2009/12/28
★【行政書士試験独学合格を助ける講座】第42号★
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2009/12/28 PRODUCED by 藤本 昌一
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【趣旨等】
当メルマガは、過去に出題された問題を分析・解説するコーナー
ですが、その視点は、将来の本試験を見据えたものとなります。
【テーマ】 行政法・行政行為の効力
本問は、サイト31回において、採用した。行政法の
基本にふれる好個の素材だ!!
もう一度、整理しなおし、サイトでは説明が不十分だった
「争点訴訟」について、より詳しい説明を加えた。
【目次】 過去問・解説・前回の予想問題の解答
(今後、予想問題≪オリジナル≫は、明年1月6日創刊の
有料メルマガに移行します)
余禄(新連載)
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■ 問題 平成16年度問題9
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行政行為の効力に関する次の文章の(ア)~(エ)を埋める語の
組合せとして、最も適切なものはどれか。
行政行為の効力の一つである(ア)は、行政行為の効力を訴訟で
争うのは取消訴訟のみとする取消訴訟の(イ)を根拠とするという
のが今日の通説である。この効力が認められるのは、行政行為が
取消しうべき(ウ)を有している場合に限られ、無効である場合には、
いかなる訴訟 でもその無効を前提として、自己の権利を主張できる
ほか、行政事件訴訟法も(エ)を用意して、それを前提とした規定を
置いている。
(ア) (イ) (ウ) (エ)
1 公定力 拘束力 違法性 無名抗告訴訟
2 不可争力 排他的管轄 瑕疵 無名抗告訴訟
3 不可争力 先占 違法性 客観訴訟
4 公定力 排他的管轄 瑕疵 争点訴訟
5 不可争力 拘束力 瑕疵 争点訴訟
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■ 解説
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☆ 参照書籍
行政法読本 芝池 義一著・行政法入門 藤田 宙靖著
/有斐閣
1 サイト31号の要約
収用委員会の収用裁決によって、土地が起業者にとられてしまった
という例示において、もとの土地の所有者がこの収用裁決という行政
行為が違法であるので、この土地を取り返したいと考えた場合、どう
すればよいのかということを考察した。
◆サイト31号の詳細はコチラ↓
http://examination-support.livedoor.biz/archives/706967.html
もとの土地所有者を甲とし、起業者を乙とする
(1)一つの方法《民事法(民法や民事訴訟法)の適用を原則とする》
甲は乙を被告として、裁判所に土地の返還を求める訴え(民事訴訟)
を提起する。そしてその際、甲から乙への権利変動は無効であると
いうことを主張し、その理由づけとして、収用裁決は違法である、
ということを主張すればよい。
(原告) 土地の返還請求 (被告) 主張・甲から乙への権利変動
は無効。
甲-------------------------→乙
理由・収用裁決は違法
(2)二つ目の方法≪「違法な行為も取り消されるまでは原則として
有効である」という「公定力」を基本とする》
甲は、まず行政庁(収用委員会)が所属する都道府県を被告として、
収用裁決の取消訴訟をX裁判所に提起し、そこで収用裁決を取り消
してもらい、そのうえではじめて、べつに、乙(起業者)を被告
とした 民事訴訟をY裁判所に対して提起する。
X裁判所
(原告) 収用裁決の取消訴訟 (被告)
(抗告訴訟)
甲---------------------------→収用委員会が所属する都道府県
↓ 判決・収用裁決取消
Y裁判所
土地の返還請求
甲--------------------------→乙
民事訴訟 (起業者)
(3)学説・判例は、一致して、二つ目の方法を採用する。
なぜかというと、行政行為は民法上の法律行為とは違って、
それ自体が 取消訴訟によって取り消されていないかぎり、
原則としてほかの訴訟(民事訴訟)ではその訴訟の裁判所(Y)
を拘束するので あって、当該のY裁判所は、かりに審理の中で
この行政行為が違法であるという判断に達したとしても、
これを有効なものとして扱わなければなければならない、
とされてきたからである≪最判S30・12・26≫(入門)。
(4)公定力
「特定の機関が特定の手続によって取り消すばあいを除き、いっさい
の者は、一度なされた行政行為に拘束されるという効力」という原則
をいう。
例示によれば、X裁判所(特定の機関)が行政行為の取消訴訟
(抗告訴訟)という(特定の手続)によって取り消すばあいを 除き、
民事訴訟を遂行するY裁判所においても、一度なされた行政行為
を有効なものとして扱わなければならない、ということになる。
2 本問の具体的検討
(1)本問でいう、「行政行為の効力を訴訟で争うのは取消訴訟のみ
