2009/12/21
もっと知りたい! イタリアの言葉と文化 第31号
=========================================================== もっと知りたい! イタリアの言葉と文化 第31号 「ブルスケッタ、小旅行 その1(Tivoli)」 2009年12月21日 =========================================================== ---今号の目次---------------------------------------------- 1.ペルージャの11月~新しいオリーブ・オイルとブルスケッタ 2.小旅行の贈り物 その1(Tivoli) ----------------------------------------------------------- はじめに 最近ペルージャではひどく寒い日が続いていたのですが、19日の朝目を覚ま して窓を開けると、辺り一面すっかり雪に覆われていました。北部では積雪の ため、便をキャンセルする空港も幾つかあるようです。今回の原稿については、 サイト上に写真をふんだんに添えてあります。一部の写真へのリンクはメルマ ガにも貼ってありますので、興味のある方はご覧ください。 また、一々クリックするのではなく、最初から写真の豊富な記事を読まれた いという方は、こちらをご覧ください。 第31号へのリンク http://www.geocities.jp/naoko_ishii/vol31.21_12_2009.html 1.ペルージャの11月~新しいオリーブ・オイルとブルスケッタ 我が家のオリーブ園(oliveto)は二つあって、私たちが住む家の周囲にある オリーブの木々の他に、ペルージャ郊外のMigiana di Monte Tezioにも数十本 のオリーブの木があります。次の写真はこのMigianaのオリーブ園を撮影した ものです。11月半ばには、ペルージャでもこうした美しい紅葉を見ることがで きました。 (写真、http://www.geocities.jp/naoko_ishii/31_1_autunno_1.jpg) 我が家では、義父母が中心になって11月に収穫するオリーブの実を毎年近 所の搾油場(frantoio)に持ち込んでいます。我が家で収穫するオリーブは少 量であるため(といっても毎年優に100kgを超えるのですが)、搾油は自家生 産のオリーブを持ち込む他の人のオリーブと共に行われます。搾油場の使用料 は、そうして取れたオリーブ・オイルまたは金銭で支払うのですが、今年はオ リーブの収穫量が少なかったため、使用量を金銭で支払ったとのことです。 もともとウンブリア州のオリーブ・オイルは、ラッツィオ州などのさらっと したものに比べて、とろりとしている上に重厚な味わいがあるのが特徴です。 さらに、新しい搾りたてのオリーブ・オイルには、ピリッとした独特の辛味が あって、毎年うちの夫とその家族は、搾りたてのオリーブ・オイルでブルスケッ タ(bruschetta)を食べるのを大変楽しみにしています。 ウンブリアやトスカーナのパンには基本的に塩分がありません。こういうパ ンはパン屋ではpane toscano(トスカーナのパン)という名前で売られている ことが多いのですが、ブルスケッタを作る作業はまずこのpane toscanoをナイ フで何片か1cmほどの厚さに切るところから始まります。熱々のものがおいし いので、たいていは人数分だけ(たとえば我が家であれば二切れ)をオーブン (forno)に入れてトーストし、両面がこんがりとキツネ色になって、カリカ リに(crocccante)焼き上がったところでオーブンから取り出します。パンを トーストしている間に、ニンニク(aglio)を一かけ用意し、半分に切って皮 をむきます。パンをオーブンから出してすぐに、このニンニクをパンの上にす りつけて皿の上に置き、まずは塩を適量ふりかけ、そのあとでオリーブ・オイ ルをお好みの量だけパンの上に回しかけます。こうすると、熱々のカリッとし たパンにニンニクがほどよい風味をつけ、オリーブ・オイルのまろやかなおい しさを十分に味わって食べることができます。新鮮なオリーブ・オイルを味わ う最もよい方法として、うちの夫は最近よくブルスケッタを食べたがります。 レストランでは、このブルスケッタの上に、さいの目切りしたトマトなどを 盛ったものを、前菜としてメニューに載せていたりします。我が家では最初に ご説明した簡素なブルスケッタを食べることが多いのですが、カリフラワー (cavolfiore)をゆでて細かく刻み、塩・こしょうとオリーブ・オイルで味つ けしたものを、載せて食べることもあります。つい最近、ブルスケッタの上に 、すりおろしたパルメザンチーズ(formaggio parmigiano-reggiano)と細か く刻んだルーコラ(rucola)を散らして食べたのですが、これもなかなかおい しかったです。 (写真、http://www.geocities.jp/naoko_ishii/31_3_autunno_3.jpg) 2.小旅行の贈り物(Tivoli, Subiaco) 今年の私の誕生日には、夫がローマ郊外にあるTivoliの町への小旅行を贈っ て祝ってくれました。誕生日が12月4日で、今年は5・6日が土日にあたっ ており、しかもイタリアでは12月8日が祝日です。ウンブリア州庁で働く夫 の職場では、州庁が7日の月曜日に閉鎖されたため、職員全員が1日有給休暇 を取ることとなり、12月5日から8日までが連休となったからでもあります。 12月4日金曜日の夕方に、土砂降りのペルージャを後にして、夫の車で Tivoliへと向かいました。自然や庭園の大好きな夫と二人で、以前から一度ティ ーヴォリのVilla d’Esteを訪ねてみたいと考えていました。 (1) Villa d’Este 翌日5日の朝から訪れたVilla d’Esteは想像していた以上に美しい場所で した。緑に囲まれた広い庭園のあちこちに美しい噴水があるのですが、中でも オルガンの噴水(la Fontana dell’Organo)とネプトゥヌスの噴水(la Fontana di Nettuno)の見事さには息を飲みました。 (写真、http://www.geocities.jp/naoko_ishii/31_4_fontana_organo.jpg) 写真後方にあるのがBerniniが1661年に完成させたオルガンの噴水です。壮 麗な彫刻に囲まれたこの噴水の壁面の中央、アーチの下の扉の中にはオルガン があり、2時間置きにこのオルガンを隠した扉が開いて、オルガンの演奏を4 曲楽しむことができます。オルガンの噴水のすぐ周囲には、さまざまな趣向を 凝らした噴水がたくさん配置されているのですが、中でも直前(先の写真の前 方)にあるネプトゥヌスの噴水は規模も大きく、巧妙に配置された大小の噴水 が空高く水を吹き上げる上に、その水があちこちから滝水のように美しく流れ 落ちるように工夫されていて、圧巻でした。オルガンの噴水前のテラスでは、 下方のネプトゥヌスの噴水から吹き上げる巨大な噴水の間から、広い庭園を見 晴らすことができます。私たちが訪れたときは絶好の好天気だったので、吹き 上がる噴水の中ほどに虹がかかっているのを見ることができました。 百の噴水(Le Cento Fontane)は、広大な屋敷と並行に走る小道に沿って無 数の小さな噴水をあしらったものです。 (写真、http://www.geocities.jp/naoko_ishii/31_6_centofontane_ovato.jpg) この長い小道は両端を美しい巨大な噴水に囲まれています。写真では、小道の 後方に楕円の噴水(la Fontana dell’Ovato)の一部を、ごく小さくですが垣 間見ることができます。この小さな噴水も、孔雀の羽をかたどったものや細い 水が吹き上げてアーチを作るもの、動物の口から水が流れ落ちるものなどがあ り、さまざまな趣向が凝らされています。 広大な庭園内の噴水や見晴らしもすばらしいのですが、屋敷の中も壁・天井 のすべてが多様な壁画で覆われていて興味深かったです。風景や聖人、神話上 の人物などを題材にした美しい壁画が多いのですが、中には、時に「狩りの部 屋」(la Stanza della Caccia)のように動物愛好家には残忍に思われる壁画 で覆われた部屋もありました。 このVilla d’Esteの公式サイト (http://www.villadestetivoli.info/storia.htm)には、「ヴィッラ・デス テは、イタリア式庭園の傑作で、ユネスコ世界遺産の目録にその名を連ね……」 と、その概要が説明されています。16世紀に枢機卿Ippolito II d’Esteが構 想し、改築にあたったこの見事な邸宅と庭園を訪れてみたいとお考えの方は、 公式サイトの以下のページに訪問に必要な情報(料金、休館日、開館時間など) がイタリア語・英語で書かれていますので参考にしてください。 Villa d'Este - Info & Servizi http://www.villadestetivoli.info/servizi.htm (2) ティーヴォリの町 Villa d’Esteを訪れた帰り道は、Tivoliの中心街の散歩を楽しみました。 Tivoliはローマよりも古くに築かれた歴史のある町で、様々な時代に建てられ た教会や住宅、古代の遺跡を見ることができます。独特の風景が印象に残った のはPiazza Campitelliです。この広場には4世紀に建築され、後に何度も改 築された教会Chiesa di San Pietro della Carita’があります。