古典落語の世界-日本人の笑いの原点  RSSを登録する

古典落語。なんか古臭そう…なんて敬遠しないでのぞいてみてください。そこには笑いの宝庫が!古典落語の題材を不定期で紹介しながらその見所を展開していきます。

  • 発行周期 不定期
  • 最新号 2009/07/06
  • 部数 260部
  • メルマガID 0000267698
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2009/01/17

古典落語の世界-日本人の笑いの原点 ≪算段の平兵衛≫

★おすすめコーナー★

  Ψ南欧家庭料理Ψ

      Paper★Moon
    (ペーパームーン)

(電話) 03 3466 9522

小田急線東北沢駅徒歩1分渋谷区上原3-31-16
http://qr.yahoo.jp/map/14gfkfh6ly71cj

(定休日)日曜日

☆笑顔のママと腕自慢のシェフの二人三脚。
★味は絶品!オニオングラタンスープとイカ墨のパスタは一度味わう価値あり!!
☆でも、残念なことに2009年1月末で立ち退きにより一時閉店…。
★その前に是非行ってみてください!!
絶対損はしませんから。





【前置き】
『算段(さんだん)』という言葉はまだ死語にはなっていないと思います。
が、使う機会もだいぶ減っているのではないでしょうか?
辞書を引くと「[名](スル) 苦心してよい方法や手段を考え出すこと。」とあります。(三省堂国語辞書)

さて、今日の演目の登場人物、平兵衛(へいべえ)はこの『算段』を生業にしています。
今風に言えばコンサルタントみたいなものですか。
しかし昔は『算段屋』みたいな職業があったわけではないようです。
ただ、ひと度問題が持ち上がると重宝がられ、その内容によってはかなり高額の報酬が
支払われます。
平兵衛という人物、あっけらかんとした性格に描かれています。
が、得たいの知れない部分もあり、恐れられていたようです。

≪算段の平兵衛≫

ある村の庄屋さん、老齢にもかかわらずお妾さんを囲っておりました。
このお妾さん、名をお花さんといい、たいそうな美人でした。
ところが、この庄屋さんの奥さん、とても焼きもちやき。
庄屋さんをうるさく責め立てます。
根負けした庄屋さん、泣く泣くお花さんと別れてしまいます。
しかし、奥さんの焼きもちやきは限界を知りません。
村から追い出せとまで言う始末。
村の権力者である庄屋さんであっても、もちろんそんなことはできません。

そこで、『算段の平兵衛』と呼ばれる男とお花を夫婦にしようとします。
お花さんのような美しい女性、平兵衛も乗り気です。
お花さんも身寄りのない身です。
手切れの金と妾時代に買い与えられた高価な着物類を持って平兵衛に嫁ぎます。

手切れの金など蓄えもあり最初のころは二人の生活に問題はありませんでした。
が、平兵衛は定職を持たぬ身。
蓄財も底をついてきました。
博打で稼ごうとしますが、こうゆうときはうまくいきません。
とうとう明日の米にも事欠くありさま。

そこで平兵衛、得意の算段をします。
庄屋さん、まだお花さんに未練があるようです。
それを利用し、庄屋さんを色仕掛けのワナにかけてお金をゆすりとろうと考えます。
お花さん、最初はいやがりましたが、背に腹は代えられません。
それに一度は世話になった身です。
はからずも別れさせられたのですから、少しは甘えてもいいかな、と。


さて、いよいよ実行に移すことになったのですが、計画とは必ずしも上手く運ばない
ものです。
庄屋さんが寄り合いの帰りにまんまとを家に呼び込んだまではよかったのです。
ワナにかかった庄屋さん、お花さんを引き寄せようとしたときです。
奥で隠れていた平兵衛、今か今かと焦れていたのでしょう。
現場を押さえてやろうという気持ちに力が入りすぎたのか、うっかり庄屋さんを殺し
てしまったのです。

さぁ〜、大変です。
獲物に死なれてはもとも子もありません。
それどころか、庄屋殺しの下手人です。

さてはてこの窮状、算段の平兵衛、どのようにきりぬけるのでしょうか。


平兵衛夫婦、庄屋さんの死骸の前で途方に暮れます。
しかし、ぐずぐずしてはいられません。
自らの窮地に算段をめぐらした平兵衛、夜陰に乗じ、死骸を担いで庄屋さんの家に
出掛けます。

