大道芸人と愉快な仲間たち冒険記  RSSを登録する

3年の月日が流れる間に僕は世界を半分周り、そして僕は大道芸人となっていた。独特の世界観で人の世を渡り歩きその優しさに触れています。2008年夏の物語、舞台はヨーロッパ。『人生大学』-旅を大学ととらえた青年の人生物語である。

  • 発行周期 週刊
  • 最新号 2009/09/29
  • 部数 15部
  • メルマガID 0000279995
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2009/01/19

ヨーロッパの旅No.2

小雨の降る中、僕はとうとうヒッチハイクを断念することに決めた。
ここはすでにスペイン、目的地まであと200kmほどの所のBurgosという町だった。
ベルギーから北フランスまで送ってもらった後、僕は運良く長距離トラックを捕
まえ、一気にフランスを縦断し、北スペインまでやってきた。
目指すLeonという町まではもう目と鼻の先だった。

今まで出会ったヒッチハイカーからの情報で、スペインでのヒッチハイクは、難
極まるとの事だった。ある程度は覚悟していたが、僕はこの時10時間も待った。
それでも駄目で、僕はドライバーに近くの別のGSでいいから乗せてくれと頼み込
み始めた。
運の流れのない場所にはこれ以上長くはいたくなかった。どこでもいいから場所
を変えて気分を変えたかった。

ブリジストンで日本人の上司と一緒に働いているという人が、
僕の状況をみかねて、別の近くのGSへ連れて行ってやると言ってくれた。
僕は喜んだ。しかし着いた先は、ハイウェイから降りてしまったこの町の郊外のGSだった。ここからハイウェイに向う車が給油するのでそれを捕まえろと言っていた。
しかしながらこの町自体閑散としていて、車は全くいなく、厳しそうだった。
それでも助けてくれたお礼を言い別れた。

一時間ばかしやってみたが、交通量自体が少なく、諦めることにした。
もういい、やめよう。全然停まってくれないスペイン人に勝手に頭にきて、イラ
イラしていた。
バスを使おう。
今回も200ユーロのみ持ってきた。カードはアムステルダムに置いてきた。
まだ全然使ってなかったのでバスを使う余裕があった。

バス停へ付くと、今日はもうなかった。もう22時だ。
明朝6:30のチケットを買った。12ユーロだった。3時間ほどで着く。
近くで建築途中だった建物の下で寝た。小雨が降ってきていたので屋根があって
助かった。

次の日6時ごろ目を覚ました。まだ暗かった。
バス停へ行き、トイレで顔を洗い歯も磨いた。
僕が乗るバスの前で一服していると、変な奴に出会った。
くりくりの目で、長いまつげ。彫りの深い濃い顔立ちで、髪は後ろだけ長く、し
かもそこはドレッドだ。不思議な雰囲気は、話していても伝わってくる。
「君もレインボーに行くのかい?」彼がまず話しかけてきた。
「そうだよ!君も?」僕は答えた。
トントン拍子で話していき、すぐに仲良くなった。仲間が見付かって嬉しかった
。彼の名前はホアンだ。

バスは出発し、予定通りLeonの町に9時に着いた。
彼は一人ではなかった。このバスはバルセロナから来ていて、皆車内で寝ていた
。
友達はチェコ人のテレサ、パブロ、カトリーナ、そしてドイツ人のカトリンだ
。
唯一、ホアンが南米だ。彼はウルグアイ出身で、今はバルセロナに住んでいるら
しい。

僕は一緒に行く仲間がたくさん出来てとても嬉しかった。
このLeonの町からまた別のバスを乗り継いで、30kmほど行った山へ向う。
そこでレインボーの集いが行われているらしい。
本当に山中の為、たどり着けない人もいるそうで僕は不安だったが、仲間が出来た今、そんな不安は消え去った。誰かいるだけでとても心強かった。

バスに乗る前にスーパーへ行った。ホアンは以前この町に住んでいたそうで詳し
かった。
路地や建物、住んでいる人がスペインらしく良い味を出していて気持ちが良かっ
た。

