中学生でもわかる、論理的な議論の仕方  RSSを登録する

議論で言い負かされて悔しい思いをしていないか!?論理的な議論の仕方を、一からやさしく解説します。論理的な主張の仕方、反論の仕方、詭弁集、駆け引きの原則、統計の嘘を、五段階に分けて、一度の文字数を2000文字程度に抑えて配信しています。初心者歓迎。

現在休刊中です    
解除

規約に同意して

2008/09/06

【議論の仕方】サービス残業代は36兆円。罰する事はできるか? 駆け引きの論理 第三回

 <<本日の目次>>
■駆け引きの論理 第三回
【相手の不利益に訴えかける 中編】

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【中学生でもわかる、論理的な議論の仕方】
 (3日に一刊ペース、2000文字前後で配信)

公式サイト http://ronri2.web.fc2.com/

バックナンバーはこちらから。
melma!  http://www.melma.com/backnumber_175211/
まぐまぐ http://archive.mag2.com/0000267099/

ご意見・ご感想・ご質問用の掲示板はこちらです。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/9477/1212493463/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
皆様、おはようございます。


_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
        第四章 駆け引きの論理 第三回
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/


【相手の不利益に訴えかける 前編】はこちら。
http://www.melma.com/backnumber_175211_4203639/


前回に引き続き、労働基準法の話です。

【相手の不利益に訴えかける 中編】

◇では今回は、必要条件2:「逆らえば罰を実行できる状態にある
事を、相手に充分に認識させる」事ができているかを検証しましょ
う。

◇労働基準監督官の数は足りているか?

(詳しい資料が無いので、資料の時系列がバラバラですが、ご容赦
ください。)

平成6年の、労働基準監督官(労働基準法違反を取り締まる役職)
の人数は、2,761名です。

平成17年の、日本の会社数は約309万社でした。1万1,191社
に一人の割り合いです。

平成14年に労災に遭い、死亡ないし4日以上の休業を余儀なくされ
た人の数は12万5,918人。

さらに平成19年の労働相談件数は99万7,237件です。

合計すると、監督官一人で年間406件の案件を抱えている計算に
なります。

比較対象として、例えば警察官は国民442人に一人の割り合いで
勤務しています。

監督官の25倍です。

刑法犯の認知件数・交通違反件数・交通事故件数を合計すると、警
察職員一人あたり年間39.4件の事件・事故を抱える計算になり
ます。

監督官の10分の1です。

──────────────────────────────
資料の出典: 
平成18年度の警察職員の総数28万8,451人(出典 警察白書)、
http://www.npa.go.jp/hakusyo/h18/honbun/hakusho/h18/html/i6700000.html
平成18年度の刑法犯認知件数205万件(出典 警察白書)、
http://www.npa.go.jp/hakusyo/h20/toukei/t1-04.pdf
平成19年度の交通事故発生件数83万2454件(出典 警察白書)、
http://www.npa.go.jp/hakusyo/h20/toukei/t3-03.pdf
平成19年度の交通違反件数850万3,997件(出典 警察白書)、
http://www.npa.go.jp/hakusyo/h20/toukei/t3-15.pdf
日本の人口1億2767万8千人(出典 総務省統計局 人口推計月報)、
http://www.stat.go.jp/data/jinsui/tsuki/index.htm
平成19年度のの労働相談件数99万7,237件(出典 厚生労働省)、
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/05/h0523-3.html
平成06年度の監督官の人数2761名(出典 いんちきやかた)。 
http://www010.upp.so-net.ne.jp/kawadai/special/laber.html
──────────────────────────────

どうやら現在の労働基準監督官の人数は、企業を積極的に摘発する
には少なすぎるようです。

◇ならば、労働者が自発的に企業を告発したらどうでしょう? 

労働者が告発を行うためには、次のハードルを超える必要があります。

──────────────────────────────
・付加金は、裁判所の判決が出なければ支払わせることができない
 。(大抵の人は和解してしまう)

・付加金は労働者本人が請求しなければならないので、大金を請求
 するためには集団で訴訟を行う必要がある。(大勢を説得する必
 要がある)

・原告団全員分の証拠が必要になる。

・50万円以上の弁護士費用が必要になる。 

・裁判に費やす時間を確保する必要がある。

・会社の収益が悪い場合、内部告発は期待できない。

・会社からの報復があるかもしれない。(そう、企業も罰の力を使
 える!)

