2008/12/13
幸せに導くチカラ 010号
─────────────────────────── 幸せに導くチカラ 010号 2008/12/13 登録・解除はこちら→http://www.mag2.com/m/0000266961.html マスターの公式サイトはこちら→http://www.bar-aars.com/ ─────────────────────────── 「幸せに導くチカラ」とは、 自分が本当に望んでいる人生はどんな人生なのか、 自分の人生の目的に気づき、人生を本質的な幸せへと 自ら導いていくチカラ。 それを物語としてお伝えしていきます。 さあ、今日の主人公は、どんな自分に出会うのでしょう。 ─────────────────────────── あの頃、生きたかった人生 ─────────────────────────── カタカタと小気味よい音をたてながら打っていた、キーボードの手を止め、 ケイはカップを手にとり、ひとくちコーヒーをすする。 外の景色に目をやると、青い空に冬の雲たちがゆっくりと流れている。 外は寒いのだろうけど、でも陽射しだけみていると、 とても暖かそうだ。 原稿は急ぐ必要はない。 ケイは、あごを撫でながら、しばらくの間モニターをみつめていたが、 ふと思い立って、原稿を保存してパソコンの電源を落とすことにした。 ケイは立ち上がると、窓の側に立って、もう一度流れる雲を眺めてみる。 青い空に、大きな雲がゆっくりと流れていく。 不思議に満たされた感覚と、こころがはやる感覚を感じたケイは、 本棚の上に置いてあったキーを手に取った。 キーホルダーには赤と白に塗り分けられたバッジに、 「RS」という2つの文字が刻まれている。 キーをくるくる指で回しながら、ケイは部屋を後にする。 家の外に出て、側のガレージのシャッターを開ける。 そこには、ケイが高校時代大好きだったバイクたちがキレイに メンテナンスされて並んでいた。 白い初期型のヤマハRZ350、赤いホンダCB750F。 赤いCBには、モリワキの直管型マフラーがおごられている。 同年代の人がみたら、きっとミーハーだと笑われそうな趣味だ(笑)。 ガレージの奥には、わずか3席だけだが、カウンターがあり、 ウィスキーやスピリッツ、リキュールの瓶が並ぶ。 友人たちと作った手製のカウンターだが、 とても素人作とは思えない出来栄えだ。 このカウンターを作るときも、まるで子供のようにはしゃぎながら、 作っている最中に既に、このカウンターで、 どんな雰囲気で飲んで、どんな話題で、 どんな気分を味わっているかに花が咲いていた。 そして、カウンターの前、つまりこのガレージの主は、 ケイの高校生の頃の憧れのクルマだ。 赤と黒のツートンカラーに塗り分けられたそのクルマは、 昭和59年式、日産スカイラインRS、インタークーラー・ターボ。 事故歴の無いクルマをと、3年間程度のよいものを捜し求めて、 2年前、新車の時からずっと大切にしていたという 初老の男性から譲り受けたものだ。 「もう乗らなくなったけど、大切にしてやってください。」 このクルマが大好きなケイには、その老人のその一言が、 またひとしおの感動だった。 特別程度のよかったこのクルマを、 ケイは2年間かけて、エンジンやタービンをりビルトに載せ換えたり、 足回りをはじめとしたシャーシーも、 しっかりとレストアとチューニングをほどこしていた。 エンジンは、ばらされて、部品ひとつに至るまで 磨き上げられ、そして繊細にバランスどりされた。 チューニングも、足回りやタービンを、 よいものに換えていたが、わずかに車高が下がっている以外は、 メーカーで売られている、ほとんどそのままのような状態だ。 上品であり、さりげなく、美しくあること、 それがケイの美学なのだ。 ドアを開け、ドライバーズシートに座る。 キーを差込み、一呼吸入れて、ケイはキーをひねった。 短いセルモーターのクランキング音の後、 グォンという4気筒独特の野太い音とともに、 FJ20ET型DOHCエンジンに火が入り、RSは眠りから目覚めた。 ドッドッドと脈打つアイドリングは、 6気筒エンジンでは感じることのない荒々しさを醸し出す。 充分にオイルが温まったところで、 ケイは少し重いクラッチを踏み、ギアをローに入れる。 グォンという排気音とともに、ケイのRSターボは、 ガレージからゆっくりと動き出す。 ケイが思わず口ずさんでしまった曲は、 あろうことか「サンダーバードのテーマ」。 自分がなにを口ずさんでいるかに気がつき、 それをはたから見られている図を想像して、 ケイは思わず気恥ずかしくなって、ちょっと赤面する(笑)。 青空の下、低いうなり音とともに、 ケイのRSは、赤く色づいた山道へと向かっていく。 オーディオはなんと、当時の新車時のままの メーカー純正のカセットデッキ。 このクルマを譲ってもらう際、 オーディオが当時のままなのを知ったケイは、 思わず実家へとそのまま走り、 高校時代よく聴いていたカセットテープを取りに行ったものだ(笑)。 SONYやMAXELLやTDKのテープには、 ケイが高校時代よく聴いていた、ブルース・スプリングスティーンや、 ハワード・ジョーンズなど80年代のロックやポップスが、 いっぱいつまっていた。 特にケイがお気に入りだったのが、 友人うちでもマイナーだったけれど、 ULTRA VOXのカセットテープで、 それはもう、擦り切れてなくなってしまうんじゃないか? というくらいに、聴きまくっていた。 そう、あの頃は、自転車に乗りながら、 いつもウォークマンでこいつを聴いていたものだ。 そのULTRA VOXは、ありがたいことに、 まだ擦り切れずに、当時の音を(劣化しているけれど) 奏でてくれる。 擦り切れかけのULTRA VOXをRSのカセットデッキに入れると、 ケイの大好きなNEW EUROPIANSが流れはじめる。 