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企業の人事・労務・総務担当者の方に対して、法改正情報や人事施策、さらに困った時の対処ポイント等を順次配信します。社会保険労務士・行政書士事務所『岡西労務管理センター』および経営労務コンサルティング会社『日本経営労務総合研究所』の共同配信です。

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2009/02/02

メールマガジン(岡西労務配信)人事労務管理の押さえどころ

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このメールマガジンは、最近の労務・労働問題に焦点を当て、その対応・予防を中心にお伝えしていきます。
ただ、同種の問題であっても、その背景や経緯等で対処は千差万別なため、あくまで一例/参考としてご覧頂ければ幸いです。
個別にご相談の場合は、以下までご連絡下さい(顧問先企業様は無料、顧問契約を締結されていない方は別途相談料が生じる場合があります)。
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第2回目:問題社員のトラブル対応の実務(後編)


○ 主な問題別対応の留意事項等をまとめると次のとおり(続き)。

(人事異動をめぐる問題)

   ・配置転換

 従来は企業側に自由裁量が認められていましたが、最近は子の養育、介護、健康上の都合について配慮を要する方向に判例も変化してきています。
 このほか、明らかなリストラ用ポストへの配置転換は不可である点にも注意が必要です。

   ・出向命令

 在籍出向の場合は、企業側が裁量権を有しています(必ずしも本人の同意は必要ではありません)※。
 これに対し、転籍出向の場合については、本人の同意が必要不可欠で、出向命令を拒否した場合であっても懲戒処分には問えないのが実状です。

※民法625条では、労働債権移管(出向)に関しては、本人の同意が必要とされています。
しかし就業規則等に記載され、周知することにより、これを包括同意したものと見なしています。

   ・降職、降格

 降職(役職を外す)については、企業側が裁量権を有しており、就業規則等への根拠規定の整備は不要です。
 降格については、根拠規定の整備が必要なほか、労働条件の不利益変更に該当する場合があるので、慎重な対応が必要です。
―― ヘッドハンティング等、一定の職位・職格を労働条件として採用している場合
は、降職、降格を行う際、労働者と同意の上、労働契約の締結替えや見直しを行なわなければなりません。
(企業側の都合で一方的に降職、降格を行うことはできません)

   ・退職勧奨

 退職勧奨の行為自体は行っても特に問題はありません。
 しかし、退職を拒否した者に対し再三退職勧奨を行うことは、退職強要としてむしろ解雇問題として取り扱われることになりかねません。
 そのため、慎重な対応が求められます。



 (職場秩序、服務規律と懲戒)

   ・頭髪、服装

 茶髪金髪や不適当な服装に対しては、相当性や合理性がなければ制限することはできず、懲戒処分も難しいです。
 企業側として可能な対応は、日々の指導で是正を求める程度です。

   ・無断遅刻・早退、無断欠勤

 無断遅刻・欠勤について、企業側としては解雇等の処分を行いたいところですが、数回程度で解雇までの懲戒処分を行うのは難しいです。  
 解雇等の重い懲戒処分を行うには、軽度な懲戒処分、注意等を適切に実施したものの、事態が改善しなかった等の実績が必要です。   
―― 判例では、解雇に至るまで約1年程度を要するとされています。
―― 診断書等を有する私傷病による遅刻・欠勤でも、長期間に再々にわたる場合は、労働能率が不良として解雇が可能となります。

   ・態度不良

 軽微な勤務態度不良については、その都度注意等を行うと共に、記録を残しておくべきです。
 長期間の実績を累積することにより、解雇が可能となります。

   ・セクハラ

 セクハラ対策だけでなく、最近はジェンダー(性差)ハラスメント対策も重要です。
ジェンダーハラスメントは放置すると、セクハラ発生の土壌にもなりかねないため、積極的に取り組むことが必要です。
―― 例えば、「お茶汲みは女性がするもの」「部長の接待には女性が隣に座ること」などは、セクハラには当たりません。
 しかし、これらはジェンダーハラスメントと言え、好ましいことではありません。

   ・情報漏洩と電子メールのチェック

 秘密・情報漏洩の場合、漏洩者が非難されるのはもちろんです。
 しかし企業側としても秘密等が漏れないように管理を徹底するなど、必要な予防策を講じておくべきです。
―― 秘密漏洩の証拠入手の為に個人の社内メールを閲覧したことについて、プライバシー侵害として会社が労働者から訴えられた事例もあります。

