2009/07/22
石平(せきへい)のチャイナウォッチ No.055号
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 2009.07.22 No.055号 ╋■╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋ ~誰よりも中国を知る男が、日本人のために伝える中国人考~ 石平(せきへい)のチャイナウォッチ http://www.seki-hei.com ╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋ =★==========================================================★= 中国における「世論」の誕生 =★==========================================================★= 2日掲載の本欄で中国における暴動の多発を取り上げたところ、 数日後に新疆で大規模な暴動が発生した。 やはり筆者の予測通り、中国はこれから、 大変不安定な「多事の秋」に突入していくのか。 実は今の中国では、暴動とは別の形の「反乱」も静かに進んでいる。 政治権力の横暴や抑圧にたいするネット上の反抗である。 今年の6月、中国工業情報部は 「緑●・花季護航」という名のフィルタリングソフトを、 7月1日から国内で販売されるすべてのパソコンへ、搭載を義務づけた。 しかし全国のネットユーザーたちは、 それがネット情報の検閲につながるのではないかと危惧して、 自発的な批判キャンペーンをネット上で展開した。 そうすると、義務化前日の6月30日、中国政府は突如、 「緑●・花季護航」導入の延期を発表した。 暴動を起こした南康市民の場合と同様、中国のネットユーザーたちも 政府をねじ伏せて自らの権利を守るのに成功したのである。 中国では、ネットユーザーのことを「網民」と呼ぶが、 今回の事件は、まさに「網民の勝利」として歴史に刻まれるのであろう。 今年5月10日、湖北省巴東県野三関鎮のあるホテルで、22歳の女性従業員、 ▲玉嬌さんが洗濯をしていたところ、同鎮の政府幹部3人が売春婦と間違え、 彼女に紙幣をたたきつけながら性接待を要求した。 ▲さんが拒んでその場を去ろうとすると、幹部の1人が 出口をふさぎ接待を強要したため、▲さんが果物ナイフで彼を刺して死亡させた。 ▲さんは殺人容疑で逮捕されたが、事件が新聞で報道されると、 全国の「網民」たちはいっせいに▲さんの行為が「正当防衛」であると主張。 ▲さんを襲った幹部たちや▲さんを「精神不安定な危険犯罪者」として ベッドに縛り付けた地方公安に対する批判の嵐を巻き起こした。 その中で、▲さんはいつの間にか 「官の横暴にただ一人で立ち向かった女英雄」に奉られ、 「▲玉嬌事件」の性格は「権力に対する弱者の抵抗」 という図式で解釈されることになった。一時、中国のネットは、 「正義の女神」を擁して権力に盾突く「造反基地」と化した様相だ。 些細(ささい)なことが暴動の火種となりうるのと同様、刑事事件一つで 「官民対立」の構図が出来上がったところに、中国という国の「国情」がある。 そして今度もまた、「官」の方は折れた。 6月16日に下された地元法廷の1審判決は、 ▲さんの行為を「過剰防衛」と判定しながらも、彼女を即時に「無罪放免」にした。 地方幹部の1人が彼女の手で殺害されたことはれっきとした事実なのに 「官」は彼女のことをどうすることもできない。 「網民」たちの声に押されて不本意な「超法規的措置」をとってしまった。 それらの事例からも分かるように、今の中国では、 ネットという新しい言論空間を中心に、 政府の意図や官製メディアによる情報操作とは無関係に、 人々の本当の意見を反映できる自律的な「世論」が既に形成されている。 それは、政府の決定を覆したり法廷の判決に影響を与えたりするという、 現実の政治力を持ちはじめているのである。 ネットという大衆的発信手段が誕生する前、中国に「官論」があっても 「世論」が存在しなかったが、個人開設のブログ数が すでに1億6千万を超えた今、状況は決定的に異なっている。 良識と独自の判断力をもつ「ネット世論」の誕生は今後の中国に何をもたらすのか。 「楽しみ」はまさにこれからだ。 ●=土へんに霸 ▲=登におおざと ( 石 平 ) □PR■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□ ■□■「渡部昇一の昭和史 松本清張と私」全3巻CDセット □■ □■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■□ TVや雑誌で見る著名な評論家や知識人と言われる人の発言でも、 「なぜか薄っぺらな気がする」 と違和感を感じたことはありませんか? それは「歴史認識やそこからくる哲学がないから」 と思った場合ではないでしょうか? 祖先に対する尊敬の念だけでなく、 歴史に対する正確な知識や見解なくして 哲学のある意見だとは言えません。 昭和の文豪と呼ばれた、松本清張。 