外観は中世 の教会に見えるこの教会のわきにある小道を歩いて行くと、Via Campitelliと いう通りに行き当たります。この通りは、Tivoliの最も典型的な通りで、中世 後期建築の住居が随所に見られます。中でも、最も美しいとされているのは casa gotica(ゴシック様式の家)と呼ばれている住居で、アーチの上にテラ スがあり、外部からテラスに上れる階段があるのが特徴だとのことです。 (写真、http://www.geocities.jp/naoko_ishii/31_8_via_campitelli.jpg) Tivoliには、他にも自然に囲まれ壮大な滝の美しいVilla Gregorianaがあり ます。残念ながら、冬は予約をしてガイドに伴われてでなければ観光できない ということだったのですが、その入り口にある紀元前の神殿の遺跡(Tempio di Vesta e Sibilla)は訪れることができました。 (3) Villa Adriana 2日目はTivoliの町の郊外にあるVilla Adriana(ハドリアヌス帝の別荘)を 訪れました。この別荘も、ユネスコ世界遺産に指定されています。ローマ帝国 の皇帝、ハドリアヌス帝(l’imperatore Adriano)が紀元2世紀に築き上げ た別荘(villa)は、120ヘクタールにわたる広大な敷地のあちこちに、神殿や 劇場、生活や休養に必要な大がかりな建築物があるという壮大なものです。 私が特に美しいと思ったのは島の別荘(Villa dell’Isola)とカノプス (Canopo)です。この二つは、鏡のように周囲の景色を映し出す水の周囲をギ リシャ風の円柱が取り囲んでいる点が共通しています。島の別荘では、円形の 島の周囲に水をたたえた堀が円形に張り巡らされ、その周りをさらにやはり円 形の外壁が取り囲んでいます。ハドリアヌス帝が一人になってゆっくり心を落 ち着けたいときのための場所ということなのですが、見ているだけで平安な気 持ちになれるような、それは美しい場所です。 (写真、http://www.geocities.jp/naoko_ishii/31_10_villa_isola.jpg) 巨大な建築物があちこちにあり、当時は美しいモザイク模様で飾られていた であろう床のそのモザイクの一部がところどころにまだ残っています。かつて の皇帝の権力の強大さを思わせる建築物の多くは、今は廃墟と化しているので すが、中には保存状態のよいものもあり、歴史や遺跡の好きな方にはうってつ けの場所だと思います。数多い遺跡の中でも私の興味を引いたのは、大小の様 々な浴場(terme)です。遺跡の前には、当時の浴場の構造や湯を温めるため の技術なども詳しく説明されていました。 (3) ティーヴォリの宿と食 私たちが泊まったのはil Piccolo BoscoというTivoliの町外れにあるB&Bで す。3連泊するからというので、一番大きい部屋に泊まることができました。 宿の世話一切をしてくれたPaolaはとても気さくで親切な女性で、朝はイタリ ア式の甘い朝食ではありますが、ヨーグルト、シリアル、焼き立てのトースト や温めたクロワッサンを、客の好みの飲み物と共にパオラが次々と食卓に運ん でくれ、ふんだんな朝食を楽しむことができました。到着した金曜の晩に、パ オラが、おいしいレストランやピザ屋を教えてくれた上、無料の観光地図をく れたので、食事をするにも観光をするにもとても助かりました。宿の中には Tivoliの町やその近郊の観光名所を案内する様々な本やパンフレット(英語、 あるいはイタリア語)が置かれ、あちこちにクリスマス用の飾りつけが施され ていました。到着した日は宿のすぐ近くにあるLaghi dei Realiというレスト ランで、夫が誕生日を祝う夕食をごちそうしてくれました。レストラン前の大 きな池ではマス(trota)が養殖されていて、私たちは新鮮なマスを料理して ルーコラとミニトマトを添えた前菜 (写真、http://www.geocities.jp/naoko_ishii/31_15_laghi_dei_reali.jpg) をおいしくいただきました。パオラからは特にマス料理と手作りのデザート (dolce男性名詞、複数形は dolci)がおいしいと聞いていたので、その後リ ゾットとデザートも頼んだのですが、どれもこれも美味で、すてきな祝宴にな りました。 このB&B、il Piccolo Boscoのホームページはこちらで、英語での説明もあ ります。http://www.ilpiccolobosco.it/bb.html I PREZZI(「値段」、単数形はprezzo)というリンク先には宿泊料金が、 DOVE SIAMO(「私たちがどこにいるか」)というリンク先には様々な交通機関 で宿までたどり着くにはどうすればいいかが書かれています。