 こうしたトラブル回避という点から、必要やむを得ない時に会社側のメール閲覧等を可能にするよう、パソコン、メール規定等を整備することが重要です。

   ・不正行為

 金額の多寡にかかわらず、横領や領収書偽造による金銭搾取を理由とする懲戒解雇については、裁判所は企業側を支持するケースが多いです。
 なお、金銭以外の物品(例えば備品の不正搾取)になると、一般的に解雇は難しく、解雇が認められるのは、質入等により換金した場合が多いです。
―― 身元保証人の有効期間は5年間で、有効期間の自動更新はできません。
従って、身元保証人に対して損害賠償請求を行う際には、当該期間を超えたら身元保証人に責任を問えない事に注意が必要です。



(私生活上のトラブルへの対応)

   ・刑事事件

 刑事事件を起こした者が発生当時に酒気帯びであったか否かで対応が分かれます。
 酒気帯びの場合は、裁判所も寛大な判断を下す傾向にあり、企業でも、素面の状態で起こした事件と比べ、ある程度、処分を軽くすることもあり得ます。
 ただ、会社の社会的評価に重大な悪影響を及ぼすような行為については、当然、厳格な処分・対応を行うことになります。

   ・人身事故

 私用でマイカーを使用中に事故を起こしたというだけでは、当該労働者の懲戒処分は難しいです。
(ただし、事故原因や本人の過失の程度如何では懲戒処分もありえます)
 また、そのマイカーを仕事や通勤にも使用する場合は、事故発生当時、私用で使用中であっても、外形上、企業側が使用者責任に問われる場合があります。
 この場合は、企業側も責任を負うため、労働者は懲戒処分の対象になります。
―― マイカー通勤を認めていないにもかかわらず労働者がそれを無視して日常の通勤に利用している場合、企業側は黙認していたと見なされます。
 そして、その通勤途上で起こした交通事故について、企業側は使用者責任を問われることがあり、同時に労働者は懲戒対象になります。

   ・多重債務・自己破産

 多重債務者であること、自己破産したことを理由とする懲戒処分はできません。
―― 仮に、借金取り立てての電話が殺到して業務に支障をきたしたとしても、これは貸金業法違反であり、当該労働者には責任はありません。
―― 自己破産の場合、これが就労に関する欠格事由※に該当する時は、それを理由とした解雇は可能です。  

 ただし、他部署等への異動によって雇用が維持できる場合もあるため、どのような労働契約を締結しているかによって具体的な対応が分かれます。

※ 自己破産者の就労が禁止されているのは、例えば
   弁護士(弁護士法6条)
   社会保険労務士(社労士法5条)、
   税理士(税理士法4条)
 等、約120の資格や職業、地位等があります。

   ・夜間アルバイト

 夜間アルバイト(副業)を行っていたことに対し懲戒処分を行うには、就業規則等における禁止規定が必要です。
 なお、実際に処分を行うに当たっては、次の(1)〜(3)のように、その就業が自社に対して重大な損害を及ぼす、ないしその惧れがあることが必要とされます。
(以下判例があります)

(1)企業の信用失墜や秩序を乱すなど、企業運営に悪影響を及ぼす
(2)(十分な休養を取らないことにより)本来の業務遂行に支障が生じる
(3)経営上の秘密が漏洩する危険性が高い

<判例>

・小川建設事件(57.11.29、東京地裁)‥‥上記(1)および(2)に該当
―― 勤務時間外に24時まで6時間、キャバレーの会計係として二重就労していたことにより、
 兼業禁止に関する就業規則違反
 残業命令の忌避等企業秩序への影響
 業務時間中の居眠りによる誠実な労働提供に支障が出る
ということで、本件解雇は有効とされた例。

・橋元運輸事件(47.4.28、名古屋地裁)‥‥(3)に該当
―― 従業員が実弟の設立した競争会社の取締役に就任。
それにより、経営上の秘密が当該競争会社に漏れる可能性があることから、就業規則に準じ懲戒解雇を有効とした例。

この他、次のように就労の背信性を以って懲戒解雇が有効とされた事例もあります。

・昭和室内事件(47.10.20、福岡地裁)

―― 長時間労働の軽減措置から組合の了承の下に残業を廃止し、所得低下部分を補填する特別加算金が支給されていた。
しかし、当該期間中に同業の他社にて就労しており、会社側からの再三にわたる警告を無視して二重就労を続けたことによる懲戒解雇を有効とした例。

 以上、次回は「精神障害者の労務管理(前編)」をお届けします。

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配信責任元:
岡西労務管理センター(社会保険労務士事務所、行政書士事務所)
日本経営労務総合研究所(経営・労務コンサルティング、人材育成・能力開発コンサルティング会社)
ジェイオーマネジメント(給与計算・総務・経理・福利厚生管理アウトソーシング会社)
発行責任者:岡西労務管理センター代表 岡西豊博(社会保険労務士・行政書士)
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