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誰よりも中国を知る男が、日本人のために伝える中国人考。来日20年。満を持して日本に帰化した石平(せきへい)が、日本人が、知っているようで本当は知らない中国の真相に迫る。

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2009/07/12

石平(せきへい)のチャイナウォッチ No.053号

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2009.07.12 No.053号
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~誰よりも中国を知る男が、日本人のために伝える中国人考~

石平(せきへい)のチャイナウォッチ

http://www.seki-hei.com
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胡錦濤主席急遽帰国の原因分析
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中国外務省は8日、主要国首脳会議(ラクイラ・サミット)出席のため
イタリア訪問中の胡錦濤・中国国家主席が新疆ウイグル自治区での
大規模暴動への対応を優先させ、予定を切り上げて帰国すると発表した。

それは、サミットの出席と、ポルトガルへの公式訪問という二つの外交日程を
ドタキャンした上での緊急帰国だから、中華人民共和国の外交史上初めての
異常事態である。大国としてのメンツを何よりも重視する中国にとっては、
それはやむにやまない不本意な決断であるとは言えよう。

問題は、それほどの外交上の失態も覚悟の上で、
胡錦濤主席は至急帰国しなければならない理由は一体どこにあるのか、
である。

現在のところ、暴動自体は一応鎮圧されて沈静化に向かっている。
現地政府は外交メディアのウルムチ入りや取材を許可したのも、
情勢をコントロール下にあるとの自信の現れであろう。

しかも去年のチベット騒乱の場合とは違って、
外国政府や国際世論からはそれほどの批判が巻き起こった訳でもない。
中国政府の宣伝工作は一応功を奏しているところである。

にもかかわらず、国家主席の胡錦濤はサミットまでドタキャンして
至急帰国しなければならないのは一体何故か。
実際、彼の急遽帰国は逆に、新疆の暴動はけっして沈静化していないことを
内外に印象づける結果なり、逆に情勢を複雑化する恐れもあるから、
胡錦濤主席はこのようなリスクまで負って帰国する理由は一体何だろうか。

その際、考えられる可能性の一つは、
中国共産党最高指導部の中では新疆暴動への処理に当って
大きな意見の相違や対立が生じたことである。現に、今のところ、
新疆であれほどの大事件が起きたにもかかわらず、
中国の最高指導部である政治局常務委員の誰一人が表に出て発言していない。
最高指導部のいっせいの沈黙はその場合、指導部内部の意思統一が
また出来ていないことの証拠であると理解かることもできよう。

それなら、胡主席急遽帰国の理由も分からない訳でもない。

要するに、指導部の中で意見対立が生じてきてまとまらないから、
最高指導者である胡錦濤主席自身は至急北京に戻って
指導部の意思統一を計る必要が生じてくるのである。

もう一つの可能性として考えるのは、今回の新疆暴動にたいする
現地政府あるいは中央政府の処置は、必ずしも胡錦濤主席の方針に
即していない場合である。暴動が起きたのは7月5日だったが、
その時、胡錦濤主席は既に中国から離れて、
イタリアへ向かう航空機の中にいる。

そして6日の夜、中国の現地政府の発表によって、
今回の暴動は140名以上の死者を出した大規模なものであることが
国際社会に広く知られるようになったが、暴動の鎮圧から公式発表までの
政府側の取った一連の措置は、果たして胡錦濤主席自身が状況を
きちんと判断して支持したことの結果であるかどうか定かではない。

その場合、暴動発生後に政府の取った一連の措置は必ずしも十分に
胡錦濤主席の方針に即していない可能性が生じてくるのである。

つまり、現地政府や中央指導部の担当者(習近平である可能性は大であるが)が
独自に判断して行動した結果、その結果、事態が胡錦濤主席自身の
望まない方向へ展開しているので、主席は急遽帰国して自らの方針で
方向性を正して事態の収拾に乗り出す必要が生じてきた、
ということなのである。

いずれにしても、サミットをドタキャンして至急帰国したという
胡錦濤主席の異例な行動は、「新疆暴動事件」は
およそそのまま沈静化することなく、
むしろこれからより大きな波乱を呼んでくるのではないかと私が思うのである。

( 石 平 )

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