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誰よりも中国を知る男が、日本人のために伝える中国人考。来日20年。満を持して日本に帰化した石平(せきへい)が、日本人が、知っているようで本当は知らない中国の真相に迫る。

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2009/08/03

石平(せきへい)のチャイナウォッチ No.056号

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2009.08.03 No.056号
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~誰よりも中国を知る男が、日本人のために伝える中国人考~

石平(せきへい)のチャイナウォッチ

http://www.seki-hei.com
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見えてきた中国の戦略的アキレス腱
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去る7月8日、中国の胡錦濤国家主席がイタリアでのサミットを
ドタキャンして急遽帰国したことについて、筆者の私も産經新聞紙上と
自分のメルマガで理由の分析を試みたが、実はやく一が月が経った今でも、
その詳細な理由は依然として謎のままである。

唯一言えることは、新疆での暴動事件への対応のために、
中国の国家元首としての胡錦濤は、中国の存在感の顕示に絶好な機会である
サミットへの参加を断念して家路に着かなければならなかった、
ということである。

そのことは逆に、新疆での出来事は、
北京政府にとって大変な危機であったことを物語っている。
実は去年の2008年、北京は同じような危機を経験していた。
チベットでの暴動事件である。

そのために、中国政府が自国のアピールのために画策した
世界規模の「聖火リレー」は至るところでボイコットの嵐に遭遇し、
北京五輪の開催すら危うくなった事態が起きたのである。

連続二年で起きたこの二つの危機は、チベット人とウイグル人にたいして
50年か60年にわたって実施されてきた植民地化政策は、
完全に失敗に終わったことを意味している。

半世紀以上にわたって相手の民族に対する同化政策をやっていても、
相手が依然として不服として反抗を試みたのであれば、
北京の「民族政策」はすでに破綻したというしかない。

そして、植民地化政策の失敗は、北京政府に大きな難題を
もたらしてくるのである。要するに北京政府はこれからは長期的に、
チベット人とウイグル人の集団的反抗及びその独立運動の広がりに
直面していかなければならない、という立場になるからである。

現在の中華人民共和国の「領土」を示す地図を開ければ、
北京政府にとってのこの問題の深刻さが一目瞭然であろう。

チベットと新疆という二つの広大な地域は、ちょうど中国の背骨を支える
「戦略的大後方」としての位置づけである。したがって、
この二つの地域で民族の反乱と独立運動が広がることは、
まさに中華人民共和国の屋台骨を揺さぶる深刻な大打撃だ。

そのことは勿論、日本にとって大変有利である。

というのも、日本にとっての最大の脅威は、
まさに東シナ海や台湾海峡に向かっての中国の進撃と覇権の拡大であるが、
西の方の、中国の後方に起きてくるチベットやウイグルの反乱は
結果的に、中国の海進出戦略にたいする大きな牽制となるからである。

陸地の奥のチベット人とウイグル人の独立運動が広がれば広がるほど、
反乱の機運が高まれれば高まるほど、中国の「海進出戦略」が狂ってくる
のであろう。そしてその分だけ、日本の周辺の海は安全になるのである。

そういう意味では、日本は国家の戦略として、
チベット人とウイグル人の独立運動を大いに支援していくべくであろう。

つまり、「自由と繁栄の弧」を中国の後ろに伸ばしていけば、
この巨大帝国を四面から包囲して封じ込めることもできるわけである。

残念ながら、今のわが日本国政府にはこのような戦略を考案して実施する
意志も能力もないだろうと思うが、「友愛外交」の鳩山政権が出来ていれば、状況はますます絶望的になるとしか思えない。

時には、「日本の戦略」とかを真剣に論じる自分たちの方は
一種の空しさを感じざるを得ないのである。

( 石 平 )



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