皆さんこんにちは。
このメールマガジンでは、会社の従業員に関するトラブルや悩みを解決する参考情報を順次配信していきたいと思います。
第1回目は、問題社員のトラブル対応としまして、前後編に分けてケース毎の対応方法についてお伝えしたいと思います。
ただ、ここにあります例は一例であり、ケース毎に対応方法は変わってきますので、これがすべて!と言うわけではありません。
困った問題を抱えている場合は、身近な社会保険労務士にまでご相談下さい。
<最近の傾向>
○ 最近、労働問題に対するトラブルが増加しています。その背景には、個人の権利意識の高まりのほか、成果主義制度の導入等があると思われます。
―― 成果主義に伴うトラブルの要因としては、
・評価の方法等を巡るもの
・成果重視のあまり、過度に残業(サービス残業も含む)等が増加したこと
・自分自身の成果を追求する一方、部下後輩に対し指導が不足であること
・成果を求め、行き過ぎた指導や指示を行うこと(パワハラ)
などが考えられます。
なお、従来のトラブルと比べると、組合による集団紛争から個人による個別紛争へとシフトしてきつつあるのが特徴的な変化点。
―― 労働組合の組織率低下、個人の価値観の多様化による、組合内部での組織的意見統一が難しくなりつつあるのが一因と思われます。
○ このほか、うつ病等の精神疾患が急増しているのも最近の特徴です。
特にうつ病は、過重労働を原因として発症するケースが多く、この場合、企業側の責任を問われることになるので注意が必要です。
さらに発症後の対応不備が自殺等に繋がるケースもあり得るため、正しい知識をもって適切かつ慎重な対応を心掛けること大切です。
<トラブル対応と懲戒処分>
○ 懲戒処分については、誤った対応を取ったり、適切な手段方法を取らなかった為に、トラブルに至るケースが多く見受けられます。
こうしたトラブルを防ぐためには、当該処分について相当性・合理性・必要性をきちんと説明出来るか否かに基づいて判断していくことが大切だと言えます。
―― 例えば懲戒解雇であっても、就業規則等に解雇事由が記載されていない場合は、その解雇に関して後日裁判等で争った際に、企業側が敗訴することが多いです。
―― 就業規則の解雇事由や懲戒規定について、学説や判例では「限定列挙」説が大勢であることにも注意が必要です。
○ そのためには、就業規則における懲戒規定の整備が必要です。要点は以下の2つです。
・懲戒規定を周知徹底する。
・懲戒規定は遡及して適用できないため、想定し得るあらゆる場面について網羅したものとする(判例や公務員の懲戒処分の指針を参考にするのも一例)。
―― 公務員の懲戒処分の指針は、事例に対する処分内容が明確であり、上記の相当性や合理性を網羅しており理想的です。
○ 有期雇用者数の増加に比例して、今後ますます有期雇用者の雇い止めにかかる労使間のトラブルが増加すると思われます。
このようなトラブルを未然に防止するためにも、雇用契約締結時における基準※に沿って、明示事項を記載した書面の交付を徹底すべきと考えられます。
※「有期雇用の締結、更新および雇止めに関する基準」15.10.22厚生労働省告示357
○ 一般的に企業では、問題発生部署内部でトラブルを解決しようとする傾向がありますが、外部や当事者から見れば消極的対応・もみ消しととられかねません。
こうした対応の結果、話が余計にこじれるケースも多く、上位職位者の管理責任問題に発展するおそれもあります。
このような場合、現場部署で解決を急ぐのではなく、総務・法務部署もしくは専門家である私達社労士や弁護士と協力して迅速に対応することが重要です。
○ 主な問題別対応の留意事項等をまとめると次のとおりです。
(募集・採用、採用内定、試用期間をめぐる問題)
・経歴詐称
懲戒処分(解雇)が可能となるのは、その経歴が虚偽であれば採用の可否の判断が変わるような場合のみ(判例でも明確に示されています)。
・内定取消
就職内定の時点で、雇用関係は成立していると解されます(判例等でも同様の判断)。従って、内定取消しを行う場合は、次の事項に注意が必要です。
―― 企業側の都合により内定取消しを行う場合は、整理解雇の4要件※をすべて満たす必要があります。
※ 1.当該解雇の必要性、2.解雇回避努力の実行、3.解雇者選定の合理性、4.解雇手続の妥当性をいいます。
―― 本人に責任があるとして内定取消が認められるのは、
1)健康が著しく不良である場合
2)学校を卒業できなかった場合
3)入社前に犯罪を犯した場合
および
4)採用にあたり重大な虚偽の申告・記載が発覚した場合
等に限定されます。
・試用期間中
企業側が裁量権・解約権を有していると認められます。
しかし、試用期間中の解雇(労働契約の解除)であっても、相当性や合理性、必要性があることが条件であり、こうした条件を満たさない場合、解雇は難しいです。
次回は、後編として人事異動・私生活・職場規律を中心に事例を掲載します。