2009/05/30
新規事業の提案制度
新規事業開発のアプローチ方法には大きく分けて2つの方法があります。一つは事業戦略の一環としてトップダウン型で行うもの。 もうひとつは社員から事業アイデア企画を募るボトムアップ型の提案制度がそれです。どちらが優れているかという議論はさておき、 それぞれの企業の状況に応じて使い分けるのが賢明でししょう。本来の望ましい姿としては両社が合流して、トップダウンの事業戦 略の路線に沿った新規事業提案を募り、有望テーマを育てていくという形ですが、なかなかそのようにはならないのが現実です。ト ップダウン型の方は事業戦略のオーソドックスなアプローチで、従来からいろいろ論じられてきているので、ここではボトムアップ 型のアプローチについて述べましょう。 このアプローチは一般には比較的余裕のある会社で、普段から提案を奨励し業務改善などが活発になされ、これまでに成果を出し てきた会社に適する方法です。こうした新規事業の提案制度は意外に多くの企業で行われているようで、ちょっと調べるだけでもい ろいろ事例が出てきます。株式会社ファンケルの「社内起業チャレンジ制度」、凸版印刷株式会社の社内ベンチャー制度、株式会社 ディー・エヌ・エー新規事業の提案内容を競う「DIG-DeNA INNOVATION GROUP」、リクルートの新規事業 提案制度「New-RING」、株式会社ネクストの新規事業提案制度「switch(スイッチ)」、住友林業株式会社の新規事 業提案制度「未来のちからプロジェクト」、積水化学工業株式会社の社内起業家養成塾「志塾」、ソフトバンク株式会社の新規事業 プロジェクトなどに参加できる「ジョブポスティング制度」・・・・・・ これらの制度の狙いは各社まちまちですが、一般には事業ネタを社内公募してテーマ探索を行うこともあれば、たとえば新規事業 に自ら志願してくる人材探しを各組織部門の抵抗を飛び越えて発掘し、抜擢しようとする点にもあるようです。あるいは周年記念事 業の一環として何らかのインセンティブを与えながら社内のボトムアップの機運を高め、企業体質の転換を図ろうとするケースでも 有効に機能したという事例もあります。 しかしこの提案制度は、うまくいかないケースも多くあるようで、それをどうするかというコンサルティングを実施したこともあ ります。うまくいかないケースは共通点があります。提案箱を置いただけ広報活動もあまりせず、提案が上がってきてもそのフォロ ーをしない、評価制度やインセンティブがないため提案があまり上がってこない、提案そのものをブラッシュアップしていくことが なされない、個人の提案だけでグループや部門の提案をみとめていない、提案期間の定めがなく毎年同じような回覧が回ってくるだ けのマンネリズム・・・・・要するに、会社の取り組み方針や事務局の運営がしっかりしていないため制度がスタートした時の勢い が薄れていってしまうということです。言い換えるとマネジメントの問題で当たり前のことがなされていないために、盛り上がりに 欠け、あるいはスタート時点の気運が消えてしまうということです。 提案制度のマネジメント内容については項目が多岐にわたり相当の紙面を要するのでここでは触れませんが、全社的な運動として 展開し、きちっとした評価制度のもとで、広報活動や提案に対するフィードバックをこまめに行い、要所要所で結果報告を行い、短 なる一過性のイベントとしてではなく、やる気のある人材をプロジェクトに登用し会社としても積極的にバックアップしていくとい う姿勢を貫き通すことでしょう。 いずれにせよ、制度を確立し運営マネジメントをしっかりすれば、会社の体質もおのずと変わってくるわけです。社風としてボト ムアップ提案が自然に出てくる会社にあってはもともと制度などしていないと言っているくらいです。


