2008/07/08
創刊号
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ┃ クラリネットフェスティバル2008 in 東京:多摩 ┃ ┃ メールマガジン 創刊号(2008.7.8発行) ┃ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ あの感動を再び… 空前の大成功を収めた、あの国際クラリネットフェスト2005から3年。 2008年8月29日〜31日の間、パルテノン多摩に興奮が帰ってきます! 『クラリネットフェスティバル2008 in 東京:多摩』 このメールマガジンでは、イベント最新情報や、出演アーティストに関する情 報を配信します。 このイベントに御来場予定の方、参加される方、全ての人に有用な情報が満載 です。 『クラリネットフェスティバル2008 in 東京:多摩』の最新情報を随時更新 中! URLはこちら! http://2008.jp-clarinet.org/ 【本日のピックアップ】 Jozsef Balogh氏(8月29日(金)17時30分〜リサイタル出演) クラリネット奏者、作曲家、教育者であり評価の高いインタークラリネットア ンサンブルのメンバーである。 J.バローグはブタペストのフランツ・リストアカデミーを卒業し、ブタペスト オペラ管弦楽団、ハンガリー・ラジオ交響楽団などで首席奏者として活躍して きた。 クラリネットばかりでなくサクソフォーン、ハンガリーの伝統楽器「タロガ ト」も演奏し、ドイツシステムとフランスシステムを同じように流暢に演奏す る。 クラシック、ジャズ、現代音楽、クレズマー、ジプシーなどそのレパートリー はジャンルを問わない。彼のユニークな作品や即興はハンガリーと中東音楽の 影響が融合させた、非常に個性的なスタイルを創造する。 プラーグ、グラーツやブタペストなどの国際コンクールで受賞し、世界中のク ラリネット・フェスト、カンファレンやコンヴェンションで演奏し人々を魅了 してきた。 リサイタルを数々開催し、ヨーロッパやアメリカなどで多くのマスタークラス を開いている。 アメリカ(オクラホマ大学、テキサス、アイダホ大学)やドイツ(ニュルンベ ルク、アウグスブルクの音楽学校)の大学の客員教授を務めた。 ナクソスのレーベルでたくさんのレコーディングを行い、インタークラリネッ トアンサンブルの彼の作品の2枚のCD、モーツァルト、ブラームス、バルトー ク、ヴァイナー、コダーイなどを録音している。 魅力的なプログラムやユー モアを交えた演奏、ダイナミックなヴァイタリティーとヴィルトーゾの音楽家 として注目を集めている。 偉大な音楽と彼の芸術家としての手腕をステージに活かしてコンサートシーン の新しいドアーを開いている。 子供音楽の演劇のための作品やサクソフォーンとタロガトのための作品がある。 また、ハガダ・クレズマーシンフォニー「4個のワイングラス」は2004年に初 演された。 2007年秋オクラホマ大学の客員教授を務める。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 彼の音との出会いは、もう十数年前だろうか。 ふと店頭で手に取ったNAXOSのCD。 曲はモーツァルトの五重奏と四重奏。 正直、あまり期待はしていなかったのだが、その音に触れた途端・・・ なんて美しい音なんだ!! 激しく嬉しい裏切りである。 ふくよかで透明な音色、なめらかに繋がるレガート、木の音が聴こえてくるよ うなスタッカート。 これみよがしではない闊達なテクニック、自然なフレージング。 どれを取っても私の理想に近いクラリネット奏者で、その日から私は彼の大フ ァンになった。 世界には、名を知られていなくても、素晴らしいプレイヤーがいるんだ。 彼の名は"Jozsef Balogh"(ヨーゼフ・バローグ)、ハンガリーのクラリネッ ト奏者である。 2005年夏。 あの熱狂の国際クラリネットフェスト初日だったと思う。 私はパルテノン多摩に到着した来日プレイヤーを楽屋にエスコートする係で、 憧れのプレイヤーの到着を、スターの出待ちをするミーハーな女子高生のよう な心境で待った。 堂々たる体躯、身の丈2メートル近くはあろうかと言う偉丈夫がロビーに現れ、 友人と思われる外国人と会話をしている。 会話が一段落した折に、勇気を出して話しかけた。 「バローグさんですか?」 「ああ、そうだが」 「私は日本クラリネット協会理事の小池 隆と申します。これから貴方を楽屋 にご案内します。」 これから始まる本番に集中しようとしているのか、バローグ氏が難しい顔をし ていたのと、私の英会話能力に限界があったので、ロビーから楽屋までは殆ど 無言であった。 この後、バローグ氏のクレズマー音楽によるコンサートが待っていた。 バローグ氏は、モーツァルト、ブラームス等のクラシック音楽は勿論、ユダヤ の民族音楽であるクレズマーや、ハンガリーの民族音楽も得意とし、ジャズサ ックス奏者、作曲家、教育者としても幅広い活躍をしているマルチ音楽家であ る。 彼のファンである私は、舞台袖で演奏を堪能することにした。 バローグ氏は、巨体にクラリネット1本を携えてステージに現れた。 伴奏者はいない。 