大道芸人と愉快な仲間たち冒険記  RSSを登録する

3年の月日が流れる間に僕は世界を半分周り、そして僕は大道芸人となっていた。独特の世界観で人の世を渡り歩きその優しさに触れています。2008年夏の物語、舞台はヨーロッパ。『人生大学』-旅を大学ととらえた青年の人生物語である。

  • 発行周期 週刊
  • 最新号 2009/09/29
  • 部数 15部
  • メルマガID 0000279995
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2009/01/22

ヨーロッパの旅No.3

レインボーギャザリングは一つの村となっていた。

入り口があり、村の中には大きなキッチンや湧き水をホースでひいてきた水のみ場にシャワー場、大きなテントを張った集会所もある。
このテントはアメリカンインディアンのティピと呼ばれる一枚布を三角錐のように巻いたテントで馬鹿でかい。このティピは2つ設置されている。
中は本当に広く100人は余裕で入れ、上が少し開いているので焚き火も出来る。

村の中央はメインサークルと呼び、ここで皆で一緒にご飯を食べるのだ。
中心には巨大な焚き火場が作られている。この火はとても神聖なものらしい。薪以外のいかなるものも燃やしてはならない。

僕らがショートカットをして着いた場所は、村の入り口の反対側だった。
メインサークルへ行くと、面白いことをしていた。
20人くらいの男女が輪を作り踊っていた。
何をしているのか全く分からなかった。UFOでも呼んでいる感じだ。
こんな光景は、今後このレインボーギャザリングの中でよく見る事となった。

山のため、6月といえどもそうとう寒かった。
この日は雲が多かったので、太陽が隠れると寒くて仕方なかった。
しかし一変して太陽が出ると、今度は日差しが強く肌が焼ける思いだった。

運んでもらった僕らの荷物を受け取ると、日が暮れる前に皆テントを張った。
僕はテントを持っていなかった。デニスはなくても大丈夫だよと言っていた。
つまり、ティピで寝れるらしい。公共の場であるらしい。
ただうるさいけどねと言っていた。

日が暮れる少し前に食事の時間となった。

キッチンから「フードサークル!」と大きな叫び声が響き渡った。
広大な敷地に、あちこちに散らばるようにして建っているテントから人がぞろぞろと集まってきた。中心の焚き火を囲み皆で円を作っていった。
お互いの手を握り合い、その輪はどんどん大きくなっていった。食事の儀式が始まる。

皆、歌を歌っている。短い歌で何度も繰り返している。「We are family, family together…singing of family….」
こんな感じで歌っているのが聞き取れた。
歌は、皆が一通り集まってくるまで繰り返し歌われた。

その後、目を閉じ「オーム」と唸るように唱え始めた。
オームはヒンドュー語だと思う。とても神聖な呪文だとインドにいた時に教えてもらった記憶がある。
たまに手やほっぺにキスが周ってくる。大きな輪を一周してくるのだ。
左手は下で、右手は上に繋ぐ。人の間を気が流れている。
とてつもなく巨大だ。なにか本当に起こりそうな気がした。
オームが終わると、最後に手を合わせ、大地に伏せておでこをつけて感謝をした。

給仕する人が皆に食事を配っていく。
それにしても大人数だ。3000人くらいいるだろうか。満月が近いため今が一番のピークのようだ。

食事はどうだったかというと、とんでもないものだった。
基本は全て野菜だ。ほとんどの人がヴェジタリアンなのだ。今夜はスパゲッティで、ブロッコリーなどが入っていて、それだけだった。
味もなく、麺も伸びきっていて、塩をかけて食べた。
小麦粉の汁が下に溜まっていた。ひどい味だ。
それとドレッシングなしの野菜だ。…野菜というか、見た目はただの草だった。
基本的に油も一切使わない。醤油ぐらい持ってこればよかったと思った。

今夜はこれだけだった。気持ち悪かったが、貴重な食事だった。僕は何も食料を持ってきていなかった。
それにしてもたまたま今夜は酷かったらしく、「イタリア人なしでスパゲッティを作るなー!」と皆叫んでいた。

キッチンは日替わりで皆で担当し、誰でも好きなものを作れる。今夜の担当した人には悪いが、これはそうとう不味い。

食事の後は、メインサークルの火の周りに皆集まった。
誰かがギターを弾き、太鼓が鳴り響き、みんなの歌声が飛ぶ。
しばらくいたが僕は寒さに耐え切れず、ティピへ向かった。ティピは2つあり、大小別れている。
大きいほうが100人は入るほうだ。そこへ行くと、すでに満員だった。足場のないくらい人で埋まっている。
中心は焚き火があり、そこでチャイ(インドのミルクティー)を作っている。
そしてここでも大合唱が行われていて、歌っている人もいればのんびりしている人もいる。


僕は端っこに隙間を見つけて座ってのんびりしようしたが、人が多すぎてどうにも落ち着けず、小さいティピに行くことにした。
そっちは大きいほうの三分の一くらいの大きさだ。
20人くらい人がいた。
今夜はここで寝ようと思う。大きいほうは朝まで騒がしいらしい。


僕はもう寝ることにした。疲れた。
見るもの、感じるもの、食べるものが全て初めてだった。おまけに山暮らしは慣れていない。精神的に参った。
これだけ長く旅をしていて、ここまで疲れるのも珍しい。
馴染めるだろうか。不安は尽きなかった。そして夜の山はとても冷える。
僕の装備では不十分だった。テントすら持っていないことに後悔した。
明日も晴れますようにと願って寝袋に包まった。
朝まで大きなティピからは歌声が続いた。

続く
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