古典落語の世界-日本人の笑いの原点  RSSを登録する

古典落語。なんか古臭そう…なんて敬遠しないでのぞいてみてください。そこには笑いの宝庫が!古典落語の題材を不定期で紹介しながらその見所を展開していきます。

  • 発行周期 不定期
  • 最新号 2009/07/06
  • 部数 260部
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2009/02/03

古典落語の世界-日本人の笑いの原点≪池田の猪(しし)買い≫

【前置き】
季節がら冬にまつわる作品が続きます。
前回猪(しし)鍋がでてきましたが、今回もまた登場します。
いわゆる『ぼたん鍋』と言われ、昔から冬の定番として親しまれてきました。
「薬食い」とも言われ、その鍋料理は体を芯から温めます。
冷え症などには持ってこいでしょう。
ただし、その薬効は、材料が新しければ新しいほど良いとされています。

≪池田の猪(しし)買い≫

冷え(淋病)を患う男、丼池筋に住む甚兵衛さんに相談にいきます。
それには猪鍋がすこぶる良いと助言されます。
しかし、それには材料が新しいものでなければなりません。
ならば現地で調達するのが良かろう。
池田に有名な猪猟の名人がいます。
山猟師の六大夫さんです。

さっそく翌朝早くに甚兵衛さんの家に立ち寄り池田に向かいます。
詳しい道のりを甚兵衛さんに教わります。
今でこそ大阪あたりから電車で手軽に行ける距離。
当時は徒歩で行く小旅行です。

この男、おとぼけ大好きのお調子者。
甚兵衛さんの分も買ってくると言ってちゃっかりお金を借りてしまいます。
そのおとぼけぶりは、旅の道中でも炸裂します。

甚兵衛さんに教わった道順を復唱しながら、道行く人にたずねます。
しかもわざわざ忙しそうにしている人をつかまえて。
「あんたが今言った通りにいきなはれ。」
と、呆れ顔で突き放されます。
それではわからん、とばかりにもう一人、忙しそうにしている人をつかまえます。

「なんや!またあんたか!」

この男、一度道をたずねた人と同じ人をつかまえるというおとぼけぶりです。

そのおとぼけぶりは旅の道中続きます。
今度は田んぼのお百姓さんに道をたずねます。
しかし、いくら声をかけても反応がありません。
それもそのはず、徳利に顔を書いて簑を着せた案山子だったのです。

「とっくりと見なんだが身の一生の誤り」

ころんでもただでは起きないこの男。
上手く出来たにわかに気を良くしてさらに道中を続けます。

いよいよ目の前に山が迫り、折しも雪がちらついてきました。

更に道を聞き、山猟師の六太夫さんをようやく訪ね、猪肉を求めます。
しかし、狩りたての猪はありません。
少し前に狩った猪が吊るしてありましたが、それでは満足しません。

「雪がちらついて、こんな日は猟がたつで。」

男の気のきいた言葉に乗せられ、重い腰を上げる六太夫さん。
息子のいのに留守番を言いつけ、愛犬のサンと男を伴って山に向かいます。

山に入ってしばらくするとサンがつがいの猪を見つけて知らせます。

牡を打つか牝を打つか。
男の注文を聞く六太夫さん。
ここでもおとぼけぶりを発揮する男。
「牝のほうが肉が柔らかいので牝や。」
「六太夫さんは目方の商売。やっぱり大きいほうの牡にして!」
「やっぱり牝にして!」
「気の毒な!牡にしよか?」

悩む男にイライラした六太夫さん、この機をのがしてなるまい、と鉄砲の引金を引きま
す。

ダーン!

と銃声が山あいにこだまし、それを合図にサンが獲物目掛けて駆け出します。

サンが吠える方角に二人で駆けつけます。
と、そこに大柄の猪が横たわっていました。

自慢げに獲物を見下ろす六太夫さんに、またもや男のおとぼけ。

「この猪、新しいか?」

この男、鉄砲の音にビックリして獲物を仕留めた瞬間を逃していました。

「新しぃか古いか、こぉしたら分かるわい。」

さすがの六太夫さんも腹にすえかね、鉄砲を逆手に持つと二つほど猪に食らわしまし
た。

この猪、弾が当たって死んでたわけではなく、はずみで気絶していたようです。
叩かれた拍子にムクッと起き上がると、トコトコトコ……と歩きだしました。

「どぉじゃ客人、この通り新しぃ。」

  ц<(_ξ_)>

【後書き】
この作品の舞台となっている池田。
現在は人口10万人を超える大阪府の政令指定都市となっています。
≪牛ほめ≫という作品も、同じく池田を舞台にしています。

この男のおとぼけぶり。
文中では長くなりますので割愛しましたが、実演では呆れるほどのおとぼけを披露して
います。
ぜひ実演を一度聴かれることをお勧めします。


♪♪♪♪♪♪

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