嵐のような即興演奏。 まさしく超絶技巧である。 鬱勃とした情感をたたえた音楽がホールいっぱいに広がる。 でも、あの美しい音色はそのまま。 幸せな時間だった。 パルテノン多摩の小ホールを埋めた聴衆も、なんかおかしくなっていて、まる でサッカー場みたいになっていた。 我々スタッフも袖で大騒ぎだ。 嬉しいオマケがあった。 この後に登場する、ドクトル梅津氏率いるバンド「こまっちゃクレズマ」との コラボレーションが急遽実現したのだ。 ドクトル梅津(梅津和時)氏は、知る人ぞ知る前衛ジャズミュージシャン。 クラリネット、サックスを縦横無尽に吹ききる変態ミュージシャンである。 私も大学時代、梅津氏も参加していた「生活向上委員会大管弦楽団」の演奏に シビレた記憶がある。 その梅津氏も近年は「こまっちゃクレズマ」でクレズマー音楽を盛んに演奏し ているのだ。 目撃者によるとバローグ氏と梅津氏は舞台袖で「1分間」だけ打ち合わせをし たらしい。 バローグ氏が一人で激しくアンコールを吹いている背後で、我々スタッフがあ わただしく「こまっちゃクレズマ」のセッティングをしていく。 セッティングが終了すると、バローグ氏のクラリネットに合わせて三々五々 「こまっちゃクレズマ」のメンバーが登場し、即興のセッションが始まる。 演奏は次第に熱を帯び、最後には狂乱の音楽に発展していく。 それに合わせて客席も舞台袖も、狂乱状態に陥り、クラリネットフェストの初 日から大興奮状態になった。 バローグ氏は数日後にも、急に来日できなくなったミラノスカラ座のメローニ 氏の枠で追加コンサートを行い、今度はハンガリー音楽で客席を大いに湧かせ た。 初日、私が楽屋にエスコートした時には難しい顔をしていたバローグ氏だが、 フェストが進むにつれ、人懐こい笑顔で挨拶を返してくれるようになった。 フェストもあと2日を残すのみとなった夜、出演者とスタッフ、関係企業で大 パーティを行った。 色々な演奏を聴き、色々な人と喋り、楽しい時間を過ごした最後に、私はバ ローグ氏に思い切って話しかけた。 「私は10数年前に貴方がNAXOSレーベルで録音したモーツァルトを聴いて貴方 のファンになりました」 私の英語力は悪魔がハラハラ落涙するほどひどいものなのだが、この時は何故 か立て板に水の如く自然に口をついて出た。 今、これと同じに言えと言っても絶対言えないw バローグ氏は私の目を見つめて聞いていたと思ったら、いきなり私を思い切り 抱きしめて、「そうか、俺のファンだったか。ありがとう、嬉しいよ」と満面 の笑顔で応えてくれた。 そのパーティの後、今や伝説となっている多摩センター駅前の「魚民」での多 国籍2次会。 なんと私はバローグ氏の愛器を吹かせてもらう機会があった。 宴会の途中で、いきなりバローグ氏が楽器を取り出して即興演奏を始め、その 楽器がどんどんリレーされて吹き回し状態になった。 楽器はバローグ氏→ヴェンツェル・フックス氏(ベルリンフィル首席)→チ ャールズ・ナイディック氏(ジュリアード音楽院教授)→大島文子氏(ナイデ ィック氏夫人、ジュリアード音楽院講師)と回って、次に大島さんの前で飲ん でいた私に回って来たのだ。 手に取った楽器は、フランク・ハンマーシュミット。レフォルムド・べームシ ステムである。 パラパラとウォームアップのような音型を吹いただけだったが、なんて滑らか な音のする、そして吹きやすい楽器だろう。 NAXOSの音源を聴いた時から疑問に思っていたことが氷解した。 バローグ氏の楽器はべームなんだろうか、エーラーなんだろうか・・・ そうか、あの音は、この楽器とあの体躯から生まれてくるのか・・・。 その後、バローグ氏の楽器は色々な所で吹かれ、フィリップ・キュペール氏 (パリオペラ座)、クロード・フォーコンプレ氏(フランス国立リル管)も茶 目っ気たっぷりの演奏をしてくれた。 いよいよフェスト最終日。 ロビーではもうすぐ離日する演奏家達が、お互いに挨拶をしている。 バローグ氏も同じように挨拶回りをしていたが、私を見つけると、また思い切 りハグをしてきて、「お前、ハンガリーに来ることがあったら、絶対俺のとこ ろに来いよ」と言って、名刺を渡してくれた。 例えお世辞でも、長年のファンにとっては夢のような言葉である。 名刺は、例のモーツァルトのCDジャケットに入れて大切にしてある。 あれから3年。 この夏の『クラリネットフェスティバル2008 in 東京:多摩』で再びバローグ 氏がやってくる。 またあの音に会えると思うと本当にワクワクしてくる。 クラフェスでバローグ氏の演奏を聴き逃したら、一生後悔しますよ!! 小池 隆(日本クラリネット協会理事) ================================================================== 【発 行】日本クラリネット協会 クラリネットフェスティバル2008 in 東京:多摩実行委員会 [ http://2008.jp-clarinet.org/ ] 【編集者】小池 隆、香取 明子 [ mailmag@2008.jp-clarinet.org ] 本誌へのご意見、ご質問、苦情等は編集者までメールでお願いします。 このメールマガジンは、『まぐまぐ』を利用して発行しています。 http://www.mag2.com/