バス停に戻ると、さらに他に3人もレインボーへ行く人が増えていた。
皆でバスに乗ると、誰かがギターを弾きだし、それに乗って皆が歌いだした。
レインボーソングだ。デニスを思い出した。

しばらく行くと、バスはくねくねと山道に入った。
とても綺麗な場所だ。大きな大きな青く澄んだ湖が広がってきた。空もとても澄
んでいて真っ青だ。所々にかかる白い雲がいいコントラストを作り出しとても気
持ち良い。
そしてバスは停まり、いよいよここから歩きとなった。
約7km歩くらしい。
降りたバス停にたまたまレインボーから帰ってきた人がいた。なぜ満月を目前と
して帰ってきたのかは聞かなかった。
詳しい行き方を聞き、お互い「Good luck」と言い別れた。

歩き始め、すぐに何個か交差点があり、言われたとおりに皆で歩いた。30分くら
い歩いた。たまに行き交う車に手を上げヒッチハイクを試みた。しかし、すでに11
人もこの時いて、停まるってくれるはずもない。
と思っていたが、一台のワゴン車が停まってくれた。それはレインボーから来た
人達で、食料を買いに下山する人達だった。彼らは優しく、僕らの荷物でもと全
部載せてくれた。
僕は大きなバックパックにジャンベもあったので、これでだいぶ楽になった。
そして道を間違えていることも教えてくれた。バスを降りすぐの交差点ですでに
間違えていた。30分も歩いてきてしまっていた。

荷物がなくなると、歩くスピードもだいぶ変わった。
すぐに来た道を戻り、気を取り直して歩いた。誰かがギターを弾く。皆で歌う。
とても陽気で心地よかった。

それでも山道で7kmは長かった。11人もいるとすぐに皆バラバラとなり、速い人遅
い人で分かれていった。
1時間ほど歩いて、道が本格的に坂になってきた時、一軒の農家が現れた。
彼らに道は合っているかと尋ねると、大丈夫だが、まだ先は長いとの事だった。
そして、この農家の家の目の前から始まる山道を行くと、残りの半分以上をショ
ートカットできると聞く。
そこはかなり急な道で舗装などされていなく、岩だらけの道だった。途中で毒蛇や熊に気をつけろと言われた。
しかしその道を皆で行くことにした。
これだけ人数がいれば怖くはなかった。

急な岩道、生い茂った木のトンネル、足場の悪い沼地を越えていった。1時間ぐら
い歩いたろうか。きつかったものの、空気は澄んでいて、途中で飲む湧き水や、
珍しい植物に、皆のテンションは高かった。急な坂道を登りきると、岩山の間か
ら煙がたっているのが見えた。もしかして!?
そしてテントもちらほらと見え始めた。
それらは、さらにこの山道を登った先だった。
僕らは元気を出し、ラストスパートを登りきった。

そこではテントの横で焚き火がなされ、数人の男女がお茶を飲み団欒していた。
僕らが着くと、「Welcome home,family!」とそこにいた皆が歓迎してくれた。

僕らは地面に座り込み、無事辿り着けたことを喜んだ。
見渡すと、ここ周辺にはまばらにテントがいくつか建っていて、人影はあまりな
かった。
脇には、どこからか湧き水をホースで引いてきた水のみ場があり、その下にはシ
ャワー場もあった。誰かが裸で浴びていた。
よく見ると、素っ裸で歩いている人がいる。男性も女性も。
僕はびっくりした。しかし、皆さも当然としており堂々としている。
民族衣装を着た人や、中世時代の格好をした人達もいる。ゲームの世界にいるよ
うな錯覚さえ覚えた。火を焚き、電気も水道もない。100%自然の中で生きている。

レインボーギャザリング。いったいここは何なんだ?
山の奥で暮らす突然表れた見たことも無い光景。僕は目を疑った。
僕はいよいよ不思議な世界へと入り込んでしまったようだった。

続く
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