2009/04/20
石平(せきへい)のチャイナウォッチ No.039号
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2009.04.20 No.039号
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〜誰よりも中国を知る男が、日本人のために伝える中国人考〜
石平(せきへい)のチャイナウォッチ
http://www.seki-hei.com
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中国、「カンフル剤頼り」の危うい「経済回復」
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2009年4月16日、中国国家統計局は
中国の09年第1四半期(1−3月)の経済状況を示す一連の統計数字を発表した。
もっとも注目されている成長率は、前年同期比6.1%増となった。
それは、前四半期(08年10−12月期)の6.8%からさらに下がった数字であるが、
下げ幅は前四半期のそれより大きく縮めたので、
中国の景気後退はそろそろ底を打つことになるのではないか、
との楽観的な観測も出ている。
それにたいして、中国当局の方はむしろ慎重である。
たとえば、国家統計局のスポークスマンである李暁超氏は
記者会見を開いて上述の発表を行ったとき、
「中国経済はそれで底を打ったと思いますか」
との質問にたいしては正面からの回答を避け、
「成長率6.1%を達成できたのは容易なことではなかった」、
「成長を鈍化させていく圧力は依然として大きい」などと述べた。
また、4月17日付の人民日報の掲載記事でも、
「中国経済はすでに復活したかどうかは、もうちょっと見てみる必要がある」
との見解を示している。
この数が月間の自動車販売台数がずっと伸びているなどの個別的な現象を捉えて、
「中国経済はすでに復活した」、「中国の景気後退は底を打った」
とはしゃぐ某島国のバカな経済学者やマスコミよりも、
当の中国政府の現状認識の方はもっと冷静で現実的である。
そして私から見れば、今の中国は「経済の復活」を云々するところか、
むしろこれから、より本格的な経済低迷の時代を迎えるのではないかと思う。
実は、今年の第1四半期で達成された「成長率6.1%」という芳しくない実績でさえ、
まさに「カンフル剤」の大量服用によって辛うじて維持できたものにすぎないのである。
それは、上述の国家統計局の発表によって明らかにされた
いくつかの別の統計数字を見てみれば、すぐに分かったことである。
一つは固定資産投資の伸び率であるが、今年の第1四半期において、
全国で行われた固定投資は前年同期比で28.8%の伸びとなった。
つまり、同時期における経済全体の成長率が6.1%であるのにたいして、
固定資産投資の成長だけはその5倍近くの伸び率を記録している。
つまり、中国が辛うじて手に入れた「成長率6.1%」のかなり大きな部分は、
他ならぬ固定資産投資の急増によって得られたものであることは明らかだ。
ちなみに、上述の統計発表によると、
第1四半期において新しく着工された固定資産投資プロジェクトの投資総額は
前年同期比で何と87%増になったという。
要するにこの時期において、「投資ブーム」が再び巻き起こし、
数多くの投資プロジェクトがいっせいに始動するような状況が生じたわけである。
もう一つの経済数字を紹介しょう。
中国人民銀行(中央銀行)が4月16日に発表したところによると、
今年の第1四半期、中国の各銀行による人民元建て融資総額は
すでに4兆5800億元に達していて、
それが全年度の融資限度額の5兆元の9割以上にも上っている。
つまり、今年最初の3か月で1年分の融資枠の9割以上がすでに使い果たされた、
という意味である。
ここまで来ると、今年の第1四半期における中国経済成長の実態は、
もはや明々白々なものとなっているのである。
要するに、「保八」という中央政府の至上命令下で、
銀行は企業に対してなりふり構わずの放漫融資を行い、
企業はそれを元にしてやりたい放題の固定資産投資拡大を進め、
その結果、「成長率6.1%」という芳しくない「実績の達成」にやっとこぎ着けた、
ということである。
しかし、このメルマガでもよく指摘しているように、
今まで中国経済を苦しめてきた一つの構造上の大問題は、
まさに固定資産の過剰投資にあった。
固定資産投資がやりすぎた結果、消費がそれに追いつかずにして
供給と需要のバランスが大きく崩れたのである。
本来、このアンバランスを解消して
健全な経済構造を作り上げることによってこそ、
中国経済の将来の成長を保証することができるのだが、
今、「保八」という急場凌ぎの目標達成のために、
中国政府はむしろ反対の方向に走ってしまった。
今まで以上の情熱を持ってなりふり構わずの急速な固定資産投資拡大を行い、
それにすべての望みをかけているのである。
それはどう考えても、「カンフル剤」の大量服用に頼って
一時的な回復を図るような短期的な視点での愚策であろうが、
今の中国政府には、それがカンフル剤だと承知しながら
飲み続けていく以外にもはや選択肢がない。経済を高度成長の
軌道に戻すための決め手は何もないのである。
そして、一年分の融資枠の9割を使い果たして
固定資産投資拡大という名のカンフル剤を一所懸命に飲んだとしても、
「成長率6.1%」程度の成果しか手に入れなかったのであれば、
中国は今後、一体何を持って「保八」の目標を達成できるのかはまさに疑問ではないか。
結局、死んでしまうまでに「カンフル剤」を飲み続けていくというのは、
中国経済の哀れな宿命となるのだろうか。
(石 平)
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