースが多く、この場合、企業側の責任を問われることになるため要注意。
 さらに発症後の対応不備が自殺等に繋がるケースもあるため、正しい知識をもって適切かつ慎重な対応を心掛けるべきです。
―― 裁判例では、管理職が部下の労働時間管理を怠ったとして、安全配慮義務違反とされたケースがあります。
 労働時間管理においては、長時間勤務の場合は、帰宅を促すのみならず、仕事量自体減らすべき、としています。

―― なお、割増賃金請求を争う場合と異なり、過労死・過労自殺等を争う場合は、厳密な労働時間管理は争点となりません。
 これは、業務遂行の有無に拘らず、職場にいただけで労働時間とみなされるためです。

<職場内の具体的対応>

 職場内に精神疾患に罹患した者もしくはその疑いがある者が従業員として在籍している場合、ケース毎にみた、対応上の注意点は以下のとおり。

1.精神疾患の疑いがある従業員がいる場合

▽ 当該者が、業務上災害により罹患したと主張する場合は、休職に入る前に労災保険給付の請求手続きを行うべきです。
 その際には、事業所が業務上か否かを判断するのではなく、監督署にその判断をゆだねることが必要です。

―― 休職期間満了後に労災申請を出し認定された場合は、療養期間およびその後30日は解雇ができなくなります。
 その結果、休職の期間+労災での療養期間+30日間は解雇することが出来なくなります。
 一方、休職前に認定を受ければ、労災による療養期間が休職期間と重複することにより、上記より短期間で解雇することが可能です。

▽ 本人が、精神疾患に罹患していることを認めない場合は、家族に連絡し、専門医による治療を受けさせるべきです。
 従業員が治療を受けずに勤務を続けて悪化した場合は、会社の安全配慮義務を問われることにもなります。
 裁判例でも、本人に対し「医者に行け」と注意するだけでは足りません。
 家族への通報や医療機関の受診を進言・アドバイスすること等が適切な行動としており、会社側として十分に対応している姿勢を示す必要があります。

―― なお、この場合、会社が従業員を強制的に病院に連れていくことは不可。会社は極力関与せず、あくまで家族に委ねる必要があります。

また、「精神病院に行け」等の注意は厳禁であり、本人を極力刺激しないようにする配慮が必要です。
 まず心療内科で受診させ、そこで対応できない場合は精神科に回るといったケースも少なくないが、そうした対応についても医師に判断を委ねるのが最良です。

▽ 精神疾患により職場内で問題行動が発生した場合、休職制度を持つのであれば、まず休職させるべきで、いきなり解雇するのはNG。
 そのような状態で解雇を通告した場合、問題が複雑化するほか、裁判では解雇権の濫用と取られるケースが殆どです。

▽ 精神疾患に罹患した従業員の配置換えを行なうケースでは、大半が新たな業務や環境の変化により症状を悪化させているといわれています。
 そのため、本人から特に希望がない限り配置換えしない方が良いです。

2.休職していた精神疾患者が職場復帰する場合

▽ 精神疾患により休職していた従業員が職場復帰を望む場合、次のプロセスを踏むことが大切です。

(1) 本人より診断書を提出させます。
 仮に、診断書に「職場復帰は可能」という表現があっても復帰させるべきではありません。
 職場復帰できるのと罹患前の業務に問題なく遂行できるのとでは意味が違います。あくまで、完全な状態になるまでは職場復帰はさせないことが肝要です。

(2) 診断書に完治または従前の業務に復帰できる旨の記載があった場合でも、当該診断書を発行した主治医に直接面談し、問題がない旨を確認する必要があります。
―― 最近は個人情報を楯に、本人の同意がない場合は面談しない医師が大半であるため、本人に同意を取ることが必要です。
 あくまで、立証責任は本人にあり、仮に面談を拒否した場合は、復帰を認めなければよいのです。
 職場復帰の可否を判断するのは医師や診断書ではなく、事業主にあります。

(3) 最近、「リハビリ復帰」や「時短勤務」等、試験的に職場復帰させるケースがあります。
 しかし、以下の理由から、完治していない状態でリハビリ復帰をさせるべきではありません(完治している場合は問題ありません)。
イ、完治しない状態で職場復帰させても、病状が好転するより悪化するケースの方が多いこと。
ロ、リハビリ復帰後に症状が悪化して生じた問題の責任は、使用者側にかかってくる場合があること。
ハ、職場の他の従業員に与える悪影響が少なくないこと。

▽ なお、職場復帰は可能であるが、労働提供量が従前より低下する場合、労働時間の減少であれば、労働時間に合った賃金減額が可能です。
 また、労働能力の低下が見られる場合は、職位を下げることが可能です。

 ただし、資格については就業規則等に降格規定がないと賃金減額となり、不利益変更となる点は注意が必要です。

次回は、「精神障害者の労務管理(中編)」を掲載します。

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配信責任元:
岡西労務管理センター(社会保険労務士事務所、行政書士事務所)
日本経営労務総合研究所(経営・労務コンサルティング、人材育成・能力開発コンサルティング会社)
ジェイオーマネジメント(給与計算・総務・経理・福利厚生管理アウトソーシング会社)
発行責任者:岡西労務管理センター代表 岡西豊博(社会保険労務士・行政書士)
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