とする」のは、1(4)によれば、公定力の帰結であるから、
(ア)には、公定力が入る。
この考え方が「今日の通説である」というのも、1 (3)により、
明確である。
・・・・・
その根拠とされる(イ)には、取消訴訟の(排他的管轄)が妥当
することは、(イ)に羅列する他の文言との比較において、明瞭
である。
(ウ)に瑕疵がはいることは、前回の予想問題・解説からしても、
明らかである。
↓
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《問題》
行政行為の効力に関する次の文章の(ア)~(エ)を埋める語の
組合わせとして、最も適切なものはどれか。
(ア)を有している行政行為がいかなる基準で(イ)になるかに
ついては、 わが国の判例そして有力な学説は、従来この基準を
(ア)の(ウ)というところにおいて、(ア)を有している行政行為は、
原則として(エ)行政 行為にどまるが、その(ア)が(ウ)を有す
る場合には(イ)となるという公式を樹立した。
(ア) (イ) (ウ) (エ)
1 違法性 違法 重大性 取り消しうべき
2 瑕疵 取り消し 明白性 違法である
3 瑕疵 無効 重大明白性 取り消しうべき
4 違法性 違法 重大明白性 無効である
5 瑕疵 無効 重大性 取り消しうべき
《解説》
本問は、「行政法入門」からの抜粋である。
瑕疵ある行政行為が「取り消しうべき行政行為」となるのか
それとも「無効の行政行為」となるのかという基準に関する
問題である。
( )内を埋めると、
(瑕疵=ア)を有している行政行為がいかなる 基準で(無効=イ)
になるかについては、わが国の判例そして有力な学説は、従来この
基準を(瑕疵=ア)の(重大明白性=ウ)というところにおいて、
(瑕疵=ア)を有している行政行為は、原則として(取り消しうべき
=エ)行政行為にとどまるが、その(瑕疵=ア)が(重大明白性=ウ)
を有する場合には(イ=無効)になるという公式を樹立した。
正解は3である。
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(2)争点訴訟について
(エ)には、争点訴訟が入るが、行政事件訴訟法45条の規定するこの
争点訴訟は、訴訟法全体の把握がされてないと、理解困難である。
以下に要点を述べるので、それなりの把握をしておいてほしい(今後
本試験の高度化に伴い、正面から、争点訴訟を問う問題が将来、出題
される可能性あり)。
条文としては、行訴法3条4項の「無効等確認の訴え」、同36条
の「無効確認の訴えの原告適格」、そして、さきにあげた同法45条
が規定する「争点訴訟」があげられる。
行政処分が無効である場合には、取り消し得べき処分と異なって、
「いかなる訴訟でもその無効を前提として、自己の権利を主張できる」
ことになる。その点からして、次のように言える。
・・・行政処分が無効だというならば、そもそもこの処分には公定力
もないことになるわけですから、私人としては、なにもわざわざ抗告
訴訟というかたちで処分それ自体が無効であることの確認を求める、
(筆者注 行訴法3条4項の「無効等確認の訴え」)というような
まわりくどいことをしなくても、行政処分が無効であるということを
前提とした上で、現在の法律関係に関する訴えをいきなり起こせば
すむのではないか、といった疑問がわいてきます。(入門)
ここで、さきにあげた収用裁決が無効であった場合、収用裁決の
「無効確認の訴え」を提起するまでもなく、現在の法律関係に関する
訴えすなわち土地の返還請求という民事訴訟を提起すればよいこと
になる。
以上の帰結が、行訴法36条・同45条によって導かれる。
特に、36条の解釈は難しいが、
収用裁決の例でいえば、収用裁決それ自体の無効確認を起こすという
のはよけいなまわり道だから、それはできないことにして、もっぱら
直接「土地を返せ」といった民事訴訟で争うことしかできないのだと
いうことなのだ、というふうに理解しておけばよい。
そして、こういった場合の民事訴訟のことを特に「争点訴訟」と
呼び、同法45条に規定を設けている。
(以上入門参照)
以上のようにとらえると、本問の(エ)に争点訴訟がはいるのが、
腑におちることになる。
したがって、本問の正解は4である。
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■ 前回(41回)予想問題・解説
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《問題》
弁済供託に関する次のア~オの記述のうち、最高裁判所の見解
として妥当なものの組合せとして、正しいものはどれか。
ア 弁済供託は、弁済者の申請により供託官が債権者のために
供託物を受け入れ管理することを内容とする民法上の寄託契約
の性質を有するから、供託官が供託金払戻請求を理由がないと
して却下した行為を不服とする場合の訴訟形式は民事訴訟の
方法によるべきである。
イ 弁済供託における供託物の取戻請求権の消滅時効は、供託の基礎
となった債務について、紛争の解決などによってその不存在が確定
するなど供託者が免責の効果を受ける必要が消滅した時から進行
する。
ウ 供託官が供託金払戻請求を理由がないとして却下した場合の
