2008/09/29
週刊フィロス 2008年41号
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 週刊フィロス 08/09/29発行 08/10/13日号 41号 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ ━━━目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ・手遅れの時間(アイリス) ・次号予告 ・小説募集要項 ・PhilosWikiについて ・このメルマガについて ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ---------------------------------------------------------------------- ━━━手遅れの時間━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ あなたには好きな人が何人いますか? ふたりを愛した男の行く末をごらんあ れ ─────────────────┬───────────────── │1891字 彼の頭から血が流れている。 │【作者】アイリス だけど、ユウは「いつものことだから│ 楽しんでいただけたら嬉しいです 」ってつぶやくだけ。 └───────────────── わたしは聞いた。 「いつものことって、どういうこと?」 ユウを刺激しないように穏やかに聞いた。 彼をめぐってわたしとユウはこの1年間、争っていた。もとはと言えば、わ たしの彼だったのにユウが割り込んできた。今日はユウのマンションにわたし が乗り込んできて、案の定、すごい修羅場。 黒の下着姿で現れたユウ。 すっかり頭に血が上ったわたしはユウをひっかいた。 「泥棒!返してよ!」 彼はふたりの間に入り、わたしに「アイ、落ち着け」となだめていた。 その時、ユウは彼の胸を押した。 「どいてよ。あなたには関係ないでしょ」 鈍い音が部屋に響き、今の状況が訪れた。 わたしは携帯を取り出した。救急車を呼ばなきゃと焦りまくった。だけど、 うまく押せない。 「救急車って何番ばっけ? ええっとええっと。あー、もうやだ」 一方、ユウは落ち着き払っている。 「彼っていつもこうじゃない。ベッドの上にごろんと横になって動かない。今 だってそうよ。きまり悪いものだから倒れたふり」 ユウは白い肌に黒い下着姿で腕を組んでいる。 わたしは彼女の言葉と姿が理解できない。 冷静にユウの話を聞こうと思った。 ……救急車は、あとでいいや。 「どうして、下着姿なの?」 「どうしてって彼の希望にきまってるじゃない」 「希望?いつ希望したの?」 「昨日の夜、電話で」 頭が混乱してきた。 わたしと付き合っている彼がユウともつきあっているのは知っていたけど、 わたしには何の要求もしないのにユウには衣装の指示をしていたみたい。 「アイには明日は何を着て、身体をしっかり磨いて待っろって、そんな電話し ないの?」 「しないよ。前日に電話なんてない。」 「ほんと?」 「連絡なしにピンポーンだもん。」 ……沈黙の時間が流れる。どうやら彼はわたしよりユウとの時間を大事にして いたみたい。 わたしの心はずたずた。 彼は黙って横になったまま、苦しそうな呼吸をしている。床に血がついてい る。 こんな彼だけど、さすがに心配になってきた。 「ね。ユウ。彼、大丈夫かな」 「大丈夫でしょ。いつものことだから。」 「いつものことって、ごめん、わからない。どういうこと?」 「それは……」 ユウは白いシャツに腕を通しながら目を伏せた。 「ね、アイとの時もこうなのかな。」 「ん?」 ユウは決意の色を目に現した。 「彼はわたしの部屋に来ると、すぐにベッドに横になって動かないの。」 「え」 「わたしがリクエスト通りの銘柄のお酒を口移しで飲ませてあげて、服を脱が せてあげる。彼は最初のうちはいろいろ指示をしていたけど、最近は何も言わ ない。いつもどおりのメニューでふたりの関係は進む。全て彼の希望通りにわ たしがやってあげる」 わたしは耳をふさいだ。 「やめて」 「ね、教えて。アイとの時もそうなの?」 ……口移しでお酒、いつもどおりのメニュー、やってあげる、それらの言葉が 頭の中でリフレイン。 頭を抱えてしゃがんだ。 彼の頭からの血は少しずつ床に広がっていく。 「ねぇ、ユウ。ちょっとこれ危ないよ。救急車呼ぼうよ。えっと、何番だっ け?」 わたしはさらに混乱してきた。ユウは冷静そのものだ。 「大丈夫よ。いつものことだから。それより、アイとはどうなの?話してよ」 わたしは、ユウの毅然とした態度に圧倒されてしまう。 「わたしとは……」 先週のことを思い出した。 「たいてい、夜の9時頃ピンポーンってやってくる。わたしがドアを開けると、 『会いたかった』って抱きしめる」 ユウのこめかみがぴくぴくしている。 「わたしはたいていお風呂上りでパジャマを着ている。彼は勝手に冷蔵庫から ビールを取り出し、『可愛いアイちゃんに乾杯』ってわたしの頬に缶を当てる。 たとえば先週は、わたしの肩をマッサージしてくれたり」 ユウはがたがた震えている。 「マッサージしてくれる? 信じられない」 「してもらわないの?」 「とんでもないよ。そんなこと。それで……この彼がいろんなこと、してくれ るっていうの?」 ユウは彼を見下ろし、足先でつついた。 「そう」 「アイの方が愛されていたみたい」 ユウの頬に涙が伝う。 「そんなことないよ。ユウの方が愛されてるよ。だって衣装の指定までして。 わたしには、そんなこと一度もないもん。」 「可愛いなんて言われたことない。言うのは『酒』とか『早く来い』とかそん な命令ばかり」 ふたりとも傷ついていた。あまりに違うふたりとの付き合い方。 彼が呻いた。彼が寝返りすると真っ赤な血の池ができていた。 「うぅぅ……」 「そろそろかな。アイ、救急車呼んで。119番」 ユウがスカートをはきながら言った。 「ちょうど手遅れの時間よ」 ─────────────────────────────────── 感想は作品名を添えてこのメールに返信してください。こちらから作者に転送 いたします。 ─────────────────────────────────── 女の怖さを知りましたか? 今日の教訓、誠実に生きよう! ─────────────────────────────────── 手遅れの時間(アイリス)は面白かったですか? はい http://personal-dictionary.com/enq/in.asp?ans=321658301 いいえ http://personal-dictionary.com/enq/in.asp?ans=321658302 結果 http://personal-dictionary.com/enq/view/enq.asp?EID=56513 終わり ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ---------------------------------------------------------------------- ━━━次号予告━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○フィルとケンジがフィロスに帰ってきた!「ファンタジックな」続編、新 連載! 次号の巻頭:電波少女(KMY) 相変わらず電波でケンジを困らせているフィル。しかし、フィルがケンジの 目前で、思わぬポロを出してしまった・・・? ■電波少女 42・43合併号 08/10/06発行 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━小説募集要項━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 週刊フィロスでは、掲載する連載小説及び読み切りを募集しております。み なさんの小説を待っています!この機に、小説を書いてみませんか?どなたで も応募いただけます。 募集詳細:http://w7.oroti.com/~philos/gather.html 連絡は philos_edit@live.jp へ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━PhilosWikiについて━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 週刊フィロスに掲載された作品、およびその作者のデータをまとめてデータ ベースとした、PhilosWikiがオープンしました。 http://w7.oroti.com/~philos/wiki/ なお、週刊小説フィロスなど、フィロスの姉妹プロジェクトに掲載された作 品も紹介しています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━このメルマガについて━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 週刊フィロスは、メールで送られてきた投稿小説を週刊で掲載するメルマガ です。フィロスは、ギリシャ語で「友達」(philos)という意味です。毎週月 曜日発行です。 このメルマガの購読解除は、以下のURLよりお願いします。 http://www.mag2.com/m/0000269815.html 公式サイト:http://w7.oroti.com/~philos/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


