大道芸人と愉快な仲間たち冒険記  RSSを登録する

3年の月日が流れる間に僕は世界を半分周り、そして僕は大道芸人となっていた。独特の世界観で人の世を渡り歩きその優しさに触れています。2008年夏の物語、舞台はヨーロッパ。『人生大学』-旅を大学ととらえた青年の人生物語である。

  • 発行周期 週刊
  • 最新号 2009/09/29
  • 部数 15部
  • メルマガID 0000279995
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2009/06/08

ヨーロッパの旅No.11

僕は路地裏に呼ばれた。
そこで、誰かが白い粉を出した。それを小さく何本ものラインを作り、お札を丸
めてストローのようにしてその粉をみんな鼻から吸い始めた。
「Yojiもやってみるかい?」と聞かれた。
素直に喜んでもらった。

これはコカインだ。
トニーがよく家で吸っていたので見慣れていた。もらったのは今回が初めてだっ
た。

見よう見真似で吸ってみた。するとすぐに効果が出てきた。
体中から気が満ちてくる。疲れや空腹を気にしなくなり、やる事全てに対してパ
ワーがある。元気が溢れてくるのだ。

みんなが吸い終わると、僕らはビーチへ行き、みんなで丸くなって座り会話を始
めた。

せっかくコカインを摂ってこの後どうするのだろうとワクワクしていた分、僕は
少し気落ちした。
けれど、みんなが大声で楽しそうに話している姿を見ていると、南米の文化にと
ても興味が出てきた。
いつも家でトニはー、オスカーと朝まで何時間でもお喋りして楽しんでいる。
ほぼ毎夜だ。
なぜ何時間でも同じ人とだけであんなに楽しそうにずっと話せるのだろう?とい
つも思っている。
ずっとずっと大きな声で楽しそうに、そしてお互い真剣だ。

きっと人生に対して僕らとは全く違う価値観で生きているのだろう。
いつか南米へ行って、そこに住んでいる人と触れ合いたい。彼らの人生を見てみ
たい。
僕のいつか行きたい場所が一つ増えた。

僕はみんなとの会話を楽しんだ。
ドラッグの力でハイであり、自然と会話に力が出て、言葉が通じないという壁は
すでに乗り越えていた。
みんなとめちゃくちゃ仲良くなった。
とりあえず何かを話してる。そしてリズミカルにテンポ良く英語が出てくる。
頭が冴えている。感覚も敏感だ。

よくよく思えば、僕の英語は最近上達してきていた。

僕は4年前、マイアミに一年間語学留学していた事がある。今思えばその時から
僕の旅は実質始まっていた。その時英語を0から本気で勉強し、少しは喋れるよ
うになった。
その後帰国し、本格的に旅を始めるため、まずアジアへ行った。
バックパッカーと呼ばれる旅人はたくさんいて、特に日本人は多かった。
その中で自然と日本人と一緒にいる機会が増え、深い話をする相手はやっぱし日
本人だった。海外といえども僕は英語より日本語を多く使う環境にいた。
旅は、簡単な英語の繰り返しだけでも十分出来た。
僕の英語レベルは落ちてきていた。

そんな中、英語に対して絶対的な影響を与えてくれたのは、アフリカを共にした
雄生だった。
6歳からカナダと住んでいるとあって、彼の英語は発音も含めて完璧だった。
アフリカでは彼が色々な人と話しているのを常に聞いていた。
彼は日本語もほぼ完璧に話せるのといのも、僕に強い影響を与えた。

そしてこの時期に受けたたくさんの刺激は、僕を常に前向きにさせるものだった
。

ヨーロッパに帰ってきてからは、雄生と別れた。
英語が未熟なため、人とうまく接せれないことが多かったが、それでも僕は常に
人と会話しようと挑み続けた。
下手でも本気で話せば、相手もちゃんと聞いてくれた。
そうして人との話し方や接し方、そしてそういう新たな旅も知った。

今、英語が上達したと実感したのは、この上なく嬉しいことだった。



ビーチではその後、みんなが僕の持っていたジャグリング道具を見て、何かやっ
てくれとリクエストしてきた。夜なので、見栄えの良いクラブをやってみた。
周りの人達がどんどんと集まってきて、みんなで遊んだ。

人を怖く感じなくなっていた。さっきまでストリートで失敗したことから落ち込
み、ジャグリングをやって、目立つのを怖いと感じていた。
これも秘薬の力だろうか。


僕は、このヨーロッパの旅で、何でも与えてくれるものは、断らず全てを受け入
れてきた。
そうやって、一つづつ自分の糧にして進んできた。人はチャンスを与えてくれる
。何でも与えてくれるものは挑戦してみる。
こういう考えも、ガーナで出会った人達の教えてくれた人生観によるところが大
きい。

ガーナで出会ったジョシュアという20歳の男の子がいた。
彼は孤児であり、お金も無く、そういう子は生きる為に必然とマフィアになって
しまうようだ。
彼は半年前からホテルの雑用の仕事を得て、今はそこで住み込みで働いていた。
マフィアの世界からは逃げ出してきたと言っていた。とても辛そうに過去を話し
ていたのが印象的だった。
ホテルの彼の部屋は、何も無く、というか部屋ではなく、外の自転車の駐輪場み
たいなスペースにボロボロのソファーが置いてあって、そこが彼のスペースだっ
た。荷物は何も無い。トタン屋根があって、すだれが一枚だけ垂れ下がっていた
。

住み込みで、食事が出る代わりに、半年間彼は給料をもらってなく、そして今月
からようやく給料がもらえるようで、その時もらった金額は僅か4ドルだった。

それでも彼の笑顔はとても素敵で、そして彼にはミュージシャンになるという夢
があり、常に魂が輝いていた。
そういうわけで僕と雄生とまさえはすぐにジョシュアと仲良くなった。

彼の言っていた言葉が、その後の僕の価値観を大きく変えてくれた。
『何も持っていないからこそ、もらえるものは何でも大切にするし、与えてくれ
るものを一つ一つ貪欲に吸収していって、前に進んでいくんだ。そしてチャンス
を掴むんだ』

最初はピンとこなかったけれど、ガーナからヨーロッパへ戻り、新たな旅を始め
だし少しづつ意味が分かってきた。


ビーチにはたくさんの笑顔で溢れ、僕はすごく良い気を今夜もらった。
とてもポジティブで、前向きになれた。
人はパワーを与えてくれる。それは僕の勇気となる。
明日からも頑張ろうと★


続く
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