日曜日の洋画の時間に、ヘリに乗った山本寛斎が、 写真を取りまくるCMのバックで流れているのを聴いて、 一度で好きになってしまった曲だ。 ご機嫌な曲を聴きながら走るうち、 ケイのRSは、赤く色づいた峠道に入っていた。 ゆっくりと、低い排気音をかなでながら、 木々が赤く色づいた峠道を流していく。 グォーというRSの野太い排気音は、 流していくというより、なにか闊歩していく、 そんな印象だ。 ケイにとって、このRSは3台目のRSだ。 最初のRSは、昭和56年式の、ターボのないNAの超初期型。 免許を取って最初のクルマで、もう嬉しくて嬉しくて、 3ヶ月で1万キロも走っていた。 毎日をワクワクでいっぱいにしてくれたクルマだったけれど、 若気の至り、わずか3ヶ月で最初のRSはおしゃかにしてしまった。 それから半年後、社会人になって最初に買ったのが、2台目のRS。 マイナーチェンジしてフロントグリルが独特の、 鉄火面と呼ばれたモデルだ。 高校2年生の時にはじめてこのクルマの写真を見たケイは、 「世の中にこんなカッコイイクルマがあるのか!」と驚嘆したものだ。 そのクルマは不良っぽい、オトコのクルマってにおいがぷんぷんして、 デートやファミリーで使うなら、他の車を選んどくれって感じでいっぱいだった。 2台目のRSは、あこがれだったターボモデル。 インタークーラーつきではなかったけれど、 ケイが高校生の時に欲しかったモデルそのもだ。 このクルマは、3年ほど乗って、R32GT-Rに買い換えるまで、 しょっちゅう故障したり、壊したりしながらも、 20代前半の時を一緒に過ごした。 「もっと程度がよかったらいいのに」、 「足回りへたってないのがいいなぁ」、 「もっとここがこうならいいのに」と、 文句の付け所はいっぱいあったけれど、 今になって思えば、それがそれまでの、 そしてその後しばらくの、ケイの人生の「ありかた」だったのだと思う。 人生に不満があるとき、不満に見合った現実が人生にあらわれる。 勿論、当時のケイには、そんなことは思いもよらないことだったけれど。 ケイの訪れた峠道は、ガラガラで、他にはほとんどクルマは走っていなかった。 ケイは、窓を開けてみる、寒いかな?と思っていたけれど、 でも、ほんのちょっと暖かい感じ。 そして寒さよりなにより、FJ20ETの野太い音が、 ケイにはとてつもなく、頼もしく聴こえてきて、 なんだかワクワクしてきた。 窓をいっぱいに開けると、ケイはギアを4速から2速に落とす。 FJ20ET は、グォーンという荒々しい音をたてながら、 峠のきつい勾配の中、RSを引っ張りあげていく。 そして荒々しいグォーンという排気音の向こうで、 キィーンという、ターボのタービンのノイズが聴こえてくる。 ちょっと冷たい空気とともに、山の緑のにおいが、 窓から流れ込んでくるのを、楽しむ。 ケイのこころはその瞬間、高校生のあのワクワクの中にいた。 そう、今この瞬間、ケイは40代の身体で、 10代の夢とワクワクを生きているのだ。 ─────────────────────────── あとがき 前回お伝えさせていただいたように、このメルマガ「幸せに導くチカラ」は、 今回で、いったん連載を終了しさせていただきます。 最終回は、自分の好きな話を書こうと思っていましたので、 このRSの話を書いちゃいました。 クルマに興味のない方には、???な話だったかもしれません。 RSは、わたしが高校生当時、日本で一番速いクルマとして、 すごくヒットしたクルマでした。 もっとスポーツカーらしいスポーツカーがいっぱいあるのに、 よりによって、ファミリカー然とした普通のクルマが、 日本で一番速いクルマだということにとても驚いたのを、今でのよく覚えています。 当時はソアラなどのハイソカーや、プレリュードなどのデートカーが もてはやされ出していた頃でしたが、このRSはそれとは真逆な 硬派路線を行っているクルマでした。 マイナーチェンジをうけた後期方の鉄仮面をみた時には、 ホントに、「なんちゅうカッコイイ、クルマだ!」って真剣に思いました(笑)。 そして、四半世紀たった今も、その思いは変りません(笑)。 ある幸せな成功者の言葉で印象的だったのが、 60代の今、20代夢見た人生を生きているっていうものがあります。 そしてそれは、決して人にどう思われるかというところでなく、 自分が生きたかった人生だということに、 とても感銘を受けたのをよく覚えています。 あなたは、10代の頃、どんな人生を生きたいと思っていましたか? よかったら、今一度思い出してみてあげてください。 次回、12月25日からは、マスターが常連とカウンター越しに、 幸せの知恵を対話から探求、発見していくメルマガ、 「ショットバーマスターが伝える幸せの知恵」が復活スタートします。 今度はクリスマスの夜、カウンターでお会いしましょう。 ショットバーマスターが伝える 幸せの知恵 ↓ http://www.bar-aars.com/mailmagazine.html ─────────────────────────── 〜09年1月18日 マスターのトークライブ詳細はこちら〜 ↓ http://www.bar-aars.com/2009talk_live2nd.html ─────────────────────────── マスターへのお便りはこちら ↓ info@officeheartnet.com ─────────────────────────── 本メールに掲載された内容を許可なく複製、転載する事を禁じます Copyright (C) 2008 OFFICE HEARTNET.com All Rights Reserved. ───────────────────────────



