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鳥取県西部に伝わる再生神話をもとに古代都市国家成立の小説、“スサノヲ”を配信します。

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2009/08/12

古代都市国家成立物語"スサノヲ"

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□●●○●●●  古代都市国家成立物語"スサノヲ"
□●●●●●●              作:荒人
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◆◆あらすじ◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
紀元百年頃、フツを頭とするモンゴル系鉄造りの民が、島根半島に漂着した。
その地は三代前に流れ着いた同胞のオロチ衆が、鉄と暴力で支配していた。
鉄造りの道を閉ざされたフツ達は、銅・錫・鉛を発見したことにより、
青銅造りとして生きる場を与えられる。
息子のフツシは、明日に希望の持てない現状を打破しようと、戦いの準備を始める・・・
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  第九章 策謀 十二
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「そうですね。実は第一撃に、スサとヒノボリの衆の手を借ります。
この時は、短時間に事を進めなければならず、どう計算しても我々の手だけでは間に合わないのです。
スサの衆には、待ち伏せと奇襲で五十人、ヒノボリの衆には、待ち伏せで三十人を引き受けてもらうことになっています」
「なるほど・・・スサとヒノボリは、毒を食らうと、腹を決めたのじゃな」
 タリの長はサタとキスキの顔を見た。
「儂らが手を貸す必要はないのか?」
 クヒスの長が尋ねた。
「本当はお借りしたい。だが先ほども言いました通り、万一のことを考えれば俺達一族の全滅だけで終わらせたい」
「しかし儂ら森の者は、弓矢ではお前さん達より上であろう。それに射手の数が多ければ多いほど有利であろうが」
 クヒスの長が畳みかけた。
「確かに言われる通りです。しかし的は獣ではなく、武器を持った大勢の人間。
思わぬ所から現れて接近戦となれば、弓矢では戦えません。それにこちらが弓での攻撃しかできないと知れば、盾を使います」

「皆の衆、フツシは接近戦の訓練もしておる。儂はこの目で確かめた。数は少ないが精鋭
に育っておる。それに鏃《やじり》も人殺し用に工夫してあってな、これには儂らが知恵を貸したが、
距離に応じて使い分けるように準備しておる。それと、これが一番じゃが・・・全員が、人殺しをする覚悟を決めておる。
中途半端な覚悟の者が手を貸しても、かえって足手まといになる恐れもある。
ここはフツシのやり易いようにしてやるということでどうじゃ」
 サタが長達一人一人を確認するように言った。
「サタの言う通りじゃ。儂は既に命をかけておる。いずれニタやヨコタも、横流しの疑いの目で見られる。
ヨコタの山には南東の民が直接出入りしておるとの噂がある。横流しの有り無しに関係なく、
その噂がオロチ衆の耳に入れば、長の命はない。儂ら山の者はフツシに賭ける」
タナブが、森の長達を見回した。
これを受け、タリの長が言った。
「状況はよく分かった・・・儂もフツシに賭けよう。テング、ナクリ、クヒスの長もその気のようだが、アビレの長はどうじゃ」
「よかろう、儂の森も賭けよう。じゃがフツシ、ひとつ約束してくれ。どうしても手が必要になった時には儂らに声をかけろ。
どの森にも何人かの命知らずがおる。これだけの森に声をかければ、十人や二十人はすぐに集まる。
負けて困るのはお前達だけではない」
 言いながら、アビレの長はフツシを見た。
「分かりました。俺達の手が足りなくなった時には、それを伝えに行くこともできなくなるはずです。
そうなると思われる場所は、グルカ砦から北東の谷。常に戦況を見ていて下さい。
手を貸せば俺達が勝てる状況と見えたら、手を貸して下さい。手を貸しても無理だと見えたら、見殺しにして下さい」
 日が傾き、西の山並みを覆う雲を黄金色に染め始めた。
十二人はその光に向かって結束を誓い、フツシの勝利を祈願した。

□次号へつづく



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