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誰よりも中国を知る男が、日本人のために伝える中国人考。来日20年。満を持して日本に帰化した石平(せきへい)が、日本人が、知っているようで本当は知らない中国の真相に迫る。

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2009/12/16

石平(せきへい)のチャイナウォッチ No.078号

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2009.12.16 No.078号
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~誰よりも中国を知る男が、日本人のために伝える中国人考~

石平(せきへい)のチャイナウォッチ【【緊急アピール号】】

http://www.seki-hei.com
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  ■ 「蝸牛の家」の「房奴」たちの運命 ■
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中国で放映中の『蝸居(カタツムリの家)』という連続ドラマが今、
爆発的な人気を博している。

上海に住む大卒のサラリーマン夫婦は、
双方の両親から借金して念願のマイホームを手に入れた後、
毎月6千元(約9万円)の住宅ローン返済のために節約に励み、
多くの辛酸をなめ、やがて生活の重圧に押しつぶされていく物語である。

それが全国で大きな反響を呼んだのは、
今の中国で主人公と同じような生活体験を共有している人々が多くいるからである。

数年前から「房奴(住宅の奴隷)」と呼ばれるようになった人々のことだが、
彼らは借金までして頭金を払ってマンションを買い、それからの数十年間、
夫婦2人の収入の3分の1から
半分に相当する金額の「地獄ローン」を払い続ける羽目になっている。

彼らのことを取り上げた2009年9月4日付の『経済参考報』記事によると、
「房奴」となった人々は今、「外食も旅行も娯楽も極力控えて子供を産むこともできない。
会社を首にされたらどうなるか、給料が減らされたらどうなるかと心配しながら仕事に精を出し、
病気になっても会社を休めない」という惨めな生活状況であるという。

「房奴」が生まれた背景には、5、6年間も続いた不動産価格の暴騰がある。
たとえば北京の場合、03年の段階では市中心部の分譲マンション価格は
4千元/1平方メートルだったが、現在ではそれがすでに「3万元台」に突入したと、
上述の『経済参考報』記事が伝えている。

北京政府が発表した北京市民の08年度の1人当たり可処分所得は
2万4725元だったから、09年度のそれもそう大きく変わらないだろうが、
市民一人の正味年収はマンションの1平方メートルも買えないという異常事態が生じている。

上海の場合、09年8月7日付の地元紙の『新聞晩報』が、
住宅購入のための上海市民の負担はパリ市民の11倍であると伝えている。
実際、上海の浦東地区中心部の不動産価格は東京都心のそれを上回っているケースもある。

不動産価格の暴騰はもちろん、今までの高度成長を支えてきた主な要素の一つである。
不動産が高く売れれば、建築業や鉄鋼・セメント・内装・広告など
多くの産業がいっせいに繁栄してくるからだ。
国務院発展研究センターマクロ経済研究部長の余斌氏が最近、
「不動産業は中国経済の命脈となっている」と語ったのもその故であろう。

しかしその結果、全国で「房奴」が大量に生み出されたことは、
中国にとって、大変深刻な問題の発生を意味する。

経済の面からすれば、内需の拡大こそが今後の経済成長の決め手となるはずだが、
消費力が大いに期待されている中産階級の多くが生活難の「房奴」となったことは、
内需拡大の足かせとなるのだ。
つまり、不動産バブルによって作り出された今までの「繁栄」は逆に、
未来における成長の持続性を奪ってしまう。

そして社会問題の面から見れば、本来、健全な中産階級の拡大が社会安定の基盤となるが、
高所得層の人々でさえ法外な住宅ローンにあえぐ状況下では、中産階級が育ちそうもない。

そしてもし、今のバブルが崩壊してしまう場合、
不動産価格の急落に伴って全国の「房奴」たちは資産の大きな部分を失ってからも
高いローンだけを払い続けなければならないから、
いわば「中産階級の破産」は大量に起きるのであろう。

そうなると、中国社会はまた、もう一つの不安定要素を抱えることになるのである。

( 石 平 )

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