審査請求は、専ら行政手続法の規定に基づいて行う。
エ 金額に争いのある債権について、供託金額が債権者の主張額に
足らない場合でも、債権者が別段の留保なしにその供託金を受領
したときは、その債権の全額に対する弁済供託の効力を認めたもの
とされる。
オ 供託金払戻請求権は、公法上の金銭債権に該当するので、5年間
行使しないときは、時効により消滅する。
1 ア・エ
2 ア・オ
3 イ・ウ
4 イ・エ
5 ウ・オ
《解説》
▲ 参照書籍 民法 2 勁草書房
肢アについて
民法494条の供託と同657条の寄託を対比すると、次の
文章は、正しい。通説・判例である。
弁済供託は、弁済者の申請により供託官が債権者のために
供託物を受け入れ管理すること内容とする民法上の寄託契約
の性質を有する。
しかし、供託金払戻請求(前者)が、民法上の寄託物返還請求
(後者)と同じかと言えば、実質は預けた物を返せという請求で
あっても、前者は、供託官の行政処分を求める申請である
(行手法 第2章・申請に対する処分 参照)のに対し、後者は、
私法上の契約から生じる請求権であるという違いがある。
したがって、前段は正しい。しかし、後段における訴訟形式は、
民事訴訟ではなく、行政事件訴訟法第3条第2項の「処分の取消
しの訴え」(抗告訴訟)による(最判昭和45・7・15)。
誤りである。
肢イについて
判例(前掲)は、つぎのように判示。
弁済供託における供託物の取戻請求権の消滅時効は供託の基礎と
となった債務について紛争の解決などによってその不存在が確定
するなど供託者が免責の効果を受ける必要が消滅した時から進行
する。
正しい。
肢ウについて
供託官の供託金払戻請求の却下処分は、行政処分である(肢ア)
ので、行政庁に不服申立てができる。
本件では、行政不服審査法1条2項により、他の法律により特別
の定めがある場合に相当し、監督法務局または地方法務局の長に
審査請求できることになっている(供託法1条の4)。
誤りである。
肢エについて
金額に争いのある債権について、供託金額が債権者の主張額に
足らない場合でも、債権者が別段の留保なしにその供託金を受領
したときは、その債権の全額に対する 弁済供託の効力を認めた
ものと解される(最判昭和33 .12・18)。《前掲書》
正しい。
肢オについて
会計法30条において、国の金銭債権または国に対する債権は、
5年で時効消滅すると定められている。
供託金払戻請求権は、国に対する債権に該当するため、 本肢
は正しいようにも思える。
しかし、判例は、弁済供託は、民法上の寄託契約の性質を有する
(肢ア参照)ことを理由に、民法167条1項を適用し、10年が
消滅時効期間となると解している(最判昭和45・7・15)。
誤りである。
以上のとおり、正しいのは、イとエであるから、正解は4である。
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■ 編集後記
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○ 本年最後の無料メルマガです。来年もよろしくお願いします。
○ 明年1月6日から有料メルマガがスタートします。内容の充実に
心がけますので、こちらもよろしくお願いします。
⇒次号の無料メルマガで詳細をご紹介させていただきます。
○ 1910年がみなさまにとり、生涯、最良の年でありますように。
( これからは、最後に、有料・無料いずれの配信を問わず、美里さん
が登場します。展開をお楽しみに。癒しになれば幸いです!!)
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■ 余禄・先生と美里さんの会話
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永宗美里さんの紹介
花の独身・28歳・瞳がきらきら輝き、活発・行政書士受験歴1回・
2回目に挑戦中。
先生の事務所に勤務・先生の姪にあたるが、事務所内では、伯父を
先生と呼ぶ。
先生「美里さん、勉強、はかどっていますか」
美里「発表まで落ち着かなくて・・・」
先生「それは、おかしいなあ・・」
美里「先生、失礼だわ・・・」
先生「・・・・」
美里「先生は、わたしの答案を採点なさって、5割しか取れていない、
もう、今の時点で、不合格確定と思ってらっしゃるんでしょう。
そんな、わたしが、どうして発表前に落ち着かなるのか、そう
言いたいんでしょう」
先生「そのとおり。まあ、1回目にしては、上出来だったし、筋は
いいが・・・・。来年が勝負だ」
美里「先生。そうなんです。わたし、いま、来年の試験の発表の前
の予行演習をしているんだわ」
先生「????????????・・・」
続く
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【発行者】司法書士 藤本 昌一
【運営サイト】http://examination-support.livedoor.biz/
【E-mail】<fujimoto_office1977@yahoo.co.jp>
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