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鳥取県西部に伝わる再生神話をもとに古代都市国家成立の小説、“スサノヲ”を配信します。

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2009/11/04

古代都市国家成立物語"スサノヲ"

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□●●○●●●  古代都市国家成立物語"スサノヲ"
□●●●●●●              作:荒人
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◆◆あらすじ◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
紀元百年頃、フツを頭とするモンゴル系鉄造りの民が、島根半島に漂着した。
その地は三代前に流れ着いた同胞のオロチ衆が、鉄と暴力で支配していた。
鉄造りの道を閉ざされたフツ達は、銅・錫・鉛を発見したことにより、
青銅造りとして生きる場を与えられる。
息子のフツシは、明日に希望の持てない現状を打破しようと、戦いの準備を始める・・・
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  第十二章 谷間 五
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日が昇ってしばらくたってから、九組百十七人と女は砦を出た。
前日とは違い、全兵士が躰半分を隠す盾を持っていた。
その時、谷の入口の茂みに、オモリと手下の姿があった。
二人は人数を確認し、全組が砦を出たのを見届けると姿を消した。

「頭(かしら)、奴らは盾を用意した。全員が持ってるぞ」
 入口から少し入った尾根に陣取るフツシに、オモリが伝えた。
「もう気付かれたか・・・昨日仕掛けておいてよかったな。女も一緒だな?」
 オモリは頷いた。
「奴らは、俺達は入口からは二時間ばかり奧に逃げ込んだと考えているはずだ。
ということは、女を捕らえておいた所までの警戒は甘い・・・ツギル、計画通りで行くか?」
 フツシはツギルに問いかけた。
「計画では盾が無いと想定していたから、三十人以上を殺れると考えていたよな・・・・
盾で防がれれば倒せる人数が減る。今日どれだけ殺れるかで、明日からの戦いが有利にもなれば不利にもなる・・・」
ツギルは考え込んだ。するとアスキが言葉を挟んだ。
「あれだけの人数が谷を進めば、縦長になる。女を捕らえておいた場所までは警戒が甘いのだから、
一番うしろの連中を背後から狙い射ちにすれば三十六人は殺れるぞ」
「それは考えた・・・だが、残りの連中が盾を構えて一斉に向かってきたら、どう逃げるのだ。
谷を出れば俺達は全滅する。尾根に逃げても大きな被害が出る」
 ツギルはアスキの顔を見た。
「そうか・・・逃げ道がないか」
 アスキは素直に納得した。
するとツギルが、迷いから覚めた風にフツシを見た。
「俺達が逃げる事が出来るのは奧しかない。頭、女を捕らえておいた場所より谷の入口側の斜面で待ち伏せし、先頭の組を殺ろう。
一矢だけ射って奧に逃げ込む。奴らは矢が飛んできた斜面に向かうはずだ。しばらくの間は次の攻撃を警戒して進まないだろうから、
捕まる心配はない。今日の攻撃はそれだけにして、奴らがどう動くか見よう。全員が急所を外さなければ三十六人倒せる」
フツシ達は、結論が出れば行動は素早い。
オロチ衆の先頭が谷に入る頃には、配置についていた。

 オロチ衆は先頭に女を歩かせ、無造作に谷に入った。
前日偵察隊が広く展開したあたりから流れは狭くなっており、流れの左に一人が歩ける程度の踏み分け道ができている。
兵士達は、一人ずつ縦に歩くしかない。
女は大勢の兵士がいることに安心してか、軽い足取りで、少し前を歩いている。
女達を捕らえていた場所は、道の左の斜面を少し登った木立の中だった。
その登り口は、流れの中の大きな岩が目印となってた。
女の目にその大岩が見えた。
女は、近づいたことを告げようと振り返った。
その目に映ったのは、兵士の耳の辺りに突き刺さる矢だった。
矢を受けた兵士は、声を上げる事もなく倒れ込んだ。
女は目を見開き息を飲んだ。
何か言おうと思ったが声にはならず、腰から崩れ落ちた。

 先頭から六番目を歩いていた兵士が木の根につまずき、前屈みになっていた。
身を起こした時、前を行く兵士の右こめかみに、矢が刺さっているのを目にした。
右を見た。
流れの向こうの斜面から、頭を毛皮で覆った緑と赤の異様な顔が凝視していた。
兵士はとっさに盾で顔を覆い、地面に突っ伏した。

 三十七番目を行く兵士は、足元を見て歩いていた。
突然、前の者が上半身から、右の流れに倒れ込んだ。
驚いてその姿を追うと、左の耳に矢が突き刺さっていた。
慌てて流れにしゃがみ込み、盾を左斜面に向けた。
後から声が聞こえたが、何を言われたのか分からなかった。

□次号へつづく



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