その頃庄屋さんの家では焼きもちやきの奥さんが、カリカリしながら庄屋さんの
帰りを待っていました。
たぶんお花のところに違いない!
奥さん、気が気でなりません。

と、そこへ扉を叩く音。
「わしや、開けてくれ。」
低くしゃがれていますが、夫の声です。
こんな遅まで!
怒りが頂点に達していました。
平兵衛が死骸を扉に立て掛けながら声色を使っているとも知らず、奥さんこう言いま
す。
「さしずめお花のとこ通って遅くなったんやろ!」
平兵衛、庄屋の声色で続けて言います。
「ここ開けてくれ。庄屋が締め出されてるやなんてかっこ悪い。いっそ首吊って死ぬ…。」と。
「ああ、そんな甲斐性があるなら首でも何でも吊りなはれ!」
この言葉、よくぞ言ってくれました。
元の計画では、扉を開けたとたん中に倒れこんで死んだことにする予定でした。
さっそく庄屋さんの死骸を手頃な枝にヒョイと吊るした平兵衛、とっとと帰ってしま
います。

外で人の気配がなくなって恐る恐る扉を開けた奥さん、変わり果てた夫の姿に
ビックリ仰天!
首吊りは変死として奉行所に届け出なければなりません。
そんなことになっては庄屋の名に傷がつきます。
息子夫婦にはとても言えません。

そうだ!算段の平兵衛に相談しよう!

困ったときの平兵衛頼みです。


やばい仕事を終えてやれやれと家で寝ていた平兵衛。
庄屋の奥さんの突然の訪問に驚きます。
一瞬ばれたか、と思ったのではないでしょうか。
ところが、新たな仕事の話でした。
変死を隠すと平兵衛も罪になります。
最初は辞退していた平兵衛ですが、奥さんから二十五両の金を出され、請け負うこ
とに。

場面変わって隣村。
折しも村人たちが小高い丘の上で、盆踊りの稽古の真っ最中です。
平兵衛、死骸に浴衣を着せて、自分も同じ身なりで、夜陰に乗じ、その輪にそっと
交わり悪戯を。
死骸と躍りながら、時折冷たい手を躍り手の頬にぺちゃり。
あっちでぺちゃり、こっちでぺちゃり…。
てっきり、どこからか稽古を邪魔しに来た、と思った村人たち。
しめし合わせて、次のぺちゃりのとき、その手を引っ張ってみんなでボコボコに
袋叩きにしてしまいます。
平兵衛はというと、さっさと死骸を放り出して帰ってしまいます。

動かなくなった(来たときから動かなかったが)ぺちゃりの元。
その顔を見てみんなビックリ仰天、驚きます。
隣村の庄屋を殴り殺してしまったのですから…。
このままでは村から下手人を出し、二つの村が仇同士になってしまいます。
どうしよう、どうしようと思案していると、誰かが言いました。
そうだ!算段の平兵衛に相談しよう!、と。
でも、平兵衛は死んだ庄屋の村の人間。
いいや、あいつは金でなんとかなる。
と、隠居から二十五両借りて平兵衛の元へ。

隣村の若い衆の訪問を受けた平兵衛、さすがにこればかりは、と固辞します。
しかし、最後に平兵衛は算段を引き受けます。
下手人を出して二つの村が仇同士になるのを防ぐという大義名分の元に。
それで、平兵衛の手に合わせて五十両という大金が!

平兵衛の算段は次の通りです。
先ず隣村の丘の上で庄屋を交え酒盛りをする。
平兵衛は庄屋の奥さんを崖の下まで連れ出す。
(奥さんは既に庄屋の死を知っているので、問題なく協力する。)
頃合いを見計らって、庄屋の死骸を事故に見せかけ、崖から突き落とす。
事情を知っている奥さんも目撃しているので、事故として丸く収まる…。

その算段は見事に成功。
そして大金が平兵衛の懐に転がりこみました。
しかし、悪銭身につかず、と言います。
突然金回りが良くなった平兵衛。
この平兵衛の変化に、関係者以外でたった一人気付いた男がいました。
徳之一という、同じ村の盲目の按摩師です。
盲人独特の勘で事実を嗅ぎ付け、平兵衛を強請ます。
執拗に食らいつく徳之一。
いつしか村人の噂となって行きます。

「あの按摩、平兵衛が怖くないんか?」
「昔から言うやないか、『盲へえべえに怖じず』て。」

  ц<(_ξ_)>

【後書き】
ご存知の通り「盲 (めくら) 蛇に怖じず」という古いことわざが落ちになっています。
(盲人に対する蔑視になるため、この落ちが省かれて演じられている。)
人間に潜む悪の部分を浮き彫りにした興味深い演目です。
ですので、その分主人公の平兵衛をさっぱりした人物に描いて中和している力作です。
その分演者には相当の演技力を要求する大変過酷な作品だと思います。
桂米朝師匠の≪算段の平兵衛≫は絶品です。
機会があれば是非CDを聴いてみてください。


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