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フライフィッシングの面白さと奥深い魅力を様々な角度から徹底紹介!スポーツであり、芸術であり、哲学であり、ハンティングであり、祈りである。「永遠に幸せになりたければ、釣りを憶えなさい」という格言は本当なのか?他、釣行記やテクニック論など。

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2008/12/21

ある夏の日の出来事2(深山幽谷源流釣行)

・『価値あるものと見なされるこの世の全ての楽しみと比べてみても魚とり。これに勝るものはなし。』

・『説教する人、物書く人、専制する人、戦う人。利益の為か、娯楽の為か、いずれにしても最後の勝利者これ魚とり。』
                        by 釣魚大全
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■ある夏の日の出来事(源流釣行パート2)



パート1
http://archive.mag2.com/0000274931/index.html



風呂から上がった私は、食堂へいった。

餌釣りの人が、
さばいた魚を山小屋の人に塩焼きにしてもらって、
ビールを飲んでいた。


それとなく話をした。
その人も、釣り上がっている内に、
水位が急激に上がってきて、
胸近くまで流れに揉まれながらどうにか川を渡ったそうだ。


間一髪だったと言っていた。
源流の水位が上がるのは思っている以上に早い。


もう還暦をすぎたあたりの人だ。
毎年、この時期は一人でここに来るのだそうだ。
一人で来る事がいいとその人は言った。



翌朝、
山小屋のすぐ下の流れを少しだけ釣った。
夏なのに薄ら寒く、暗く苔むした流れだ。
キャスティングを2、3度した。そして、すぐ止めてしまった。


精神も、技術も、経験も
全てが私には足らなかった。

何よりも、釣りを楽しむ余裕がまったくない。
釣れる気がしない。

苔むした岩。
澄んではいるが、赤茶けた流れ。
ブナの大木の根が、般若の面のように川岸を這う。

その場所の放つ威厳。
何百年、何千年と生き延びてきた生命の持つ気。


圧倒された。
生き抜いていく強い意思を感じた。


私の軟弱な魂を見透かされていた。


山小屋に戻ると、
下山する人が何人かいた。
餌釣りの人もこれから帰るそうだ。


その中に、
にこやかな表情の登山者がいた。
ハーフパンツにリュックという軽装。
身のこなしが、軽やかだった。


この人も還暦近いだろう。


長野県側から一週間ぐらいかけて、
ここまで来たそうだ。

米を一週間分持っているだけで、
他の食料は持たないそうだ。



全て現地調達。
水、岩魚、山菜・・。
時には小動物(ウサギとかかな?)も。


今年は大きな岩魚がよく釣れたので、
食料には困らなかったと言っていた。


餌釣りだと思っていたら、
ジールーミスのパックロッドをリュックに
忍ばせていた。


かっこいい人だった。
身のこなしが年とそぐわず軽い。
ふくらはぎが強健を物語る。
キャップの代わりにバンダナを頭に巻いていた。


分かっている。
この人は何でも分かっている。と、思った。


私はというと、
真夏にもかかわらず、ダボダボのウエーダーに
重いベスト。

太刀打ちできるわけがない。





下山しよう。






敗北感が襲ったが、
いやな気分ではなかった。
むしろ、すがすがしい感じ。


街で暮らしていては到底知ることの出来ない
情報を体が受け取った。


高みを目指して、
たった一人で
歩く。


道がないから歩けないのではなく、
道がないから歩く。


シンプルな行動。衝動。
曇りのない意思。


誰かを真似るのではなく、
いきたければ行く。
やりたければやる。


つじつまは必ず合う。


合わないと思うのは、
自分の直感に反しているから。



一匹も釣れなかった深山幽谷の岩魚は、私にこう言う。



生きているか。
死んでいないか。
研ぎ澄まされているか。
目を見開いているか。
腐敗していないか。
全身全霊であるか。



フライに一度だけ出た、あの岩魚は
全てを満たしていた。


生きることに凄まじく真剣で、そして楽しんでいた。






源流の釣りは凄い。途方もなく魅力的だ。
いまだ憧れであるが、
それは朝のジョギングから始めなければいけない。


いつかあの岩魚と対等に渡り合おう。





■編集後記


師走ですね。

何で忙しくなるんですかね。この時期。

皆さんはどうですか。

メルマガ書いている時間も取れず、
だいぶ久しぶりの発行になってしまいました。


ところで、
世間は不況だそうで、
皆、息を潜めている感じですね。


でも、こういう時代だからこそ、
この言葉が生き生きとしてくると思う訳です。




『説教する人、物書く人、専制する人、戦う人。利益の為か、娯楽の為か、いずれにしても最後の勝利者これ魚とり。』




ではまた。




フライフィッシング私的大全(永遠に幸せになる為に)
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