・転職先が無い人は参加してくれない。 
──────────────────────────────

実際には、これらのハードルはなかなか越えられないものです。

では、ハードルを乗り超えて、実際に残業代を取り戻した人がどれ
だけいるか調べてみましょう。

──────────────────────────────
平成17年の「不払い残業代支払い命令」件数。

◇労働基準監督署の定期監督による是正勧告件数
…2,518件 (監督官の自力によるもの)

◇労働者の労働基準監督署への申告による是正勧告件数
…28,906件 (労働者の告発によるもの)

【不払い残業代支払い命令の総額: 232億9500万円】 

出典: 辻社会保険労務士事務所
http://www.tsuji-junko.com/post_34.html
──────────────────────────────

総額232億9500万円。 さて、この金額は大きいのでしょう
か?

それを知るためには企業が元々いくら搾取しているのかを調べる必
要があります。

ここに、厚生労働省が調査した「毎月勤労統計調査」という報告書
があります。

それによると、日本人の年間平均労働時間は1850時間であると
されています。260日で割ると7.11時間です。
 
一方、総務省統計局が調査した「総務省労働力調査」という報告書
もあります。

こちらでは、日本人の年間平均労働時間は2150時間であるとさ
れています。260日で割ると8.26時間です。

このような差が発生した原因は、厚生労働省の調査では、事業所の
申告をもとに統計を採っている一方で、

総務省統計局の調査では、労働者の申告をもとに統計を採っている
ためです。

事業所の申告には、違法なサービス残業時間は含まれていないと考
えられますので、厚労省統計と総務省統計の差分の300時間が、
サービス残業時間であるという推測が成り立ちます。

労働時間のグラフ
http://ronri2.web.fc2.com/gf/roudou.GIF (画像)
出典: 関西大学 - 労働時間のコンプライアンス実態とサービス
残業 (173p)

そして、月給35万円(自給換算2222円)の平均的な日本人が
300時間サービス残業をすると、66万6600円の損失になり
ます。

それを全国の労働力人口5476万人で掛けると、36兆5030
億円の損失になります。

先ほどの「不払い残業代支払い命令」の総額が232億9500万
円でしたから、おめでとうございます、搾取された金額の0.06
3%を取り返した計算になります。

したがって、必要条件2:「逆らえば罰を実行できる状態にある事
を、相手に充分に認識させる」は消滅しました。

したがって、労働基準法はただの建前法と化してしまいました。


・・・でもちょっと待ってください。 確か日本は民主主義国家で
したよね?

それならば、経営者よりも圧倒的に数が多い労働者の方が有利なは
ずでは? 

それに関しては、次回に説明しましょう。お楽しみに。

関連記事1: 第一章 論理的な主張の仕方 論理的な思考法1 
【正しさ(善悪)は視点(前提)よって変化する】
http://ronri2.web.fc2.com/shucho.html#21

関連記事2: 駆け引きの論理1 【決定権者はだれ?】
http://ronri2.web.fc2.com/game.html#01


◇次回予告
【相手の不利益に訴えかける 後編】

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
           相互紹介募集中!!
当メルマガでは、相互紹介(お互いのメルマガをメルマガ内で紹介
し合うこと)をしてくださる方を募集しております。ご協力してく
ださる方は、下記のメールアドレスまでご連絡ください。
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
このマガジンは、ホームページ「中学生でもわかる、論理的な議論
の仕方」の内容をマガジン用に編集してお送りしています。一気に
読みたい方はこちらから。

公式サイト http://ronri2.web.fc2.com/

ご意見・ご感想・ご質問用の掲示板はこちらです。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/9477/1212493463/

バックナンバーはこちらから。
melma!  http://www.melma.com/backnumber_175211/
まぐまぐ http://archive.mag2.com/0000267099/


発行者 小澤 健二
b4-faz1-mu85@ez.117.cx
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
現在休刊中です
解除

規約に同意して

最近の記事

上へ戻る