大道芸人と愉快な仲間たち冒険記  RSSを登録する

3年の月日が流れる間に僕は世界を半分周り、そして僕は大道芸人となっていた。独特の世界観で人の世を渡り歩きその優しさに触れています。2008年夏の物語、舞台はヨーロッパ。『人生大学』-旅を大学ととらえた青年の人生物語である。

  • 発行周期 週刊
  • 最新号 2009/09/29
  • 部数 15部
  • メルマガID 0000279995
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2009/02/16

ヨーロッパの旅No.5

朝から、皆メインサークルでせっせと何かを作っている。
それは大きなキャンプファイアーだった。丸太を何十にも組み合わせて巨大なものが出来上がった。
さらにその周りには、花びらのように丸太を置いて5つ形作っていく。
満月の今夜に向けた儀式の用意だろう。
いったい何が始まるのだろうか。

夕食のフードサークルを終えると、儀式に出る人が準備を始めた。
音楽を演奏する人、ファイアーパフォーマンスする人、踊る人などがいた。
見るだけの人は大きな輪を作らされて、中心のファイアーを囲む形となった。

僕はジャンベを叩きたかったので中心近く花びらの脇まで行った。ジャンベや楽器を持っている人は20人くらいいた。
儀式が始まった。それは見たこともない光景だった。

5つの花びらの中にはそれぞれ人が入っている。
1つではベリーダンスみたいなのを踊っていたり、
それが終わると、別の花びらの中ではファイアージャグリングのパフォーマンスがあったり。こうじくんもやっていた。
一番不思議だったのが、裸で泥を体に塗ったくった人が不思議な踊りをしていたことだ。
穴を掘り、その中は泥が入れられている。その中でグニュグニュと体をねじらせ泥をつけて、出てきて踊っている。
シャーマンのようなことをしている人もいた。

儀式自体になんの意味があるのか、これは何なのかと、とりあえず不思議だった。

アジア文化(インド、チベットなど)や、シャーマンや精神的な文化、スピリチュアルな事が好きな人達だ。
日本人が挨拶で頭を下げるのも好きらしい。受けが良いので僕はよくやっていた。

彼らには国籍や性格、色々と違えど共通点があった。
挙げてみると…
ドレッドヘアーであり、ヴェジタリアンであり、
アメリカンスピリットなどの天然タバコを吸っていて
アクセサリーなど不思議な物をつけている 
女性は脇毛を剃らない、香水なども付けない 
民族衣装を普通に着ている 
環境に優しい 
インドが好きだ 
そしてとてもオープンで優しい目をしていて温和だ
天然石を持っている
最後にマリファナを神聖視している 
などだ。

儀式を通して見えてきた事だ。
僕も気が付けばいくつか該当していた。そしてドイツで出会い、優しくしてくれた人たちは、皆こういった人達だった。デニスは全てに該当した。
そして僕はこういった人達とは、なんらかのテレパシーが使えることを知った。
特殊なことではない。気が合うか瞬時に分かるのだ。あまり話さなくともお互い心を通わせることが出来る。不思議な繋がりが出来るのだ。

最近思うことがある。「気」とは大事な感覚だ。
日本語は色々な表現で「気」という言葉を使うのが僕は大好きだ。
日本がスピリチュアルな文化である証拠だ。
ヨーロピアンはヨーロッパにはない、日本の、アジアのこういうところが好きなのだと思う。



儀式は気が付いたら終わっていた。
不思議なものを見た。こんな訳の分からないことをする彼らが面白おかしくもあった。
そして日本人である僕は、日本に誇りを持ち始めていた。
異文化の中にいてようやく見えてきた自分の文化への誇りだ。
日本は周りが羨むような素晴らしい文化を持っているということを。

彼らのやることには何か一つ筋が通っていない。それは歴史と伝統の中から生まれたものではないからではないか。
しかし、逆にその留め金がないからこそ、新しいものを作り上げるのに躊躇がない。
新しいものに抵抗がなく、何でも受け入れる。そんな素晴らしさもある。
ストリートパフォーマーでも面白い奇抜なのが多い。
それは皆が好奇心の目で見てくれるからこそだと思う。
ヨーロッパはそんな所だ。

満月を見上げながら、旅に出て何度目の満月を見るのだろう?
そんな事を考えた。
初めて訪れた国、タイの安宿の屋上でこの月を見ていたとき、果たして今の自分がこんな所にいるなんて想像できたろうか。

僕はその夜を思い出すとき、ある旅人を思い出す。
その人は、4年間世界を旅した帰りだった。
旅に出たばかりのその時の自分にとって初めて出会った旅人だった。
安宿の狭い屋上で短い間だったが色々と話した。全てが興味深かった。
しかし、その人は旅が終ることに顔色は良くなかった。
自分は探し出せなかったのだろうか。
もうすぐ僕の旅も4年にさしかかる。
時間は、面白いように過ぎ去っていった。

僕は、「旅」について、色々と自分自身の答えが出てきた。
今、僕は旅をしている。ようやく旅と言えるようになってきた。
アフリカに行って、ようやく旅というものが分かった。

そういう視線から自分自身を見つめてみると、アジアを横断していた時は、あれは「放浪」していたのだった。
どうしていいか分からずに、国から国へと移動し、人の流れを一人で泳いできた。
目的だ。それが出来た今、放浪は「旅」となった。
そして人との接し方も学んだ。今、僕は人と一緒に泳いでいる。

なぜ旅をしているのと聞かれると、僕は迷わず「自分探しの旅」と答える。

探していた自分は見つかった。
今は、自分の可能性を求め、そして自分自身がもっと輝くために旅をしている。
そして世界中に住む友達たちと出会うために。

続く


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