古典落語の世界-日本人の笑いの原点  RSSを登録する

古典落語。なんか古臭そう…なんて敬遠しないでのぞいてみてください。そこには笑いの宝庫が!古典落語の題材を不定期で紹介しながらその見所を展開していきます。

  • 発行周期 不定期
  • 最新号 2009/07/06
  • 部数 261部
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2009/01/24

古典落語の世界-日本人の笑いの原点≪二番煎じ ≫

【前置き】
年末年始にかけて火事のニュースが多かったですね。
空気が乾燥する今の季節、火の用心を心がけましょう。
最近では年末を除き滅多に聞かないですね、寒空に響く拍子木と「火の用〜心」の声。


≪二番煎じ≫

時は江戸時代。
『火事と喧嘩は江戸の名物』と言われていました。
そこでお上と江戸の町とが共同で様々な防火対策を行っていました。
その一つに『火の回り』がありました。
一般市民からは商家の旦那集などがでていたようです。

とても寒い晩です。
数名を一組として複数の組が交代で『火の回り』をします。

一の組、火鉢を囲んでめいめい手もみをしながら体を温めていました。
それでも寒さは体に染み付いているようです。
黙っていても寒さはなくなりません。
誰とはなしに唄を歌ったり、道楽話に花が咲きます。

一回りしてきた二の組が、休憩をしていた一の組と入れ替わります。
二の組の人たち、体が冷え切ってたまりません。
すると塾の先生があるものを出してきます。
見ると、なんと!ひょうたん!
中でおいしそうな液体が音をたてています。
「先生がそんなことをして!」と咎めながらも、土瓶に移すように言う男。
ひょうたんからお酒を飲むのは問題。
だが、土瓶で『煎じ薬』をいただく分は許される。
…なんて妙な言い訳です。

さて、『煎じ薬』がでたらそのお供が必要でしょう。
すると懐から竹の皮に包まれたイノシシの肉!
ご丁寧に味噌をからめてネギまで添えてあります。
肝心の鍋は?
ご安心を。ちゃんと用意しています。
見ると背中に背負ってその上に着物を着てきています。

やがて火鉢の上でグツグツと湯気を上げるしし鍋。
おいしそうな香りが番屋中にひろがります。
めいめい『煎じ薬』でしし鍋に舌鼓。
次の見回りまでのつかの間のさしつさされつのプチ宴会で盛り上がります。
皆酔いが回ってきて、都都逸が飛び出す始末。

そこへ、突然バンバンと扉を叩く音。
一同息を飲みます。
誰かが犬を追うように「しっ、しっ」と声を立てます。
なおも扉を叩く音。
今度は前より激しさを増しています。

「ここを開けい!」
業を煮やした訪問者が怒鳴ります。
その声は見回りのお役人!
慌てて土瓶を後ろに回し、火鉢の鍋を隠そうとします。
しかし、隠せるような気の利いた場所などありません。
しかたなく「あちちっ…!」と言いながらその上に座ってしまいます…。
あ〜ぁ、あとが大変です。
鍋ももちろんそうですが、お尻も…。

扉が開いて中に入ってきたお侍。
じろりと一同を見渡します。
今までの騒ぎはどこへやら、一同おとなしくなっています。
お侍ですから、一般町人は緊張してしまいます。
それでなくても『火の回り』の最中に宴会をしていたわけですから、並みの緊張では
ありません。
発覚したらどんなお咎めを受けるか…。

お侍も寒さには敵いません。
火のそばに割り込んできて、一同を見回し、こう言います。
「拙者が入って来たおり、土瓶のような物を隠したな?」
「あ、あれは煎じ薬…です。」と答えると、数日前から風邪気味とのこと、是非一杯と
所望します。
ここまで言われては断りきれません。
恐る恐る『煎じ薬』を茶碗に注いでお侍に手渡します。
グイっと飲み干すお侍。
さぁ、どんなお咎めが…
と思いきや、「良い煎じ薬じゃ。もう一杯。」とおかわり。
もうこうなればお侍も同罪です。
一同ホッと安堵します。
が、今度は全部飲まれるのでは、という心配が。

『煎じ薬』を飲みながらお侍が言います。
「拙者が入って来たおり、鍋のような物を隠したな?」
そこまでしっかりと見られていたのです。
「あ、あれは煎じ薬の口直し…です。」

一同が見守るなか、お侍は『煎じ薬』を飲み、口直しのしし肉を口に運びます。

みるみるうちにみんなの分が減ってきます。

誰かが「もう煎じ薬がありません。」といいます。

するとお侍はこう言って立ち上がりました。

「一回りしてくる。その間に二番を煎じておけ…。」

 ц<(_ξ_)>

【後書き】
先日珍しく夜更かしをして、オバマ新大統領の就任式を観ました。
今やアメリカ発の様々な問題で、世界中は連日火事場のような騒ぎです。
今燃え盛る火事の鎮火もさることながら、これ以上火事がひろがらないように、
種々の防火策が望まれます。
オバマ新大統領に乾杯!


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