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誰よりも中国を知る男が、日本人のために伝える中国人考。来日20年。満を持して日本に帰化した石平(せきへい)が、日本人が、知っているようで本当は知らない中国の真相に迫る。

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2009/08/17

石平(せきへい)のチャイナウォッチ No.057号

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2009.08.17 No.057号
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~誰よりも中国を知る男が、日本人のために伝える中国人考~

石平(せきへい)のチャイナウォッチ

http://www.seki-hei.com
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中国“経済回復”の実態
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7月16日、中国国家統計局は、
2009年上半期(1~6月)の国内総生産(GDP)は前年同期比で
7・1%増と発表した。それに先立って、6月あたりからは
株価の大幅上昇や不動産市場の回復などの「明るい兆し」も見られた。

このような状況を受け、
「中国経済は内需拡大へのシフトにより金融危機からいち早く脱出した」
との論調も出ているが、実態は果たしてそうであったのか。
同じ日に国家統計局が発表したもう一つの数字を見てみよう。

09年上半期の消費者物価指数(CPI)は前年同期比で1・1%減となった。
しかも、6月のそれは1・7%減であるから、
低下の幅がさらに広がっていることが分かる。

つまり、「消費=内需」に関していえば、
全体はむしろ縮小傾向であることは明らかである。

それでは、「7・1%」の成長率は一体どうやって達成されたものなのか。

国家統計局発表のもう一つの数字を見てみると、
同じ09年上半期、中国国内で行われた新規融資の総額は
7・4兆元(約105兆円)にも達したという。

「7・4兆元」とはどういう概念なのか。
08年度の上半期、中国国内で行われた新規融資額は2・5兆元だったから、
今年上半期の新規融資総額は、前年同期比では実に196%増である。

つまり、今年上半期の経済成長率は前年同期比で7・1%であるのに対して、
経済活動に投入される資金の伸び率だけは約3倍の急増となっている。

それはまさしく、「集中豪雨式」の放漫融資以外の何ものでもないが、
「成長率7・1%達成」の実態はそれでよく分かるのではないか。

要するに、それだけの貨幣が経済活動に集中的に投入された結果、
(貨幣で計算される)それだけのGDPが達成された、
ということなのである。

さらに問題となっているのは、放漫融資で賄われた莫大(ばくだい)な資金は
一体どの経済部門に投入されたのかである。
6月30日付の『南方日報』は、国務院発展研究センター・マクロ経済研究部の
副部長である魏加寧氏のインタビュー記事を掲載した。

その中で魏氏は、今年の上半期において、中国の各銀行の行った新規融資のうち、
その2割程度は実は株市場に、3割程度は不動産市場に流れたと語った。

冒頭から記している株価上昇と不動産市場回復の謎はそれで解けたのであろう。
何のことはない。莫大な新規融資が株や不動産の投機に流れてきた結果、
2つの市場はあたかもカンフル剤の注射を受けたかのごとく、
一時的な回復の傾向を見せたのである。


そしてそれは当然、経済成長率を持ち上げる大きな要素ともなっている。

しかし、肝心の実体経済は一体どうなっているのだろうか。
去る6月26日に放映された中国中央テレビ(CCTV)の経済番組
「経済半小時」では、中国社会科学院中小企業研究センターの陳乃醒研究員は
社会科学院の調査結果として、中国にある4200万社以上の中小企業のうち
40%がすでに倒産、40%が倒産の危機に面している現状を紹介した。
資金繰りに行き詰まり経営危機に陥るケースがほとんどであるという。 

中国の中小企業は国内総生産の60%を占め、税収の50%に貢献しているから、
中小企業の危機はすなわち中国経済全体の危機であると言ってよい。

このような厳しい現状を前にして、
中国経済は「金融危機から脱出した」との見方は、まだまだ早いのではないか。


( 石 平 )



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