2009/04/07
ヨーロッパの旅No.9(バルセロナ編)
2008年6月23日 バルセロナのメイン通り、ラ・ランブラ。 今日も大勢の人でごった返している。季節はまさに夏である。たくさんの人々がもたらすパワーは、肌で感じるほどすごいエネルギーだ。それはまさに「気」である。 僕はお昼頃、海岸から内陸へ1kmほど続くランブラ通りの真ん中辺りでジャグリングをすることにした。 周りには様々なパフォーマー達がいる。以前紹介したヒューマンスタチューは今日もみんな何かに変装してバルセロナへ来た人々を楽しませている。 コンタクトボールといって、水晶玉を手の上でくるくる回し、 そこから体中を這うように転がすとても難しいジャグリングをしている人もいた。 コンタクトボールは珍しく、見た目がとても神秘的で人々に人気がある。 他にもタップダンスをしながらボールをジャグリングしている人や、サッカーボールをずっと落とさないでリフティングするジャグラーもいた。みんな面白い。 僕はとりあえず帽子を地面に置いた。げん担ぎに黄色の風船で犬を作り、地面の帽子の中に入れた。 後ろは道路なので気を付けなければならない。僕のボールは固いため、落とすとよく転がる。 始めてから30分、大勢の人々が目の前を通り過ぎる中、たまに人が停まって見てくれる。 こういう時こそチャンスなのだが、僕はそう意識するとうまく出来なくなる。 シャイ、つまり恥ずかしがりだ。 なのでストリートに立つ前は常に緊張している。これを乗り越えるのだ。 しかし、簡単にはいかない。停まって見てくれる言わばお客さんは、ボールを落とすとすぐに行ってしまう。そういうものだ。 落とさないように、何かすごい技を出す。まだまだたくさん課題はある。 とりあえず1時間やった。暑くて大変だ。 もらったお金は25セント…。 ストリートでは自分の度量はお金に換算されて結果がでる。 これが今の僕だった。 周りの活気の凄さに圧され、全然場の空気に乗れていなかった。 最後に、げん担ぎに作った風船を誰か子供にあげようと思ったが、僕の接し方が悪いのだろう、親に拒否られ逃げられてしまった。散々だった…。 自分自身の弱さに腹が立って、分かっているのに何も出来なくって、悲しくて落ち込んだ。 港の方へ歩いていき、とりあえず人がいない所で一人で練習したかった。 しかし、気分が乗らない。こういう時は玉をキャッチできない。 ムシャクシャして、どうでも良くなった。 巻きタバコを買って、たまたまあったスターバックスに入りコーヒー飲んで全財産は終わった。 半ばやけだった。お金に自分の心を揺さ振られるのがもう嫌だった。 ラ・ランブラに戻ると、マイケルジャクソンのダンスしている人や、 カンフーをしている中国人や、チリからきた5人組の変な音楽隊などが、 場を盛り上げていた。みんな面白くて個性的だ。かっこよくてしょうがない。 僕は風船も作れるが、すでにストリートで人と接するのが怖くなっていた。 今の自分にとってバルセロナの活気は凄すぎて怖気づいてしまっていた。 涙ながらに家へ帰るとホアンがいた。 事の事情を話すと、ホアンは分かってくれた。気が合うと思った。なかなか珍しい。自分と似ているなと思った。 話していくうちに知った。ホアンは昔、ヒューマンスタチューをしていたらしい。 ストリートで人の前に立つ事、たくさんの人に見られる事、その怖さを知っている。 ただ、ホアンは今はもうやっていない。なぜかは知らない。しかしホアンを見ていて思う彼に一つ自信が無いのはその為だと思った。 僕にとってストリートでやることは、自分の壁を乗り越えるためであり、 それは自信へと繋がる。僕とホアンは似ている。 ホアンはストリートでやる怖さから逃げてしまったのではないかと思った。 僕は諦めたくは無い。でないと何も変わらない。何も成長しない。 いつも少しずつだけだけれども、それでも前に進んでいきたい。それが生きるという事だと思うから。 今夜はパーティーらしい。 『St. Juan day』スペインの記念日であり、ビーチでみんな騒ぐらしい。 ホアンが笑顔で誘ってくれた。落ち込んでいた心に、光が射した。 いつまでも後ろを見てくよくよしていてもしょうがない。明日には明日の風が吹く。 今を生きよう。今を精一杯楽しもう。答えはきっとそこにある。 僕はお気に入りの派手なアフリカンパンツを履いて、ホアンと共にビーチへと向かった。 続く


