2009/10/05
石平(せきへい)のチャイナウォッチ No.067号
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 2009.10.05 No.067号 ╋■╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋ ~誰よりも中国を知る男が、日本人のために伝える中国人考~ 石平(せきへい)のチャイナウォッチ http://www.seki-hei.com ╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋ =★==========================================================★= ■ 建国60周年「祭典」にみる権力闘争の暗影 ■ =★==========================================================★= 10月1日前後で行われた中国建国60周年の一連の記念行事の中で、 一番目立ったのはやはり、江沢民元総書記の驚くべき突出ぶりである。 江沢民は今から7年前の2002年に党の総書記職から退き、 翌年の春には国家主席のポストを任期満了で退任した。そして2003年に、 居座り続けた共産党軍事委員会主席の椅子を後任の胡錦濤に渡した。 それ以来、江沢民はまったく無位無官の一平党員として 引退生活に入っているはずである。 もちろん、「引退」したとは言っても、 江沢民はずっと隠然たる影響力をもっていることは党内外周知の事実だ。 党と軍の中枢部に根を下ろしている「江沢民派」の実質上のボスとして、 彼は党上層部の人事などの重要な意思決定にたいしては 依然として多大な影響力を及ぼしているようである。 たとえば、前回の党大会で習近平氏が上海市書記から 党内序列6位の党政治局常務委員に抜擢されたというサプライズ人事は、 まさに江沢民の意向を強く反映したものであると思われる。 つまり習近平は、江沢民の意向によって胡錦濤の後を継ぐ 党と国家の最高指導者候補の立場を手に入れた、というわけだが、 「キングメーカー」としての江沢民の力が見せつけられた一幕である。 しかしその一方、いっさいの公職から退いた後の江沢民は、 先代の「キングメーカー」であるトウ小平のやり方を倣って、 公の場面ではできるだけ顔を出さないことを常としている。 国家的「冠婚葬祭」の場には慣例にしたがって時々登場することもあったが、 それ以外、彼の目立った動きが表に出るようなことはめったにない。 その理由は二つがあると思う。 一つは、まったく無位無官の彼が表に出すぎるようなことは 逆に反感や反発を買う恐れがあること、 もう一つはやはり、自分がきちんと「キングメーカー」としての役割を 果たしているならば、あえて表向きに出る必要もなかった、ということである。 しかし、今回の建国60周年に際し、 江沢民はいつものやり方に反して突如頻繁に登場することとなった。 9月28日に北京市内で開催されている「建国60周年業績展示会」 を見学したのを皮切りに、9月29日には胡錦濤ら現役の指導者たちと並んで 「建国60周年歌謡・舞踊ショー」を観覧し、9月30日の晩、 中国国務院が内外の賓客を招いて催した公式晩餐会の席上にも、 「党と国家指導者」の一員として堂々と座っていた。 10月1日当日、江沢民の突出ぶりはよりいっそう人々の目を引いた。 午前十時から始まった軍事パレートと群衆パレートでは、彼はずっと、 天安門の上で現役の最高指導者である胡錦濤と肩を並べて軍や群衆の行進を眺めていた。 それでも満足しなかった彼は、当日の夜に天安門広場で開かれた花火大会では、 それもまた天安門の上で胡錦濤と同じテープルに座って花火を楽しんでいた。 このようにして、10月1日前後に開かれた一連の国家的行事は、 胡錦濤の出席するものは江沢民は必ず出席し、胡錦濤の出る場面は 江沢民は必ずその隣にいた、ということとなった。 それは明らかに、慣例と儀礼上の必要性をはるかに超 えたところの政治的行動であるが、あたかも今の中国には 二人の「主席閣下」が存在しているかのように錯覚させるような光景であった。 それは胡錦濤にとってあまりにも不本意な場面であるとは言うまでもない。 せっかく自分が最高指導者としてこの世紀の大祝典の中心に立って 全国と世界の注目を集めることが出来たのに、「胡錦濤の時代」の到来を 内外に印象づける絶好な機会だったのに、隣には先代の「皇帝様」が常に立っていて その存在感と影響力を顕示していては、 現役の主席としての威光もメンツもあったものではない。 江沢民の執拗な登場によって、 胡錦濤にとっての世紀の祭典はまったくの台無しになったと言って良い。 翌日の10月2日付の人民日報もまたもや人々の目を驚かせた。 人民日報の一面には何と、胡錦濤が天安門からパレート行進を眺めた時の写真と並んで、 それとまったく同じサイズと同じ場面での江沢民の写真が掲載された。 片っぽは現役の共産党総書記と国家主席、片っぽは無位無官の一平党員、 二人の写真は同列に並んで人民日報の一面を覆うこの場面が、江沢民は 依然として隠然たる影響力をもっていることと、胡錦濤は依然として 江沢民の影響下から脱出しきれていないことを全国人民に印象づける結果となった。 もちろんこのような結果こそは、江沢民の思惑通りのものであろう。 彼はまさに自らの存在感の誇示と、胡錦濤の威光の相殺のために頻繁にかつ執拗に 胡錦濤と肩を並べて建国60周年の関連行事に登場してきたのではないかと思われるからだ。 問題は、この数年間でずっと政治の舞台の背後に隠されている江沢民が、 どうして急に上述の政治行動をとるようになったのか、であるが、それはおそらく、 後三年後に迫ってくる「ポスト胡錦濤」の行方とは関連性があると思う。 