彼は膨大な資料を調べ上げ、 見事なまでに詳細にドラマを構築し、 昭和の闇に迫るミステリーを多く残しました。 しかし、そんな松本清張でも 残念ながら昭和史の理解不足、取り違いを多く犯しています。 著作をすべて初版で読んできたという、 松本清張ファンである渡部昇一が、 松本清張に対する違和感を解明します。 清張はじめ、近年の評論家や知識人の多くが取り違えた 昭和史観の項目に迫ります。 「ここがわからないと、昭和史がわかりません。」 このCDでは、そんなポイントをあげて、渡部昇一が語ります。 猪木正道氏はじめ、近年では保坂、半藤氏らはじめ、 昭和の論壇をつくってきた先生方でも取り違えてきた 昭和史のねじれを学びましょう。 このCDを買っても意味のない人がいます。 * 共産党員の方は聞き込むことができないでしょう。 * 社会主義を信望したい人にも不向きでしょう。 * 日本を外国に攻め込んでもらったりして欲しい と思っていると絶えられないでしょう。 上記の人には全く不向きですが、 日本人としての誇りを感じて生きて行きたい とお考えの方は、安心してください。 お申込みはこちらからどうぞ! ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 『渡部昇一の昭和史 松本清張と私』 http://www.watanabe-shoichi.com/sw3cd.html □PR■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□ ■□■クラウゼヴィッツ的に混迷の現代を見抜く方法~ □■ □■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■□ ■『戦略の格言』出版記念講演!■ ~クラウゼヴィッツ的に混迷の現代を見抜く方法~ コリン・グレイの主著『戦略の格言』の邦訳を記念して、 現代英米の軍事戦略、核戦略、RMA、戦略文化、そして地政学の考え方など、 英米を代表する現代の戦略家である原著者の思想とキーワード をわかりやすくまとめて説明。 混迷する世界情勢を見るリアリスト的な視点を紹介します。 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 当日は、まず著者であるグレイの経歴を簡単に紹介し、 「戦略家」(Strategist)という人間の位置づけ、そして、 そもそも「リアリズム」とはどういう理論と思想なのかを説明します。 後半ではグレイの個別の論点を紹介するわけですが、 まずはクラウゼヴィッツ主義者として どういう考え方を持っているのか、 そしてそのような見方からはどのような議論が行えるのかを、 実際にグレイが行って来た論争、 とくに「戦略文化」(strategic culture)のものを中心に解説します。 日本では一部の人々を除いてまだまだ紹介が遅れている 「戦略文化」という議題ですが、リアリズムの簡単な歴史を振り返りつつ、 それが現代の世界政治を見る視点として どのように役に立つのかを分析していきます。 最後には戦略学の最大の問題である「戦略とは何か」 という超根本的なところを論じます。 ------------------------------------------------------------ ■『戦略の格言』出版記念講演!■ ~クラウゼヴィッツ的に混迷の現代を見抜く方法~ 「 コリン・グレイの戦略思想 」 【日時】 2009年08月08日(土)13:30~16:00 (開場13:10) ※終了後、懇親会あり(2時間程度) 【会場】 大崎第一区民集会所 ★ 第6集会室 ★ 東京都品川区西五反田3-6-3 ※アクセス http://tinyurl.com/cqld3q ★ 今回の講演会は、会場の場所は前回と同一ですが、 部屋が前回とは異なり「第6集会室」となりますので、 ご確認の上で、お越し下さい。 ▼講演会一般参加(5,000円) ▼奥山真司講演会参加者優待価格(4,000円) ▼学生・女性優待価格(3,000円) 以下のURLがお申込みフォームとなります。 ↓ ↓ ↓ ↓ http://www.realist.jp/seminar/ ご検討をよろしくお願い致します。 ************************* 奥山真司講演会運営事務局 seikousenryaku@gmail.com ************************* ━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━…━ ◆◆ 石平(せきへい)のチャイナウォッチ ◆ ◆ 発行者へのご意見:http://www.seki-hei.com/contact/ ◆ このメールマガジンは、「まぐまぐ」を利用して配信されています。 ◆ このメールマガジンの友人、知人等への転送は自由です。 ◆ ただし、ヘッダ・フッタ付きで転送してください。 ◆ 配信停止は、http://archive.mag2.com/0000267856/index.htmlからできます。 ━…━…━…━…━…━…━…━…━ http://www.seki-hei.com/ ━…━