ちなみに宿の名 前は「小さい森」という意味で、これは郊外にあって自然に囲まれているから です。Tivoliの町から車で十分ほど離れたところなので、車で旅行される方に お勧めします。Tivoliはローマから地下鉄やバスを利用して1時間ほどの場所 にあります。夏は日が長いので、ローマから1日の日帰りで旅行を楽しむこと も可能です。 Tivoliを発ったあと、Subiacoという町へ行って、美しい大きな修道院を二 つ訪れました。この修道院もパオラが紹介してくれたのですが、今回は長くな りましたので、この続きはまた次回お知らせするつもりでいます。 ティーヴォリはとても興味深い町で、特にVilla d’Esteの美しさには圧倒 され、思い出深いすばらしい休暇を過ごすことができ、夫には心から感謝して います。実は、この町や別荘を訪れることに決めたのは、日本から持参した 『地球の歩き方 イタリア』のおかげです。私が持っているのは2002‐2003年 版と版が古いのですが、イタリアに住んでいても、どこかに行こうというとき 、まずは行ってみたいところを選ぶのに、写真や説明がふんだんにあり、けれ ども簡潔に書かれてあって大変便利です。行きたい場所の目星がついたら、ガ イドブックだけでなく、インターネットでその場所に関連する情報も調べるの ですが、ツアーでイタリアを旅行するという方にも、イタリア留学をしてみた いという方にも、旅行・留学先の情報だけでなく、イタリアというのがどんな 国かがページをめくっているうちに見えてくるいい本だと思いますので、おす すめします。観光地の名所の案内のほかに、歴史や風土、各地独特の料理や美 術・文化に関する情報も豊富ですから、たとえツアーで旅行に行くとしても、 一冊買って出発前に少し読んでおくだけでも、旅をより一層楽しむことができ ると思うからです。巻末には旅行中に知っておくと便利なイタリア語の表現や 単語もまとめてあるので、旅行中も重宝すると思います。 『地球の歩き方 イタリア 2010-2011』(ダイヤモンド社) http://www.amazon.co.jp/dp/4478057826/ref=nosim/?tag=uchiko2001-22 おわりに ベルルスコーニ首相が傷害を負った際には、与野党や共和国大統領など、す べての人が心配し、早期の回復を願い、犯人の暴力行為を憤っていました。最 近の議会での与野党の衝突の在り方を見直そうという動きもあるのですが、こ のまま山積する問題が二次的なものとならないことを心配する声も聞かれます。 21日の夜は番組Che tempo che faのゲストとしてAndrea Bocelliが招かれ、 世界中でヒットを続ける新しいアルバム、『My Christmas』(第29号の後半 を参照、http://www.geocities.jp/naoko_ishii/vol29.29_11_2009.html)か ら何曲かを披露しました。世界中の人々が彼の歌を聞きたいと望む中、インタ ビューに答えて、「自宅では家族から『歌ってほしい』ではなく『歌わないで ほしい』と頼まれるんだ。でも家族は基本的に優しいので、直接そう言うので はなくて、たとえば息子も『外でたくさん歌って大変なんだから、家の中でく らい少し休んだら』という言い方をするんだ。」と語っていたのが、微笑まし かったです。 では、また。創刊号の発行が昨年の12月29日だったので、このメルマガ ももうすぐ創刊1周年を迎えます。ご愛読、ありがとうございます。 「継続は力なり」 メルマガを書くためにと、頭・心・耳にアンテナを立てているので、以前よ りは注意深く、いろいろなニュースや情報に耳を傾けるようになりました。分 かったつもりでいた歌や文章も、記事に書こうとすると、実はあいまいにしか 理解していなかったことが分かったりするので、私自身も勉強しながら執筆し ています。 「念ずれば花開く」という坂村真民さんの詩もありますが、新しい年を迎え る前に、自分が咲かせたい花は本当はどんな花なのか、もじっくり考えてみた い今日この頃です。 このメルマガの著作権は石井に帰属します。引用・転載を希望される方はご 連絡ください。 バックナンバーはこちらのホームページからご覧になれます。 http://www.kitsunenomado.com (HPでは、アポストロフィで代用せずに、イタリア語のアクセント記号つき の母音をそのまま使って表記しています。) ----------------------------------------------------------- メールマガジン 「もっと知りたい! イタリアの言葉と文化」 発行者 石井直子 登録・解除 http://www.mag2.com/m/0000280229.html
-
-
登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。