冒頭に記述したように、前回の党大会では、 江沢民の支持を受けた習近平は党内序列六位の政治局常務委員に抜擢され、 ポスト胡錦濤の総書記職を受け継ぐポジションとなった。 そして中国共産党の権力委譲の慣例として、 彼は去る9月18日に閉幕した共産党第17期中央委員会第4回総会では 中央軍事委員会副主席に選出される予定のはずだったが、 しかし結果的には、まったく理由が不明のままで習近平の軍事委員会副主席選出はなかった。 つまり、習近平を胡錦濤の後を継がせるという 「キングメーカー」江沢民の計画が阻害されてしまったことになったが、 その阻害に働いた張本人は当の胡錦濤総書記である可能性が大であろう。 要するに胡錦濤は江沢民の推した習近平ではなく、 自らの共産党青年団派の子飼い幹部を後継者に据えるつもりであろうが、 そのために、胡錦濤は実質上、自らの後継者問題をめぐって江沢民一派と対立関係になった。 言ってみれば、ポスト胡錦濤をめぐる共産党党内の権力闘争は、 すでに火蓋を切って落とされたわけである。 建国60周年の関連行事にみられた江沢民の露骨な存在感誇示は、 まさにこのような政治的背景があってのことであろう。 習近平を推す自らの政治計画が抵抗されたからこそ、胡錦濤との戦いがすでに始まったからこそ、 彼は何振り構わずのやり方で自らの影響力のほどを内外に誇示して、 胡錦濤が依然として自分の影に生きていることを人々に印象づける必要があったからである。 ポスト胡錦濤をめぐる中国共産党党内の権力闘争は今後どのような結末を迎えるのか、 それは中国の政治・情勢にどのような影響を及ぼすのかは、 まさにこれからの「見どころ」であるが、「ドラマ」はすでに始まったわけである。 ( 石 平 ) □PR■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□ ■□■「渡部昇一の昭和史 松本清張と私」全3巻CDセット □■ □■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■□ TVや雑誌で見る著名な評論家や知識人と言われる人の発言でも、 「なぜか薄っぺらな気がする」 と違和感を感じたことはありませんか? それは「歴史認識やそこからくる哲学がないから」 と思った場合ではないでしょうか? 祖先に対する尊敬の念だけでなく、 歴史に対する正確な知識や見解なくして 哲学のある意見だとは言えません。 昭和の文豪と呼ばれた、松本清張。 彼は膨大な資料を調べ上げ、 見事なまでに詳細にドラマを構築し、 昭和の闇に迫るミステリーを多く残しました。 しかし、そんな松本清張でも 残念ながら昭和史の理解不足、取り違いを多く犯しています。 著作をすべて初版で読んできたという、 松本清張ファンである渡部昇一が、 松本清張に対する違和感を解明します。 清張はじめ、近年の評論家や知識人の多くが取り違えた 昭和史観の項目に迫ります。 「ここがわからないと、昭和史がわかりません。」 このCDでは、そんなポイントをあげて、渡部昇一が語ります。 猪木正道氏はじめ、近年では保坂、半藤氏らはじめ、 昭和の論壇をつくってきた先生方でも取り違えてきた 昭和史のねじれを学びましょう。 このCDを買っても意味のない人がいます。 * 共産党員の方は聞き込むことができないでしょう。 * 社会主義を信望したい人にも不向きでしょう。 * 日本を外国に攻め込んでもらったりして欲しい と思っていると絶えられないでしょう。 上記の人には全く不向きですが、 日本人としての誇りを感じて生きて行きたい とお考えの方は、安心してください。 お申込みはこちらからどうぞ! ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 『渡部昇一の昭和史 松本清張と私』 http://www.watanabe-shoichi.com/sw3cd.html □■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□ ■□■ □■□■ □◆長谷川慶太郎『断末魔の北朝鮮!CD』のご案内です◆□■□■ 各国からの圧力を無視して、北朝鮮は核実験をつづけています。 その、北朝鮮の目的は?北朝鮮は崩壊するのか? 崩壊するならどんな形になるのか?その場合日本はどうなるのか? 朝鮮半島のパワーバランスはどうなるか? その時、アメリカはどう動くか?中国はどう動くか? 韓国は北朝鮮崩壊にむけてどんな準備をしているのか? 末期的になってきた北朝鮮の状況を説明する、 学者や評論家は少ないと思いませんか? 心もとない解説を捨て、長谷川分析を聞いてみませんか? 韓国経済がダメージを受けると、日本はどうなるでしょうか? 大きな転換期を迎えています。 すぐそこにある危機について心構え、準備が必要だと思う人は ここをクリック↓↓ http://www.hasegawa-report.com/pro/ ━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━ ◆◆ 石平(せきへい)のチャイナウォッチ ◆ ◆ 発行者へのご意見:http://www.seki-hei.com/contact/ ◆ このメールマガジンは、「まぐまぐ」を利用して配信されています。 ◆ このメールマガジンの友人、知人等への転送は自由です。 ◆ ただし、ヘッダ・フッタ付きで転送してください。 ◆ 配信停止は、http://archive.mag2.com/0000267856/index.htmlからできます。 ━…━…━…━…━…━…━…━…━ http://www.seki-hei.com/ ━…━


